白銀の世界で
初投稿につきお見苦しい点がありますが、趣味として初投稿。
もともと作文苦手なのに読むのは好きだから上手く書けたらいいなぁと思いちまちま書きます。
太陽に照らされてキラキラ光る一面の白銀の世界。
一年中生い茂る常葉樹も今は雪に覆われ、白銀の世界は徐々に光を失い全て闇にのまれていく。
かろうじて感じる陽射しの暖かさもすべて闇にのまれ、ただ凍てつく寒さと暗闇が広がっている。
せめてもの救いは風がない静けさだけだ。
…ずり…ずずず…
ずり…
雪に覆われた森の中。雪下に隠れた少ない木の実を探して、木の間を縫うように細い獣道が続いていた。
その獣道をなぞるように歪な獣が動いている。
…ず…ず…
はっ…はっ…
最初は温かさも感じた息も、呼吸する度に冷たさに飲み込まれていく。
…ずずず
はっ…
ぽつぽつと獣の道に赤い血の色が混じっては消える。
獣道に横たわり、少年は熊の生皮をかぶって少しずつ獣道を這いずる様に進んでいた。
少年が少しずつ進む度に獣道を染める赤い血は少年の命を少しずつ削っていく。
ず、ずずず…
少し進むごとに寒さで震える手足で後ろの雪を崩し血の跡を少しでもと消してた。まわりが闇に飲み込まれると寒さで、何も感じなくなった手足を必死に動かし少しでも前に進もうと動いていた。
はっ、はっ
ずり、ずず…
熊の皮に隠れた少年の背中は右肩から左腰にかけて斬られ、左うでに付けられた皮の小手は半ばから切れて辛うじて留め具で腕についている。
皮で出来た手袋は中に綿が詰めてあったが這いずるうちに綿がでて既に指先が出てしまった。
少年の胸には皮の胸当てがあったが後ろから襲われると同時に血と共に剥がれ落ちた。
突然の衝撃に、受けた時は斬られたことにさえ気づかなかったが後から焼かれるような激痛で自分が受けた傷の大きさを感じたが、寒さでもう何も感じない。
ーずず、ず
ふと首に巻かれた不格好のマフラーが頬に触れる。
ーー兄上、無事に帰って来てください。
不安そうに見上げる弟にいつものように不適に笑って出るときに弟に無理やり押し付けられたマフラーが少しずつ凍っていく。
背中の傷は血で染まった服がこの寒さで凍って血止めの役割をしてくれていた。
既に死んでいてもおかしくない致命傷を負い、追跡者を振り切ろうと常に気を張り続け、少しずつ獣道を森の奥へと進みまだ生ようとしていられるのは…
少年の目はギラギラと赤く光っていた。
