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私の「 」はどこですか  作者: 仮のkari
6/7

私のお別れはどこですか

「ねね、ナーガ君

町ってこの真っ平さんなの?」


「いや、この真っ平さんの向こうにある大きな塔が町さ

この真っ平さんは町の人たちが他の子を入れないようにした壁だよ」


「どうして入れないようにしたの?」


「…町の人からしたらそういう人たちは自分の仲間じゃないからだね

どの町もそうさ、お互いがお互いに壁をとろうとしない」


黒づくめの女性は口元を微かに動かす

口は『異端者は視界の外か』と形どっていた


「じゃあチビがその間に入って手を取り合えばいいんだね」


ギュッと少女は女性の手を握る


「こんな風に」


「ふふ、そうだね」


「…そのためにはまず町の中の人も手を取り合わないとですね」


「?取り合ってないの?」


「はい…町の塔の構造を見れば一目瞭然ですよ」


「じゃあ町の中をギュッとして、今度は他の町ともギュッとする」


「頼もしか~」


旅人が獣人の少女の手を取りブンブン振る


「そういえばこの真っ平さんの向こうにはどうやって行くの?」


「私の友人がこの真っ平さんについて詳しくてね

その子に通してもらうようにお願いするんだ」


「じゃあナーガ君のゆーじんさんと真っ平さんはギュッとしてるんだ」


「あぁ…ほら、話してるうちに

あそこを見てごらん」


女性が指さす先にはレンズが壁に埋め込まれていた

壁の足元では立派なゼラニウムが咲き誇っていた

女性はゼラニウムの根本を探り、一本の金属棒を取り出す

そして思いっきり壁に金属棒を押さえつけそのままひっかいた


「…これで少ししたら来るはずさ」


女性は話しつつ金属棒を元あった花の根本に戻す


「今の何?」


「今の棒でこの壁をひっかいたら普通の人では聞こえない音が出るんだ

今から来る子はその音が聞こえるから言ってしまえば秘密の合図みたいなものさ」


「へ~…カタミミ君大丈夫?」


「あ~…うぅ…」


何やら具合が悪いらしく頭を押さえる獣人の少女


「す、すまない!

忠告するべきだった」


「いえ…大丈夫です…すみません、休ませていただきます…。」


うずくまる獣人の少女の頭に旅人は自身の被り物を乗せてやる


「あはは~…こりゃあの子にする頼み事増えちまったなぁ~」


「カタミミ君、どうして具合悪くなったの?」


「さっきの音は獣人の子しか聞こえないんだが、その…近くで聞くととんでもなく耳に障る音だから…」


「今から来る子も獣人だからさな

あの子ならこういう時どうしたらいいかようけわかっとるはずだから大丈夫じゃよ

だからカイも落ち着きなはれや」


「そう、そうだな」


女性は妙に高い動悸を押さえつけようとする



「イチチチチ…そうやってボクの苦労が増えるわけだ」


壁のレンズに目がぎょろりと動いていた


「わー…わー?」


「おっと、知らない顔がいるね

君がさっきの高い声の子かな?」


グルングルンとレンズの中の眼球は回る


「チビって声、高いの?」


「まぁ、私達と比べたらな」


「イチチ…とにかくそこのアイカ嬢ちゃんを連れてきてくれ

報酬は弾ませなよ」


「あいあいさ」


旅人は獣人の少女を軽々と持ち上げる


「それなんだが、私はここで帰るからその子に言付けを残しておきたい」


道案内はこれでおしまいと言わんばかりにフードを深く被る


「おやおや、アイカちゃんは君にご執心だけど根はいい子だよ?」


「…だからさ

私といていいことなんて何一つない

元々その子とはすぐにでも離れるつもりだった」


「…例え、彼女の本心を傷つけることだとしても君は彼女をここに残していくのかい?」


「…子供の夢を大人になっても覚えてるやつなんていないさ

子供の夢ってのは子供の内に追いかけるから夢なんだ

大人になったら邪魔でしかない」


「その割に君の論は全て子供の夢のようなものが多いけど?」


「私が子供な証拠さ

その子と私は違う」


「この子は君と同じように夢を追いたがってるじゃないか」


「理想を現実にしようとしていない時点でその理想は所詮机上の空論、ただの妄想事さ

だからこそこの言葉を預ける


人に妄信するのではなく、したいことだけを追いかけろと」


「…イチチ…君って本当にわからない子」


「私からしたら君のほうがずっとわからない子だけどな」


「イチチ!これ以上は無理ってか

分かったよ

その言葉預かった」


女性は驚いた顔を浮かべた旅人といつも通り真顔な少女の方へ向き直る


「か、カイ…」


「さよなら、ミル

これで本当に最後だね」


「…ううん、最後じゃないよ!

さよならじゃない!…またね」


「ふっ…そうだな

またな、ミル」


今度は女性は少女の視線に合わせる


「ここでお別れだ、チビ」


「…ナーガ君はいいの?」


「元々私はここで別れる予定だったんだ

ここからはこの目の人に」


「ううん、そっちじゃなくて

カタミミ君ともうお別れしていいの?

きっとだけどカタミミ君、またごめんなさいに会っちゃうよ」


「それは…」


「それに言葉を残して自分だけ帰っちゃうのだめだと思う

もしもカタミミ君がチビみたいに全てが空っぽになったら…カタミミ君じゃなくてナーガ君が辛い思いすると思う」


「…。」


「それにチビね、思うんだ

カタミミ君は大人ってやつになってもきっとナーガ君のこと忘れないと思う」


「…どうすんだ、カイ?」


黙って聞いていた女性は口を開く


「…私はここで帰る」


「カイ…」


「…。」


「ただ、さっきの言葉変えてもいいか?」


「イチチ…もちろんだよ」






来る時の四つの足跡が元居た場所へと道案内してくれる

五つの足跡が歩みを進める度に出来上がる

足跡に反して耳元が寂しいと感じたのはきっと久しぶりの友との再会を果たしたからだと女性は言い訳を心の中で呟く


シン…と静まった白世界


「あの!」


そこに響く一つの音


「…私、ずっとついていってもいいですよね」


「…。」


「期待してもいいんですよね!?」


言葉を放つたびに縮まる距離


数刻前に残した言葉


『耳を傷めたりしてすまなかった

詫びたいが今は何も持っていない

好きな時にここより北東12kmにある廃村へ訪れてほしい』


「…好きに捉えな」


獣人の少女はぱぁっと顔を明るくさせる


「これからの護衛もお任せください!」


「…耳は大丈夫なのか?」


「はいっ!ストリートチルドレンの方に診てもらいましたから」


「そうか」


足跡が六つ、五つそして二つへと変わっていく

その二つの足跡は途切れることなく村まで続いていったことは言うまでもない

違う小説のイラストばっか描いてたら病んだので休みついでに

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