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9/11

ストレイガール捜査線

今回の謎は「どこか」です。

 落ち葉の舞う舗道。彼と彼女は横並びで歩いていた。

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

「気持ち悪っ! なに、なんだ皆元(みなもと)、なにを急に笑ってやがるんだ!」

「あ、ごめんね。正志(ただし)くん。つい笑っちゃった」

「いやいや、おいおい、『つい』って笑い方じゃなかったぞ。悪魔が人間を罠にハメたような、そんな邪悪な笑い方だったぞ。あせるわ!」

「えー、そんな笑い方してないよ」にやにやにやにやにやにや。

「現在進行形でニヤケてんだよ、おまえ。なんなんだよ。理由を言え」

「えへへへへへ。私が笑っている理由だねー。じっつはねー。あんまり言いふらすことじゃないんだけどねー。正志くんならいいかなー。えへへー」

「もったいぶるな。はやく言え」

「それを話す前にまず前提として言っておかなきゃいけないことがあって……――実はこの度、正志くんのお兄さんである真斗(まこと)くんと、お付き合いさせていただくことになりましたあ!」

「…………」無反応。

「えええっ! まじかよぉ。――みたいなリアクションはどうした。正志巡査長」

「だれが巡査長だ! てか、別にそこまで驚くことじゃねえだろ」

「え。そなの。そうなの? ――あ、もしかして真斗くんからもう聞いていたの?」

「……直に、聞いていたわけじゃねえけど。まあ、なんか真斗のヤツおかしかったからな。察しはついていた」

「へー。やっぱりやっぱり真斗くんも浮足立っているかんじかな。私だけかと思った」

「いや、こんな風にバカみたいに笑ったりはしてねえけどよ……」

「バカみたいとは何だね。バカみたいとは」によによによによによによ。

「ダメだ。このバカもう手に負えねえ!」

「うふふ。恋愛バカということかな。そうだね。その通りだよ!」にまにまにんまり。

「ダメだ。手も足も出せねえ! いや出したくねえ」

「うむ、真斗くんもバカだし、私もバカ。二人でバカップルだね」にかにかにっかり。

「もうダメだ。もう俺の方がハズい! せめて中身のある話しをしてくれ」

「中身はあるよ。満ちているよ。私の真斗くんへの愛で」にこにこにこにこにっこり。

「皆元をこの場に置き去りにして会場まで俺一人で走っていってもいいか?」

「まってください。すみませんでした」彼女は低く頭を下げた。

「で、とにかくだ。まずはその気持ち悪い笑いをやめろ」

「わかった」――真顔。

「すげえな。何の才能だよ。急に何の感情もないマジメな顔になるとか。切り替えのスイッチが異常に良い。役者になりゃいいんじゃねえか」

「うん、真斗くんにも言われた」無感情な顔。

「逆に感情がねえのも怖いぜ。少しは笑ってもいいから。……で、急に笑った理由は、結局……いや、やっぱりもう予想ができたから言わなくてもいい」

「うん。正志くんとこうして歩いていたら、いつか真斗くんともこうやってデートするのかな、と思って、そうしたら自然と笑みがこぼれちゃったの。えへへ」

 彼女は本当に幸せそうに笑った。

「はいはい。そーかよ」

「だから、ごめんね。正志くん」

 本当に、心の底から申し訳なく謝った。

「なにを謝ってんだ?」

「正志くんからお兄さんを盗っちゃったし。――あとは、なんとなく」

「ただ血縁関係があるだけだ。別に仲も良くもねえし。盗ったわけじゃねえだろ。――あと、なんとなくで謝るな。理由がないのに謝罪するな。ごめんって言葉が安くなるだろ」

