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そうして、5日程滞在したその女性たちと、毎日お茶したりランチしたり、街に出かけたりと…親密を深めろと言われ、様々…ほんっと色々した。
一応、身分的なものと世間的なもので、ジョセフィーヌ嬢が第5妃になったが、実際は第1妃はジョセフィーヌ嬢という、謎な事になっている。当人たちがいいのならいいんだが…
ジョセフィーヌ嬢は、下町になれているのだろう。あの店がおいしい、この店にはこういうものがあると色々と教えてくれる。欲しい物がないのかと聞いて、買ってやるのもいいが…あとでこっそりプレゼントをするのもいいかもしれない。
最初の内は遠慮していたが…接するうちに笑ってくれるようになったから…多少は、いい雰囲気になっただろうか。
それなりにいい関係を築けたと思う5日間だったが、それが過ぎれば…ジョセフィーヌ嬢以外は、領地へと戻った。ジョセフィーヌ嬢は…城、というか、母である王妃の居城にいる事になったのだ。これは、身籠っていないかどうか見る期間ということだったが。
「本当にそうしなくてもよいだろうに」
「体裁てやつですよ。まあ、3か月ほどですから、おとなしくしていてくださいね。守りは…妹、つけてますんで」
「そういえば片翼、と言ってたが…まだなの?」
「まだです」
「……間に合うのか」
「貴方の奥様に付くようになれば、すぐじゃないですかね」
「不安しかないが…」
「守る者がない者は、どうしても育ちにくいですからねぇ…大丈夫。すぐですよ、すぐ。どうせ、あんたと同じで危険度高いですからね」
魔術がつかえないのであれば、そのまま放っておいてくれればいいものを。なぜ消そうとしたがるのか。消される子を守ろうとした者から…こいつの一族が出来上がるとか、もう、ね。
「何度も言ってますが、俺は、自分の意志であんたを選んだんですよ。友達を、亡くしたくなかったですし」
「だからって…重すぎるだろう」
「別に、性に合ってたんでしょうねぇ。安心してください。存外楽しいですから」
「…嗜虐趣味あるもんな、お前」
「別に趣味じゃないですよ。嫌いじゃないだけです」
…それを趣味というのでは…
「それより、結婚の時期はいつにするんですか?流石に王太子様より早くするわけにはいかないでしょう?」
「…相談してくる」
「そうしてください」
確かに、王太子である兄より先に結婚は、流石に…兄は、それこそ10歳頃からそういう話が来ていたという事だし…それでなくとも、婚約者として決まってから、すでに3年、か?それくらい経っているのだしな…
「…そうだね、どうせだし合同でいいんじゃないのかな」
と、相談したら、すっごく軽い返事が返ってきた。え、いいのかそれ。流石に王太子の結婚式と、弟とはいえ魔力なしの結婚式を合同って。
「魔力を気にしてるのは院だけでしょうに。魔力なしの夫婦からだってちゃんと魔力持ちが生まれていますし…そのことは、貴方もわかっているでしょう?」
「それはそうだが…」
「大丈夫。私の傍にいるお前がどうこうされる前に、消してやるから」
「…俺だけでなくてな」
「すべて、守るから安心していればいい」
…ちりちりするからやめてくれないかな…兄の…魔術は、攻防両極端に強力だから、攻撃に鉾が向くと、なんか俺も被害を被るから。弟は…攻撃方向に極端だが、技術があるからなんかおかしなことになってるし。
そんなこんなで…合同でということに決まってしまった。納得いかぬ…
「それよりお前…プロポーズ、したのかい?」
「!!!」
「…ばかだねぇ、まったく…手順は分かるね?暇を作って第1妃の家から順に回りなさい」
「はい…」
なんという失敗…!王太子である兄への挨拶もそこそこに、準備の為に奔走した。