美理子、サイーダより
みーこ、わたしの親友みーこ。あなたに救世主の力があると聞いたのは、うさちゃんの手紙にあった通り、彼女から聞いたからなの。サイーダ様が氷漬けにされた当時、わたしはまだ4才。両親が急にいなくなった訳も、聖地ミリルークから移動しなくちゃいけなくなった訳も知らなかった。って言うか、覚えていなかったのかもしれないわ。人間は、あまりにショックな事があると、その出来事を忘れると言われているから。
その一緒に避難した人達の中に、偶然にもうさちゃんがいた。わたしは一人っ子だったから、お姉さんができて嬉しかった。そして仲良くしていくうちに、救世主の話が出たのね。
わたし達は、避難を続けながら、同時に住む場所を探していた。他の村を回っているうちに、パンパンや動物トリオ、妖精達と知り合いになって、いつしか自分たちで、黒魔族を倒そうという会を結成したの。でも、まだ子供だったから、それぞれ大人の力を借りて自分たちの技を習得した。それが、今のメンバーとの出会いよ。
でも、想像していたより、黒魔族との戦いは困難を極めた。それで、あなたを呼ぼうという話になったの。自分でも不思議なんだ。何故ゲートを開くことができたのか。あなたに会いたいという気持ちが強くて、無意識に開いちゃったのかな?
あなたは、想像していた通り、優しくて強さを持った人だった。人懐っこくて、素直で。わたし、一つだけ謝りたいことがあるの。初めてあなたをmirikoworldに案内した時、わたし馴れ馴れしい態度を取っちゃったね。ごめんなさい。同世代の友達って、あまりいなかったものだから、仲良くなりたくて焦っちゃった。あの時、気を悪くしたんじゃないかって、後悔していたの。でも、言えて良かった。
今では、こんなに仲良くしてくれてありがとう。唯一無二の親友って、多分、あなたみたいな人のことを言うのね。だから、何かあったら、わたしに相談してね。わたし、みーこのこと好きだから、いろんな話をしたいな。そしていつか、お互い大切な人ができたら、恋の話をしようね。
ねぇ、あなたはどんな人がタイプなの? 辛い戦いの最中だけど、たまにはこんな話題で盛り上がるのもいいよね。女子会とかもやってみたいし。
わたしの初恋はね、6才の頃だった。恋かどうかも分からなかったけど、年上のお兄さんで、避難先の村にいたの。目が大きくてクリッとしていて、カッコ良かった。でも、それからすぐに村を離れたから、後のことは分からないの。元気でいてくれるといいな。
だから、あなたに好きな人ができたら、幸せになってもらいたいと思う。あなたの初恋の話も聞きたいな。もしかして、人間界にいたりして。
◇◇◇
みーこ、あなたを人間界に逃したこと、私は今でも後悔しています。あなたが真実を知った時、相当なショックを受けるだろうということは、容易に想像できたのです。しかし、あの時には、そうすることが一番最良の方法だったのです。
救世主の力を持ったあなたを守る為、どうするべきかということを、水仙人やあなたのお母様と共に、悩み、考えました。もちろん、あなたをこのままmirikoworldに留めておくこともできました。が、その場合、黒魔族に狙われる可能性は高くなっていたでしょう。結果、人間界に送るのが一番いいという話になり、あなたはお母様と共に、人間界に旅立ちました。
あなた方を守る為に人間界に行くと言ったのは、水仙人自身です。私は本当は彼に残っていて欲しかったのですが、黒魔族が人間界を襲うことも考えられたので、反対はできませんでした。
そして、あなたが立派に成長した時、この地に戻って来てもらう予定でした。しかし、ダルの力に負け、私は氷漬けにされ、美理子達があなたを呼んだようですね。
あの時は、自分の力の無さを痛感するばかりでした。あなた方に心配をかけたこと、詫びるしかありませんね。ごめんなさい。ミリルークの街の人達の中にも、犠牲者が出たこと、心を痛めています。
ですから今、私にできることは、黒魔族を倒し、平和な世界を取り戻すことだと考えています。mirikoworldの女王として、私に与えられた使命があるならば、それを成し遂げなければなりません。出来れば、戦わずに済めば一番いいでしょう。失われた命は、戻ってはきません。命の重さは、誰しも同じです。その命を守りたい。心より、そう願います。
みーこ、人間界で、本当に愛されて育ったのですね。成長したあなたは、明るくて好奇心旺盛で、何より他人を思いやる心を持っています。人として、尊敬します。
最後に、もう一度、あなたに会えて良かったと思っています。もう、会えないかと思っていましたから。
本当に、良かった。
お待たせしました。番外編は今回で終わりで、次回からは本編に戻ります。
息抜きとして、読んで頂けましたか?
それではまたね。