「なるほどね。――でも、ホントはなんとなくじゃなくて理由はあるんだけど……」

「あ?」

「なんでもないよ」

「それと、今日のコレは、デートじゃねえぞ」

「そだね。――試合の応援と観戦、だもんね」

「ああ、その通り。勘違いすんな。……しっかし、さみいな。風もそこそこ出てきているし、試合が荒れそうだな。皆元は寒くねえか」

「私の心は真斗くんへの想いで熱々だから、正志くんみたいに手袋などの重装備をしなくても、へっちゃらさ。まったく寒くなんてないよ。熱い想いがあるから」

「じゃあな!」彼は駈け出す。

「まてぇい!」彼女は掴まえた。彼のラケットバッグをガッシリ。

「放せ。俺はもう皆元を置いて行くと決めた」

「行かせるか。私は会場までの道がわからないんだ。エビヤくんにも、正志くんを連れていくように頼まれているし。約束しているし。置いて行かれては困る!」

 揉み合う彼と彼女。

 そんな二人の反対側の歩道から声。

「あれ? みっちゃん」

 それで彼女は気が付いた。

「ん。あれ、寧々香(ねねか)?」





「へえ。おまえ、めっちゃかわいいな。名前は?」

「え、苗倉君? あの、うちは――」

鷲尾(わしお)寧々香。私の親友。――で、正志くんが名前を聞いているそのワンちゃんはゴンザレス。通称ゴン。鷲尾家の番犬。ヨークシャテリアのオス。たしか2才」

「わん」相槌を打つように鳴いた。「へっへっへっ」荒い息遣いで楽しげに尾をブンブン振る。

「触っていいか?」彼が飼い主に確認をとる。

「あ、ゴンのこと言っていたのね……」すこし残念そうに「どうぞ」と許可を出した。

 嬉しそうな彼が手を伸ばすとゴンは腹を見せた。

 手袋のままでお腹をワシャワシャワシャ。

「二人はどこに行くの? あ、もしかしてデート? ごめん。うち、邪魔を――」

「ちがうちがう。紹介するね。彼は苗倉(なえくら)正志くん。真斗くんの双子の弟。話したことあるよね」

「あ、そうなの。じゃあ彼が……」

「で、私たちはテニス友達の試合を応援しに行くところなんだ。寧々香はゴンの散歩?」

「うん、散歩。受験勉強の気分転換も兼ねて」

「受験、勉強。うっ……頭が」

 額を押さえた。彼女のジョークだ。全員スルーした。

「あ、そうだ。うち、ここに来るまでに見たよ。テニスの試合。(かおる)ちゃんもいた。新人が大活躍しているって盛り上がってたよ。大白鳥(おおしらとり)運動公園だったかな」

「あ、たぶんそれだわ。薫ちゃんってテニス部だもんね。寧々香、その大白鳥公園ってどの辺りにあるの? まだ歩く?」

「この道をまっすぐで着くよ。5分くらい」

「よかった。それなら体力的にも問題ないし。じゃあ正志くん、行きましょうか」

 彼はまだワシャワシャやっていた。

「なんか正志くんとゴン、仲いいね。慣れてるね」

「おう。なんか昔から動物には好かれやすい体質なんだよ。俺も好きだし」

「へー、なんか意外」

 彼はゴンのお腹から手を放した。

「さて、んじゃ行くか」


「あの苗倉、正志君!」


「ん? なんだ」

「寧々香、どしたの」

 緊張した面持ちで、切り出した。

「少しお話ししたいことあるの。できれば……二人きりで」

 彼女が疑問に思って問いかけた。

「もしかして寧々香って、正志くんと面識あったの?」

「うん。小学生のとき、たぶんだけど……」

「たぶん? どゆこと。――あ、でも、寧々香って転校生だったもんね。私とはじめて出会ったのが赤鳥(あかとり)小学校に転校してきた小四のときだった。寧々香の前の学校――青辰(あおたつ)小学校であったことがあるということだね。あれ? ということは、真斗くんとも面識があったの?」

