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miriko world〜救世主に選ばれた少女の異世界冒険記〜  作者: 北村美琴
第5章番外編美衣子への思い〜手紙風〜
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うさちゃん、動物トリオより

 それは、人間界にデスキャッスルが現れる前。

 美衣子は仲間の一人一人から、手紙をもらっていた。

 手紙には、彼女に対する思いとか、自分たちの事とか、まあ色々書いてあった。

 それでは、ちょっとその手紙を覗いて見よう。

 最初はこの方、うさちゃんこと、ラヴィーナンジェラ・フェラシード・グランジーから。


        ◇◇◇


 こんにちは、みーこ。うさちゃんです。って、ここは改めて本名で書こうかな。ラヴィーナンジェラ・フェラシード・グランジーです。何だかこのあだ名が気に入っちゃって。自分の本名まで忘れそう。って、こんな話いいわよね。そう、あなたと初めて会ったとき、三年前だっけ、何か小さい女の子が来たなって思った。でも、笑顔が可愛い子とも思った。正直、救世主の力を持つ子ってどんな子かなぁと不安だったの。遠く離れた人間界から来るんだもの。こちらの世界とは、違う世界だからね。


 仲良くやっていけるかな? とか、怖かったらどうしようとか、わたしなりに色々考えたんだ。けど、あなたに会って、そんな不安はどこかに吹きとんじゃったよ。だってね、あなたはわたし達と同じような、普通の子だったから。


 わたし、しっかりしているとか言われているけど、本当はモンスターとか苦手だし。たまにいるよね、ゾンビみたいなもの。ああいうドロドロ系って本当駄目なんだよね。だから、早く倒してやろうって思う(笑)


 けど、あなたは凄いよ。すぐにわたし達と打ち解けてくれて。きっと、大切に育てられたんだろうなって思う。だって、わたしはウサギの耳が生えてるし、ワンメー、カン、リースは人の言葉を話すしね。人間界に降りてみて分かったよ。動物達は人の言葉を喋らないし、ウサギの耳が生えてる人もいないしね。わたし達の世界での常識が、他の世界には非常識だと思われているかもしれないね。だから、あなたが元々はわたし達と同じようにmirikoworldの人間だと聞いたときは、びっくりしたと同時に安心した。あなたには悪いけど、これで本当に仲間になれた気がしたんだ。


 そう言えば、思い出したんだけど、あなたに救世主の力があるという話。あれ多分、わたしが美理子達に話したんだよ。わたし、聖地ミリルークの生まれなんだ。ミリルークの隅の方。同じ種族の仲間と住んでた。ううん、住まわせてもらっていたの。これは、美理子達も知っている事なんだけど、あなたにも知ってもらいたいから、話すね。わたし、実は聖空間の、mirikoworldとは違う国から来たの。グランジー王国という、うさぎ人間だけの国。本当に、小さな国だったけど、楽しかった。お父様が、王様だったの。けど、黒魔族に襲われて、滅んだ。途方にくれたわたし達を救って下さったのが、サイーダ様だった。わたしは、両親と残った国の人と一緒に、ここに住むことにしたの。三才の時だった。もう、グランジー王国の人間じゃないから、本名はなるべく使わないって決めたの。で、サイーダ様の神殿が黒魔族に襲われたあの日、わたし、街の人達と一緒に逃げた。両親を、失ってしまったけれど。ミリルークには、サイーダ様が救世主の力を持つ子を、人間界に逃がしたという話が広まっていたから、美理子達と会って、黒魔族と戦うという話をした時、ポロっとね。で、自分たちで出来るだけやってみようってことで、あなたを迎えに行くのに時間がかかった、というわけ。神殿が襲われたショックで、よく覚えていないんだけど、誰かに話をしたのは覚えている。多分、わたし泣いてた。それから、しっかりしようって思った。


 けど結局、あなたに頼りっきりだね。ゴメンね。あなたよりお姉さんなのに。


 あっ、そう言えば、美理子も不思議よね。どうして人間界へのゲートを開くことができたのかしら。時空を超えるゲートはかなりの魔法力がいて、選ばれた者しか開くことができないのに。きっと、あの子にも秘密があったりして。

