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今宵もきっと月が綺麗ですね。  作者: ハクモクレン
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今夜もきっとあなたを探して

いつからだろう。こうしてこの時期の季節が廻るたびに

まるで本能のように純白の白い、とても手には届かないあの花を

探してしまう様になったのは。

今もこうして同じように探してくれているのかな。

なんて、とてつもなく淡い期待に心を寄せながら。

今年もまた、一度でいいから目に焼き付けたいと願ってしまうんだろうな。






自分の為に生きる事を見失ってからどれくらいの月日が流れたんだろう。

そんな馬鹿げたことから背ける様に、誰かの為に生きる事を選んだものの、

どす黒い鉛のような物が常に浮いてるこの感じが嫌で仕方なかった。

“何か”で自分の存在価値を見出したくて、【なにか】に執着するようになったのも

いつからか正直記憶の片隅にも残ってはいない。


その【なにか】がとてもキラキラしだしたもの。

それは今の仕事。そう、まさに天職だった。


誰かの為に、誰かの必要な物を見出し、提供し続ける。

正解がない世界だからこそ正解により近くまで自分を高めようとする。

上へ上へと目指して自分を奮い立たせてここまでやってきた。自分なりに。

それなり恋愛もしてきたし、とことん悩み抜いたり泣き疲れたりもした。

そして年に数回は来る、いわゆる【崩壊期】だって沢山。(笑)

恋愛もダメ、仕事もどん底モードに突入。とにかく何も楽しくなくて、

どん底モードから這い上がる術さえも落っことしてきてしまった状態。


同棲していた彼にもほとほと疲れ果て、夜な夜な彷徨っては上手くいかない

仕事に片足を突っ込んで、を繰り返してた。ただただ単調に。

そんな時に出会った(ヒト)がいた。



白黒の滲んだ景色に少しずつ少しずつ、色づいていくかの様に。


初めはとっつきにくそうな感じ。いわば「必要最低限以外は関わらないで下さい。」

オーラがすごい人。(笑) 話かけない方がいいんだろうな。っていうような。

そんな人と毎朝既定の掃除当番にあたるようになった。


「おはようございます。」の一言だけの会話。


そこから徐々に短い会話をするようになっていく。

当時新しい人と仲良くなるために話しかけるのが単純に好きだった私は、

掃除当番にあたる度に色んな話をした。もちろん過去の恋愛もね。

その過去の恋愛経験の時になぜだかフィーリングがパッと触れたんだ。

きっとそれは彼も同じ。



「ー ー ー ー 振られたんです、(彼女) に ー ー ー ー 。」



ちょっとしたひと昔前に同じような別れ方をした、ってだけだけど。

なんだか親近感が一瞬で沸いたのを覚えてる。



そんな感じで月日は流れたけど、それ以上も以下でもないような、そんな関係だった。

出くわせば二言、三言会話する、そんな感じ。

そうしているうちに同僚の人から飲み会のお誘いがあった。その彼含めて三人で。

単純に楽しそうだったし、もっともっと仲良くなりたい感情が湧いてきてたから

もちろん参加した。ここ最近の精神状態下降気味だったのが救われるようなそんな気がした。



そんな飲み会の帰り道。駅までまさかの二人っきりに。


その時すらもたわいない会話で笑い合いながら帰った事、薄らいだ記憶が鮮明に近づく度に

息がしにくくなるぐらい。胸がきゅーっと切なくなる。こうした今ですら。



そこから少しづつ、また少しづつ。


運命の歯車が回りだした。

私の人生の中から決して消えることのない、色褪せる事のない恋心が ー ー ー 。


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