「うん。苗倉真斗君とはクラスメイトだったの」

「ん。正志くんとは?」

「……それを、ちょっと確認したくて」

 恥ずかしそうに下を向いて話す親友を見て、彼女は思い至る。女の勘である。

「じゃ、私は先にエビヤくんの試合を見に行ってるよ。場所もわかったし。正志くん、またあとで」

「ん、ああ」気の抜けた返事をする。

「それじゃ寧々香。……がんばってね」

「が、がんばるって……なに言ってるの、みっちゃん!」

「うっふふふー」

 彼女は面白げに笑いながら去っていった。





 彼女が去って、路上に残った二人。

「わん」――そして一匹。

「ごめんね。苗倉君。引きとめちゃって……実は――」

「あのハムスターの件、か?」

「えっ、あ。まあ、うん。そんなところ――あのときは、ありがとう。まともにお礼も言えなくって……」

「いや、べつに」

「あのとき苗倉君が、うちのせいだって教えてくれなかったら、きっと誰かを恨んでいたし、反省もできなかったし、後悔だってできなかった。だから、ありがとう」

「いや、もう六年も前のことだしな……あんま覚えてねえけど」

「それから、あのとき元気づけるために貸してくれたマンガも、ありがとう。ごめんね、なかなか返せなくって」

「シピスキの第一巻か?」

「うん。そうそう。とっても面白くて。うち、あれからハマっちゃったの」

「そうか。ま、あれは面白いよな」

「うんうん。返そう返そうと思っていたんだけど返せなくって、なんだか苗倉君が『あのときの苗倉君』とは違う人のような気がして、本当にあれが苗倉君だったのかわからなくなっちゃったの……。やっぱりあのときは正志君の方だったんだね」

「ああ。ま、アイツとじゃあ、俺とは間違えねえわなぁ……」

「それで、うち、あのマンガを貸してくれたのが誰かわからなくって、ずるずると時間が過ぎちゃって、そしたら転校が決まって――。それから中学で苗倉君に再会したの。何度か彼と話す機会もあったんだけど、やっぱり『あなた』とは違う気がして……」

「なるほど」

「それで、七月にみっちゃんから双子の弟がいるって聞いて、もしかしたらって思っていたの。でも、会う機会なんてないから……。ようやく言えたよ。ありがとうって。――それから、借りていたマンガなんだけど、いつ返したらいいかな」

「いや、もう返さなくてもいいぞ。実はあれ、真斗のでさ。また買い直したみたいだし」

「あ、うん。そう聞いていたし、そうだろうとは思っていたんだけど……でも……」

「まあ、どうしても気になるようなら、真斗のほうに返しといてくれよ。もともとアイツのだし、俺が勝手に貸したって言っておけばアンタが文句を言われることもねえだろーし。俺にまた会って返すのは、メンドいだろ?」

「そんなことないよっ!」強い言葉だった。

「お、おう。そうか……」迫力に圧された。

「うん。だから、また正志君にあったときに、ちゃんと返すよ」

「そうか。責任感あるな……。ま、返すのはいつでもいいから」

「ふふっ」急に笑った。

「どした?」

「ごめんなさい」微笑みながら言う。「正志君、六年前も同じことを言っていたから」

「ああ、そういうことか。――そんじゃま、俺はそろそろ行くから。じゃあな。ゴンも」

「わん」これまたタイミングよく咆えた小型犬のあごを、彼は優しく撫でた。

「あ、あの! 正志君。――また、会えるよね」

「ん。まあ、そうだな。機会があれば会えるだろ」

 背を向けて去ってゆく彼の背後で、少女がやっと探し物を見つけたように微笑んでいた。






 人通りの多い運動公園の正面入り口。

 中学対抗硬式テニス大会と書された看板も出ていた。


「なんてことだ。……いったい、私は、どこに行けばいいんだぁ!」

 彼女は演戯風に嘆いてみた。


「……みっちゃん。いったいどうしたの」

「あ、寧々香。――とゴン」

「わん」タイミングよく返事をするヨークシャテリア(2才)である。

「あれ、どうしたの寧々香。正志くんとのお話しは?」

「もう終わったよ。15分くらい前に。いまは散歩の帰り道だよ」

「それで戻ってきた寧々香は、公園の入り口で困り果てている私を見つけた訳か。なるほ」

「やっぱり困っていたんだね。力になれないかもだけど、うちも手伝うよ。どうしたの?」

「どうもありがとう。――いや、この公園、広すぎるでしょ。いいや、広いのは別にいいの。それよりコートが多すぎ! 離れすぎ! これを見てよ」

 彼女は指をビシッ!


