ファイヤーストーン
「雷光衝撃波!」
「風陣回転脚!」
「光の演奏!」
「アクアビーム!」
「フレィムガン!」
戦士達の攻撃が、ダークキングに向けて放たれた。ダークネスパワーとぶつかる。黒い気の力が弱まった。
今なら押し返せる。美衣子達は気合いを入れて威力を強めた。
「ハアアアアア……!」
ダークネスパワーが消し飛び、ダークキングは戦士達の技を受けて天井にぶつかった後、床に落ちた。
背中の羽が傷ついている。
「やった、のか?」
ジースが戸惑いの声を出す。
が、油断はできない。
案の定、ダークキングは立ち上がった。
額から一筋血が流れる。
少しはダメージを与えられたか。
「このわしにかすり傷を与えるとは……」
驚いた、といった顔だ。
右足を踏み出す。
美衣子達は防御の構えを取った。
「ダークネスパワー!」
恐るべし連続攻撃。
煙が上がる。
その攻撃の隙間を縫って、ワンメーがダークキングに体当たりを仕掛ける。しかし、避けられた。
「ミラクルハリケーン!」
時間差で小人達の魔法が向かう。
体にかすったか。ダークキングがバランスを崩す。
「今がチャンス!」
美衣子が仕掛ける。
「ライディンスピリッツ!」
「むっ」
雷が跳ね返された。ダークキングの回りに見えない壁ができる。バリアーだ。
「そ、そんな……」
美衣子が膝をつく。当たったと思ったのに。
やはり、強い。
そんな彼女の肩にサイーダは優しく手をかけ、語りかける。
「みーこ、諦めては駄目です。ダークキング達黒魔族も、元々は正しい人の心を持っていたのです。彼らの魂を、解き放ってあげましょう」
「サイーダ様……」
美衣子はサイーダの目を見つめる。
サイーダが笑った。
その笑顔に安心して、美衣子は立ち上がる。
「ほう。まだ諦めてはいないか……」
自分をじっと見つめる戦士達に対し、ダークキングは余裕で待つ。
「ダークキング。平和な世界を導く為、あなたの魂を正しいものに浄化します」
サイーダの言葉に、ダークキングは大きなため息をついた。
「フッ、お前達の言っていることは訳が分からぬ」
「えっ?」
「所詮お前達も正義ではない! 邪悪な心も持っているということだ!」
「何ですって!?」
ダークキングの言葉に、美衣子達は動揺を隠せない。
「お前達はわしの部下を殺している。それで本当に正義だ、愛だと言えるのか。お前達は邪悪なもの。勇者も地に落ちたな」
「ダークキング!」
たまらずサイーダが叫ぶが、ダークキングは言葉を続けた。
「お前達にも正義を名乗る資格などない! わしと共に闇の中で生きるべき者達だ!」
「………」
その言葉に誰も返すことができず、戦士達の心は揺れていた。
「そうだ。わしと共に闇の世界で生きぬか? お前達は強い。それは認めよう。強いからこそ、闇の世界で生きるのがふさわしい」
「いいえ! それは違うわ!」
ダークキングの言葉を遮るように、美理子が叫んだ。
「本当の強さとは、みんなを守り、そして全てを愛することよ! 確かに、わたし達は、あなたの部下を殺したかもしれない。償いきれないことをしたかもしれない。しかし、だからこそ、後に残ったわたし達が、平和な世界を取り戻し、住み良い地を創ることが、今わたし達にできる償いなんじゃないの? 同じ過ちは、もう繰り返しては駄目なのよ!」
「美理子……」
彼女の熱い思いを聞いた仲間達は、元気を取り戻した。
「フッ、よかろう」
戦士達の様子をじっと見つめていたダークキングの態度が変わる。
「最後の決着をつけてやる!」
彼の目の奥に炎が宿った。
激しい憎悪を感じる。
一瞬、その気に怯えたが、負けじと気合いを入れる。
「みーこ、まずはダークキングの持つ欠片を手に入れることが先決よ」
「うん。行こう美理子!」
二人の足が宙を蹴り、駆ける。先制攻撃を仕掛けるつもりだ。
「エレクトロニック・サンダー!」
「アクアビーム!」
左右から同時に魔法を放つ。
ダークキングは両手を大きく広げた。
「ふんっ」
力を込める。両脇に二つのバリアーが現れ、美衣子達の魔法を弾いた。が、それによって胴体が隙だらけになっている。
サイーダがすかさず聖なる気を当てた。おへそのちょっと上に命中する。ダークキングは痛みで片膝をついた。
「ううっ……」
ガードしている暇はなかった。完璧なタイミングで攻撃が当たった。
「わしの行動を、読んでいたという訳か……」
痛みで顔を歪ませながら、ダークキングは言う。
「ダークキング、欠片を返してもらうわ!」
美衣子と美理子が横から迫る。
ダークキングの手は、腹に添えられてはいない。
両手の手のひらが、床にぴったりついている。
「……!?」
それに怪しさを覚えたジースは、美衣子達を止めようと叫んだ。
「みーこ、美理子、ダークキングから離れろ!」
「えっ?」
「無駄だ!」
美衣子達は足を止めたが、彼女らの足元の床にヒビが入って割れ、隙間から黒い手が何本も出てきた。
「!!」
その手は彼女達の体を持ち上げ、縛りあげる。
「みーこ、美理子!」
ダークキングの気が床下を這い、彼女達を拘束したのだ。
ダークキングが立ち上がった。
人差し指をクイッと立てると、美衣子達を拘束している黒い手が一本、首の方に動く。
「……! まさか……」
首をゆっくり絞められた。息が苦しく声が出ない。
「止めろ!」
「動くな」
パンパンがバチを取って投げようとするが、ダークキングが遮る。
「mirikoworldの者共よ。武器を捨ててひざまずけ」
「……!」
「その間に、この者達が死ぬぞ」
「分かりました」
サイーダがダークキングの前にひざまずく。
戦士達もそれぞれの武器を床に落とし土下座をした。
「フッ」
ダークキングがサイーダの目の前に立ち、ダークネスソードを形成した。
「いい姿だなサイーダ。あまり苦しめたくはない。一気にいかせてもらう」
(駄目……)
ダークネスソードがサイーダの心臓に標準を定めた。美衣子と美理子は苦痛の中、それでも必死にもがいた。
「さよなら、サイーダ」
(駄目ーーーーーっ!)
サイーダの心臓をダークネスソードが貫く寸前だった。美衣子と美理子のペンダントが光り出したのは。その光は、彼女達を苦しめていた黒い手を消し去り、戦士達に届いた。
「な、何っ!?」
ダークキングが振り向く。その顔は驚愕していた。美衣子達は無事に降りてくる。
「ファイヤーストーンの、欠片が集まる……」
サイーダの服の中から、三つ目の欠片がひとりでに飛びだし、美衣子の側にくる。
共鳴しているのか。
さらに、美衣子と美理子がダークキングの方に手をかざすと、
「何っ!?」
二つの欠片が飛び出る。
これで、全ての欠片が集まった。
後はこれを、空に掲げて、元の形に戻すだけだ。
欠片は美衣子達の手の中に。
サイーダが促す。
仲間達も、安堵の表情で眺めていた。
「止めろ!」
ダークキングが欠片を取り戻そうとするが、ジースとアヤが素早く拾った剣で遮る。
「邪魔はさせない!」
美衣子達はゆっくりと欠片を上に上げた。




