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お人好し、キャラメイクをする

『ステラ』から帰宅した好人は夕食を食べたのち、自らの部屋にあるベットの上に座ってヘルメット型フルダイブ用ゲーム機『ディヴィジョンⅢ』を眺めている。


「よし、やっていきますか。」


好人はフルダイブの経験がないため少し不安に思いながらゲーム機を頭に装着し、ベッドに横になる。

横になった後、だんだんと意識が遠くなっていく。









しばらくして好人の意識が覚醒する。

好人が起きた瞬間、目に入った光景は見渡す限りの白い世界だった。

本当に白一色で周りには何もなく、地面も周りの色と一緒で影も映っていないことから自分が今地面に足がついているのかもわかりにくいような状況だ。


「おお。すごい、立ってる、のか?地面に立っている感覚じゃないけど。」


好人言ったように現在好人は地面に足がついているのではなく、例えるならば無重力空間にいる感覚に近い状態になっている。


「それにしても、ほんとに体が自由に動くな。」


そう言い好人は手足を動かして体が問題なく動かせるどうかを確認する。

元来のフルダイブゲームはどれほど性能がよいものでも操作にラグが出るものであったが、『SBO』は使われるゲームエンジンのおかげで現実世界で体を動かすのと同じように操作することが可能となっている。


「さて、たしか真司に聞いた話だとキャラメイクをしなきゃいけないんだっけ。」


好人は事前に真司からゲームを始めるためにすべきことを教えてもらっていた。


「お、最初は名前か。何にしようか。」


好人の前に急にシステムウィンドウが表れてプレイヤーネームを記入するように促してくる。

特に使い慣れてるものがない好人はどんなものにしようか悩んでいたがあることを思い出す。


「たしか、真司は『イシン』だったよな。」


プレイヤーネームとはプレイヤーによって様々なものがあるが、真司の場合は『駒井 真司(こまい しんじ)』の間をとったもので『イシン』としていて非常に安直なものと言わざるを得ないものである。

しかし、今までプレイヤーネームを決めたことのない好人は先人に倣って自分の名前を使ったものにしようと考える。


「『白崎 好人』、んー、キヨシ、ヨシト、サキヒト、微妙だな。ハクジン、、お!これにしようかな。」


そう言い、好人は入力欄に『シロト』と入力する。


「うん。我ながらめちゃくちゃ簡単に書いたけど割といい感じかも。」


プレイヤーネームを入力し終えた後、システムウィンドウには顔や身長、体型などの身体特徴を決める画面に切り替わる。

画面には顔の輪郭から目、鼻、口の形、髪型、身長や性別など様々なものが選べるようになっているのだが、その数があまりにも多すぎてシロトは困惑していた。


「うわっ、すごいなこれ。顔の輪郭だけでもすごい数ある。それに顔だけじゃなくて身長、体型、足とか腕の長さ、性別まで変えられるのか。」


特にこれと言ってこだわりがあるわけではないシロトにとってはあまりの選択肢の多さにどんな風にキャラ作ればいいか迷っていて、なかなかキャラメイクが進まないでいた。


「んー。顔はいいとしても体は今と同じものを使いたいんだけど、、、ん?」


シロトが画面をスクロールしていくと一番下に「プレイヤーの容姿を反映する」というものが現れる。


「これ、いいんじゃないか。今の体を使えたほうが動きやすいし、顔も別に変える必要ないし。うん!これでいこう!」


そう言いシロトは現実世界と同じ体で設定を決める。

余談だが、この「プレイヤーの容姿を反映する」は実はほとんど使われることがない。

というのも普通にゲームをやっているものであれば、当然プレイヤーの中身が誰であるかがばれること、いわゆる身バレを防止するためにほとんどのプレイヤーが現実の自分とは違うように設定を行っているからだ。


「よし。体はこれでいけるとして、次は、、、。」


ステータスウィンドウにはジョブの選択画面が表示される。

画面に表示されているジョブは剣士、騎士、魔術師、神官、拳闘士、弓使い、テイマー、盗賊の8個のジョブが選択できるようになっていた。


「おお、いろんなジョブが選べるんだな。」


と言ってもシロトが選択するジョブは元から1つしかない。


「けど、選ぶのは拳闘士かな。」


シロトが得意とする空手が一番使いこなせるジョブは拳闘士しかない。

真司からも拳闘士を進められていたのでとくに迷うことなく拳闘士を選択した。


次にシステムウィンドウにはステータスとスキルを決める画面に移行する。

『SBO』ではレベルが上がるごとにステータスポイントとスキルポイントが獲得でき、それを自分の好きなように割り振ることができるシステムとなっている。


「これは、、、よくわかんないな。どんな感じで決めればいいんだろ?」


プレースタイルが特段決まっているわけではないシロトはどのようにステータスを振るか決めあぐねていた。


「んー。とりあえず、ATKが攻撃力、VITが防御力とHP、INTが知力とMP、DEXが器用さ、AGIが速さがそれぞれ上がるのか。真司にどれを上げればいいか聞いておくんだったな。」


このゲームでは、ステータスを自由に振れるということで1つのジョブでも様々なプレースタイルがプレイヤーにとって作り出されている。

例えば、剣士をとっても、AGIとATKに振った高機動力剣士型や、ATKとVITに振ったタンク剣士、ATKだけに振って高火力を出す極振り型と様々な方が存在する。

ゲームをある程度やってきているものであれば、使いやすさやソロとマルチどちらを主体でやるかなど自分にどのようなプレースタルがあっているか決まっているものだが、MMO初心者であるシロトにとってプレースタイルという概念がそもそも存在しないため、もはや己の直感のみでステータスを割り振るしかない。


「よくわかんないけど、体を素早く動かすのに必要なAGIは欲しいかな。速く走ることっていうか体を早く動かすのに必要だし。あとはATKかな、攻撃力高いほうが、、、なんか格好いいし!」


という感じでシロトはその場のノリと勢いとなんかかっこいいということだけでステータスを振っていく。








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