 その先には大白鳥運動公園の案内看板があった。地図である。

 公園のド真ん中には巨大なスタジアム。陸上競技やサッカーができる。

 その四方の隅にテニスコートはあった。

 全四面。Aコート、Bコート、Cコート、Dコート。


 広い公園の、四隅に。


「それぞれコートが遠すぎるのよ!」

「利便性よりもデザイン性重視で建造した公園っぽいよね。大きな木は切らないように配慮したって説明が看板にあるし、公園全体がランニングコースにもなっているし」

「近場にこんなに大きな公園、あったんだんだねぇ……」

「利用しないと知らないよね。うちも、ゴンの散歩で多めに歩きたいときにしか来ないし」

彼女は小声で訊いた。「……ダイエット?」

小声で返した。「……うん。先週はアイス食べに行ったりしたから、ちょっと」

「……私も一緒に歩くから今度呼んで」

「……うん。わかった」


 音声を元に戻した。

「さてさて、でもでも、エビヤくんはどこで試合をしてるのかな?」

「みっちゃんは、そのエビヤくん(?)の試合を応援しに来たんだね。そこに対戦表があるから、それを見ればいいんじゃないかな。そのエビヤくんってどこの中学校なの?」

「実は、エビヤくんが何中学なのか、知らないんだよね。……エビヤくんは正志くんのテニス友達で、正志くんが樹海(じゅかい)中高だから、同じだと思っていたんだけど。――いま樹海はAコートで試合をしていて、そこをさっき見に行ってみたんだけど彼はいなかったの……」

「なるほど……。あ、そうだ。みっちゃん。連絡してみたら。スマホ持ってるよね」

「エビヤくんに連絡してみたんだけど、電話でなくて。メッセージも送っているけど、気がつくかどうかわかんないし……」

「そっか。試合中だもんね」

「あと正志くんは、そもそも連絡先がわからない」

「えっ……そうなんだ。じゃあ、お兄さんの苗倉真斗君は? 教えてもらえば……」

「正志くん自身が私に連絡先を教えたくないらしくてね。本人に何度か聞いたことがあるんだけど、教えてくれなかったの。だから真斗くんに聞いても教えてくれるかわなかないし。それに……その、カレシに、別のオトコの連絡先を聞くのは、ためらわれるというか……」

「……バカップル乙ってやつだね。なるほど」

「自分で言うのはいいけれど! 他の人から言われるとなんかハズい! ――まあ、とにかくそういう理由です。はい。おわかりいただけましたでしょうか、寧々香さん」

「苗倉君には聞けないんだね。わかった」

「もう正志くんはエビヤくんのところに着いているだろうな……。早くいかないと。どこに行けばいいだろう。えーっと今の時間だと――」

 彼女は、試合予定の張り紙に眼を向ける。全六校の八チームが対戦表に連なっていた。


 Aコート 樹海 ―― 仲花A

 Bコート 入守 ―― 雨里A

 Cコート 森  ―― INS連合

 Dコート 仲花B―― 雨里B


「……これ、どこに行ったらいいのかな」

「Aコートを見て違ったなら、B、C、Dのどれかじゃないかな」

「そねそねそーね、とりあえずAコートの次に近いBコートに行ってみましょう」





「ハズレだぁ! エビヤくんも正志くんもいない」

 盛り上がっているBコートの脇で、彼女は嘆息した。

「あ、みっちゃん。試合終わったみたいだよ。入守(いりす)雨里(あまさと)Aが勝ったって。今、雨里Aが全勝していて、次の試合で勝てば優勝が決まるって。――あ、聞いていないね」

「わん」腕の中でゴンが返事した。

「……まずい。このままでは私は、正志くんに言葉詰めにされてしまう……」

「いや言葉詰めって、拷問みたいに……。みっちゃん、エビヤくんは何年生なの?」

「え、なんで。たぶん私達と同じ三年生だと思うけど」

「どうやらね、Aは三年生のチームで、Bは二年生中心のチームらしいよ」

「あ、そなの? じゃあ今、Dコートで試合をしている仲花(なかはな)Bと雨里Bは違うね」

 先ほどAコート、そして今Bコートは確認した。二人はいなかった。

「ということは、エビヤくんはINSってことか。つまり、いま我らが母校、(もり)中学校と戦っているINSかぁ……ちょっと応援しづらいなぁ」

「でも、みっちゃん。INSって……」

「ま、でも、どっちも応援すればいいもんね。早くいかないと」

「まって、みっちゃん。INSって何の略かわかってる?」

「え。学校名の略称でしょ?」

「略称だけど、それは、インターナショナルスクール――国際外国人学校のことだよ」

「え?」

「ねえ、みっちゃん。そのエビヤくんって、もしかして外国人なの?」

「あっはっは。そんなバカな。日本人のはずだよ。名前も体付きも肌の色も日本人だし、正志くんとは小学生のころからの付き合いって言っていたし、夏期講習に通っていたから受験生のはずで三年生だし。――んん? おかしい」


