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邪神 ダークキング

 ダルがダークキングに殺された。その事実は、美衣子達に衝撃と恐怖を与えた。黒魔族の中で、邪神として崇められている存在。そのダークキングが、目の前にいる。自分達を処刑しようとしているのに、体が動かない。冷や汗が出る。今まで、それなりに戦いの経験は積んできた。が、敵にこれだけの恐ろしさを感じるのは初めてだ。

 それだけ、強い敵ということだろう。


 サイーダは、そんな美衣子達の様子を察し、このままではいけないという思いから、一人ダークキングに立ち向かう態度を取った。


「ダークキング。私達は、今までどんな苦しいことがあっても、ここまで戦って来ました。それは全て、いつか平和で温かい世界を築くために歩いて来た道です。あなたが闇の世界を作ろうとするなら、私達は自分達の世界を守るために戦います。そして、あなたを倒します」

「サイーダ様……」


 サイーダの強く、優しい光を感じ取った美衣子達は、再び勇気を取り戻した。


「よかろう。お前達を倒し、この世界を闇で満たしてくれる! そうすれば、我が一千年前の恨みも晴れるというもの!」

「一千年前の、恨み!?」


 ダークキングがふと口にしたその言葉に、戦士達は興味がわいた。


「そうだ。一千年前のあの最後の決戦の時、わしは後のmirikoworldとなる大地を指揮していたあの女、救世主ミーアノーアに力を封じられ、眠りについたのだ」

「………」

「だがあの女も肉体は滅び、死んだ。決着はつかぬままな。が、生き残りがいたはずだ。そう、あの女の残した娘が! その娘を倒し恨みを晴らすことが、わしの願いだ!」


 美衣子達がサイーダの顔を見る。サイーダは少し緊張しているようだった。


「ダルがお前をこの城に連れて来て、ミーアノーアの娘に間違いないと思った。一千年の時を超え、まさか出会えるとは、不思議なものだな」

「それで、私もみーこ達と一緒に処刑するおつもりですか?」


 黙ったままだったサイーダがついに口を開いた。


「ああ。母娘(おやこ)ともども、わしに歯向かうのなら。さぁ行くぞ! ダークネスパワー!」


 ダークキングの顔が真剣な眼差しになる。それは最後の戦いが始まることを示していた。彼の放った妖気が、まるで蛇のように妖しく迫って来る。


「ここまで来たんだ! みんな、最後まで戦うぞ!」


 ジースがみんなをまとめる。


「アクアビーム!」

「ライディンスピリッツ!」

「風陣回転脚!」


 それぞれの必殺技が打ち出される。


「さて、俺も……」


 ジースが雷光剣を構え、新たな技を放つ。


雷光閃光弾(らいこうせんこうだん)!」


 雷光剣のエネルギーである稲妻を球状に無数に発生させ、それを敵にぶつける技だ。


 シュッシュッシュッ。


 ジース達の技と、ダークキングのダークネスパワーがぶつかり合い、互いに消滅した。


「フッ」


 しかしダークキング自身にはほとんどダメージがない。彼はまたダークネスパワーをぶつけてきた。さっきより、大きいものを。

 小人達が森の精霊に祈る。


「生きとし生ける森の精霊達よ。奇跡の力を僕らに与えたまえ。そしてその力で、闇から生まれしものを吹き飛ばしたまえ。ミラクルハリケーン!」


 嵐の如くパワーアップした風が、奇跡の力を得て、ダークキングに向かっていく。

 その嵐を後押ししてくれるのは、サイーダの聖なる力だ。


 ドカアアーン!


 ダークネスパワーを吹き飛ばし、ダークキングの体が宙に舞う。

 このままいけば天井にぶつかる。


「フフッ」


 ダークキングの背中に羽が生えた。

 空中で止まり、右手で放った邪気でミラクルハリケーンを消し去る。

 そのまま急降下。

 徐々にサイーダに近づく。


 キラッ。


 手にはダルにトドメを差したあの黒い剣が握られていた。


「ダークネスソード!」

「サイーダ様っ」


 パンパンと妖精二人がサイーダを守る。


「光の演奏!」


 妖精達の奏でるオカリナの音色が、部屋中に響き渡る。本来なら敵を眠らせる効果があるのだが、さすがはダークキング。目はパッチリ開いている。どうやら、あまりにも強すぎる相手だと効果はないらしい。が、少しはスピードを抑えることはできたようだ。


「エレクトロニック・サンダー!」


 ダークキングの動きを良く見ていた美衣子の魔法が炸裂。サイーダからダークキングを引き離した。

 ダークキングはクルッと回転して着地。羽をしまう。


「やるな。お前達。わしの相手にふさわしい」


 彼は余裕で服の汚れを拭った。驚くべきことに、ほぼ無傷だ。あれだけの攻撃が、効かなかったというのか。

 さすが、邪神といったところか。こちらも死ぬ気で戦うしか勝機はない。

 一定の距離をあけて、出方を見る。

 ダークキングは、改めてサイーダをまじまじと見た。


「それにしても、その目。あの女、ミーアノーアにそっくりだ。戦いになると、キッと気が強くなる、その目が。背負っている物がある。そんな感じだ。そしてその金髪。そうか。お前はあの男の子供か。まあ、あえて問わん。あの男も、すでにこの世にはいないだろうからな」

「私の事も、死んだと思っていたのですよね」

「ああ。どうやって生き延びたのか知らんが、不思議な縁を感じるな。こうやって母親と娘共々、わしの手で殺す事になるのだから」


 ダークネスソードを、強めに一振りした。


「……!!」


 剣圧で飛ばされ、壁にぶつかる。直接剣に触れなくても、威力は凄い。


「これが、ダークキングの強さ……」


 立ち上がりながら美衣子が言う。


「みーこ、怖いの?」


 隣にいた美理子。

 二人は顔を見合せる。


「うん。はっきり言って怖いよ。ダルが殺されたのを見たら。けど、ここで諦めていいのかな……って……」

「みーこ。そうだね。わたしも怖い。死んじゃうんじゃないかって。けど」


 美理子はダークキングをキッと見上げた。


「わたし達は、戦士だから」


 仲間達が立ち上がる。美理子の気持ちと、みんなは同じだ。


「ほう」


 ダークキングの笑み。


「ならばもう一度、恐怖を与えてやろう!」


 ダークネスパワーの連続攻撃。

 美衣子達も死力を尽くして応戦する。

 どちらも、自分達の望みを叶えるために。

 一方は闇の世界を作るため、もう一方は愛と平和の世界を取り戻すために。

 この戦いは宿命の戦い。

 互いに、引くことのできない戦いだから。



いつもこの作品を応援して下さっている方、ありがとうございます❗さて、次回からは番外編として、仲間達の美衣子への思いを書きます。本編がハードな展開なので、息抜きとして読んで頂けたら幸いです。では、しばらくおつきあい下さいね。

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