 目の前に、ダルという強敵がいるけど、頑張ろうね。そして、一緒にmirikoworldに帰ろう。わたしも、全力で戦うからね。

 みーこ、これからもよろしくね。


        ◇◇◇


 次は〜〜、動物トリオの自称リーダー〜〜、ワンメーだよォ〜〜。ねぇ〜〜、みーこ〜〜、ありがとね〜〜。僕達と〜〜、友達になってくれて〜。


 最初はびっくりしたよね〜〜。話す動物がいるなんて〜〜。特に僕なんか〜〜、こんな喋り方だから〜〜、飽きちゃうよね〜〜。いっつも、イライラするって〜〜、リースに言われるんだ〜〜。


 ほら〜〜、リースって〜〜、気が強い事あるじゃん〜。カンも〜〜、考えてみたら〜、気の毒だよね〜〜。ずっとリースに〜〜、気を使ってさぁ〜。


 あの二匹って〜、付き合ってるんだよ〜。あ、知ってた〜?でもまあ〜、お似合いの二匹だよね〜〜。


 でもまあ君は〜〜、優しいねぇ〜。こんな僕達でも〜、普通に付き合ってくれて〜〜。

 イライラしない〜? でも止められないんだ〜〜。この喋り方〜。生まれつきというか〜。なんか〜、楽なんだよね〜〜。


 という訳で〜、これからも〜、よろしくね〜。

 早く走ることしか〜、取り柄のない僕だけど〜、君の邪魔にならないように〜、頑張るよ〜〜!

 じゃあ、次はカンだよ〜〜。


        ◇◇◇


 う、うん。ワンメーからバトンタッチしたカンだよ。で、いいのかな……? ワンメーが書いた通り、ボクとリースは付き合ってるんだ。で、でも……、ボクは、気が弱くって、いっつもリースに、怒られていて、で、でも彼女のことは好きで……。


 あ、違う。君のことを書くんだった。えーと、き、君は……、可愛いと思う。美理子やうさちゃんも美人な方だと思うけど、君は、その、独特な雰囲気があるね。聖なる気というか、救世主の力なのか分からないけど、優しくて力強さを感じる。


 その、それから……、人間界での服。学校の制服だっけ、あれも良かったよね。アジトで再会した時に見たけど、胸のリボンが可愛くて。えっ、べ、別に胸を見ていた訳じゃないよ。ちょっ、何するのリース。まだ書いている途中だよ。えっ、もういいって?

 あーーー! また怒ってる……。


       ◇◇◇


 もう、カンったら、アタシという彼女がいて、他の女に目移りするなんて、許さないんだからネ!

 しかも、胸の話をするなんて。どーせ、アタシはペッタンコですよーー。って、ちょっと待って。

 みーこもそんな胸ある訳じゃないじゃん。というか、変わっていないんだネ。ほら、前にこの街の宿屋でさぁ、一緒にお風呂入ったじゃん。その時から、成長してない? あ、ごめん。別に悪口じゃないのョ。アタシと同じだよねー。そっか、カンったら、やっぱりアタシがタイプなんだ♥️ そっか、そうだよね。アタシ、可愛いもんねーー。


 と、のぼせている場合じゃない。えっと、みーこはいい子だよォ。人間界に行った時、アタシ、死にそうな目にあったもん。


 公園散歩してたらね、小さい女の子がいたから、アタシ、近づいてみたんだ。そしたらね、いきなり、ギャーって大声出して、トカゲ、トカゲって騒ぐんだよ。その子のお父さんみたいな人が来て、アタシの尻尾を持ってブンと投げたんだ。そこに車が……。危うく、死ぬとこだったよ。人間界じゃアタシ達、こういう反応されるんだって、悲しくなったョ。その点、みーこはアタシ達を見ても悲鳴一つ上げなかったよね。だから、みーこはいい子だよ。アタシが言うんだから、間違いない❗ ちなみに、アタシはトカゲじゃないからね。

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