 今までのことを考える。

 コートで見て回った学校を確認する。

 樹海中高校。――Aコートで確認。いない。

 仲花中学校。――Aコートで確認。いない。

 雨里中学校。――Bコートで確認。いない。

 入守中学校。――Bコートで確認。いない。

 INS連合。――外国人ではない。いない。

 仲花雨里B。――二年生ではない。いない。


 ――あれ? エビヤくん、どこにもいないんだけど。






 途惑う彼女達に構わず公園内にアナウンスが入った。

『まもなく最終試合を始めます。コートの移動が完了次第、試合を行ってください』

 彼女達は近くにあった対戦表を見た。最終試合その対戦カードは、

 Aコート 森  ―― 雨里A

 Bコート 樹海 ―― 雨里B

 Cコート 仲花A―― 入守

 Dコート 仲花B―― INS連合


 彼女は頭を抱えてしゃがみ込んだ。

「やっばい。このままでは、私は正志くんとエビヤくんから『不義理な女』認定されてしまう」

「みっちゃん。不義理な女認定って、なに?」

「くぅーん」ゴンが心配そうに鳴いた。

「今回の試合は、エビヤくんの最初で最後の中学引退試合だから、ということで応援に来たの。そんな友達の大事な試合を見逃すなんて、友達として酷い……。なんとか見つけないと……」

「え。最初で最後の引退試合? まあ引退試合は最初で最後だろうけれど……。でも、そのエビヤくん、どこにいるんだろうね。エビヤくんってどんな人なの?」

「えっと、テニス好きで日曜日午前中は正志くんとテニスしている。一人称はボク。成績は赤点ギリギリらしい。小学生三人相手にタイマンをはる。単純でよく詐欺にひっかかる」

「うん。役に立たない情報ばかりだね。ところでそのエビヤくん、本名はなんていうの?」

「ん。本名……。そいえば……なんていうんだろう……?」

「ねえ! みっちゃん、エビヤくんってホントに友達なの?」

「いやいや友達だよ。でも、そういえば本名はなんだっけ。LINEも電話帳登録も『エビヤ』だし。……ずーっと前に、だれかがフルネーム言っていたような気がするんだけど。たしかエビヤって愛称は本名を略したものなんだ。――でも、なんで本名?」

「ネット検索すればSNSなどで投稿がアップされているんじゃないかって。そこから学校がわかるかもしれない」

「なるほど。でも、それは望み薄だよ。エビヤくん個人情報に厳しいから」

「そもそも本名がわからなければ、検索もかけられないけれどね……」

「そうだ。エビヤでググってみれば――」彼女はスマホを取り出した。

「みっちゃん。海鮮、甲殻類が食べたいの?」

「そうですね! そういう類のモノが大量にヒットするだけでした」操作は無意味だった。「検索候補――エビヤドリツノムシ……ミミズの仲間でアクアリウムの小エビに寄生する害虫」

