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5.夏と秋の間

 久しぶりに外へ出た。先日外出した日は、汗が肌を伝う程の猛暑日だった筈が、今日は一回り気温が低く、風も冷たい。


 月を跨いだ途端、自然達が夏の終わりを知らせる。モクモクと膨らんでいく入道雲。生き抜くために五月蝿く鳴き続ける蝉。暑さを更に感じさせる生温い風。……そんな雲も、五月蝿い蝉も、生温い風も、今はどこにもいない。


 耳を澄ませば遠くで蝉の鳴き声が聞こえたが、それも、あと数日もすれば聞こえなくなるのだろう。


 植物に水をやった。炎天下にある水道は、暑さによって、水が温められる。夕方、植物に水をやる時、シャワーからは決まって熱水が放出される。徐々に冷たい水へと変わっていく感触を、片手で確かめる。変な意味で、夏の楽しみの一つだった。


 今夕も植物に水をやった。シャワーから水を放出した時、最初から冷たい水が出てきた。夏の終わりを感じた。


 今、夏を感じるものと言えば、遠くで鳴く蝉と、日光の暖かさだけだった。


 夏の終わりを知らせる日光の熱と、秋の始まりを知らせる冷風が同時に感じる日。


 晩夏と初秋の間。それは不思議な感覚だった。

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