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今宵もきっと月が綺麗ですね。  作者: ハクモクレン
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惹き寄せられる恋心と罪悪感の天秤

前回同様、彼はきっと私を気遣って少しづつ選べるバイキング形式の

お店を選んでくれた。


「急にお誘いなんて珍しいですね!」

内心の嬉しさとにやにやをどうにかこうにか抑えつつ会話する。

メールのやりとりや、日々の会話で距離もだいぶ近くなってた。


「たまたま早く仕事終わって食べに行くならと思ってね。

どうせごはん食べないつもりだったでしょ?(笑)」


最近めっきり食べれなくなってた私を心配してくれてたんだろうなあ。

冗談交じりの中にやさしさが詰まっていてついつい期待が膨らむ。


“ひょっとして”っていう淡すぎる期待が。


バイキング料理の取り分けが上手だとか選択するのがうまいとか

ほめちぎったり好きな本の話やお勧めの本など。

たくさん話してたくさんの出来事を共有した。


その後はお決まりのカラオケ。


前回から採点ゲームで勝った方が1つ言う事を聞く、っていう

変な賭け事をしていた。私は前回1勝。(笑)


「どうせ今日も私が勝つんですから(笑)」


もう、にやにやがきっとあふれ出てたに違いない。

こんなに楽しくていいのかな、って不安に駆られるぐらい。


2Hみっちり歌って見事私の勝利!(笑)

本気で悔しがる彼。


「だからいったじゃないですかあ~~(笑)」

ご満悦の私に悔しさを滲ませながら彼は

「3回勝負だからね。まだ終わりじゃない!(笑)」


いやいやいや!3回勝負なら私の勝ちやないか!!

って心の中でさんざん突っ込みながら。(笑)


そしてあっという間にお開きの時間。

定着しつつある待ち合わせ場所でお別れ。

なんだか心が苦しい。


「じゃあ。」


そういって彼が駅のホームへ歩いていく。


「ありがとうございました!

また誘ってくださいね!」


さっそくケータイでメールを作成し始める。


帰りたくない場所へ帰らないといけない空虚感と共に。


あれ以来同棲の彼は私に一切触れる事はなくなった。

彼との距離が縮まれば縮まるほど罪悪感に苛まれる自分がいる。

“早くお別れしないと” そんな感情が足早に迫っていた。


ドアの前でカギを開けようとするたびに

息が苦しくなる。

変わらない接し方でいつも迎える。


「おかえり。ごはんは?」


何気ない言葉のやり取りさえも心に突き刺さる。


「友達と食べてきた。」たったこの一言さえも重い。

あぁ。だめだ。早く寝てしまおう。


お風呂場に逃げ込みそそくさとシャワーへ逃げる。


こんな日常、いつまで続けるんだろう。


さっきとはうって変わって真逆な感情。

「はあ。楽しかったのになあ。」

そんなことを考えながら彼が寝入るのを待った。

あれ以来、彼より先に寝る事が出来なくなってしまった。


「~~♪」


彼の色で光る。

途端に心の色が変わる。


「またご飯行きましょう。

賭けのもの、考えといてくださいね。

ちゃんとご飯食べなきゃだめですよ(-_-)/~~」


止まらない。

いらんこと考えるとまた不眠になっちゃう。

彼から借りた本でも読みながら違う事を考えよう。



そしてメール内で「DVDを一緒に見たいね。」っていうやりとりを

してから数週間が経った。

そしておたがい残業weekへさしかかっていた。


いつもどおり皆が帰った一室で1人カタカタパソコン業務を

行うのが2人。

合間合間にふざけながらしゃべったり音楽の共有をしたりする2人。

そんなこんなでひょんなことにそのDVD鑑賞の話になる。


「ところでDVDいつみるんですか?」


急に振られた私は焦りながら話題を1歩ずらす。


「逆に何が見たいんですか?w」


そこからは何を観るかの議題に。

あれもいいな、これもいいな。ああだこうだ言いながら

残業はあっという間に終わってしまった。


日程も決まらずだったしこれは流れるだろうな。

ましてや自分の家なんて今の私にはないし。

同棲している彼がいて別れ話の真っただ中なんて

到底言えやしない。いや、言えるわけがない!!


悶々としながら帰路について早めに寝てやろうと

思ってた矢先。

「~~~♬」


彼の色だ。


急いで携帯を開く。

「場所どうします?俺ん家でもどちらでもいいですよ。」


「!!!!」


まさかの決行ですか!どう考えても無理がある。

でも会いたい。一緒にいたい。もっと知りたい。


そんな感情が先走っていた。




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