「みっちゃん。絶対関係ないよ。エビヤは略称なんでしょ?」

「そだね。エビなんとか、って名前だった気がするけど……」

「そもそもエビヤくんとみっちゃんは、どうやって知りあったの? 友達といわれても繋がりがよくわからないんだけど」

「正志くんのテニス仲間なの。正志くんとエビヤくんの二人は日曜日に川沿いのテニスコートで練習していて、たまーに私もそれに混ぜてもらってるんだ」

 小声で訊いた。「……もしかしてダイエット?」

 小声で返した。「……まあ、そういう側面もあるにはある。大いにある」

「……うちも参加してもいいかな」

「……今度誘うね。でもでも寧々香、それ、ほんとにダイエットが目的?」

「……そそそ、そうだよ!」

 動揺していた。


 音声を元に戻した。

「さてさて、ともかく私とエビヤくんはそんな関係なんだ。カレシの真斗くんの弟の正志くんの友達。彼氏の弟の友達、つまり私の友達。そして日曜日のテニス仲間」

「なるほど。遠いような近いよな……。『不義理』とまでは言われないんじゃないかな」

「でも私はエビヤくんから正志くんを会場に連れてくようにお願いされたし。約束したし」

「ん? どういうこと」

「ああ、誤解がないように順序よく話すと、まず、実は正志くんはテニス部じゃないんだ」

「ええっ! そうだったの? ラケットバッグ持っていたから、てっきり……」

「うん。だよだよ。小学生まではやっていたらしいけど。だからテニスは趣味なんだってさ。それに選手だったら、もっと早くに会場に来ないといけない、でしょ」

「たしかに。みっちゃんと歩いて会場入りするんじゃ遅いし、もし選手なら部やクラブのみんなといっしょに来るはずだよね。うちと、お話ししてくれたし、急いでいなかった」

「うん。正志くんは選手じゃないから大会に来る必要もないんだけど。エビヤくんが見に来るようにって――観戦してほしいってお願いしたの。二人はライバルだからね。ま、正志くん自身は渋っていたけど。実際『うわ、めんどくせえ』とか言っていたし。本人談」

「みっちゃん。正志君のモノマネ似ているね。うまい」

「でしょでしょ? まー、さすがに真斗くんには負けると思うけれど。おっと話しそれたね。――それで、ピッタリ一週間前、先週の日曜日に、その話を聞いた私が、引退試合なら見に行かなきゃダメ、と正志くんを大会会場に連れていことをエビヤくんに約束したの」

「なるほど。だからみっちゃんと正志くんがいっしょに来たのね。――あれ、でも、みっちゃんは正志君の連絡先を知らないんじゃないの?」

「先週、川沿いのテニスコートで会ったときに正志くんと待ち合わせをしていたの。駅に集合。エビヤくんの応援に来なかったら苗倉家にピンポンダッシュするぞ、って」

「脅したんだ……」呆れつつ呟いた。「よく効果があったね……それ」

「それで、私は正志くんをこの大会会場に連行して来たわけだけど。皆元巡査、痛恨のミス! まさか、ここまできて犯人を取り逃がすとは……」

「取り逃がすというより、すれ違いだけど……。それに犯人――いや、犯人じゃないけど――正志君だってここまできたら、もうエビヤくんの試合観戦をしていると思うよ」

「うん。そうだと思うけれど。なんでエビヤくんどこにもいないんだろう……」

「いっそのこと……全部コートを回ってみる?」

「うむーん。それだと、試合が終わるまでに間に合わないかも……」

「そうだけど……でも、全部の中学校を見ていなかったなら、どこかで見逃したとしか考えられないよ」

「むー。本当に見逃したのかなあ。がんばって探したはずなんだけど。――でもでも、だいたい、なんで正志くん、いろいろ私に教えてくれないのよ! むかつく」

「正志君のことだから、教えられない事情があったんじゃないかな」

「なんか、ずいぶんと正志くんの肩を持っちゃいませんか。寧々香さん?」

「えっ! そんなこと、ないと思うけど……。でも、理由もないのにイジワルをするような人じゃないよ、彼は。絶対」

「うーん、まあ、そうかもねえ。でも教えられない、教えたくない理由があったって、いったいどんな事情が――」

 思考する。頭を回せ。

 大活躍の新人? 最初で最後の引退試合?

 彼が、言わなかった理由。

 エビヤくん。

 二人の関係は――

「……ああっ! もしかしてぇ!」

 彼女はたった一つの可能性に気が付いた。


 



 Aコート。

 シングルススリー。最終試合が始まっていた。

 この勝敗で優勝が決まる。

 そんなコートの観覧席にて。

「よう。遅かったな、皆元」

「やほやほやっほー。正志くん、ずいぶん探させてくれやがったわね。この薄情者」

「なんだ。迷ってたのか?」

「そーだよ! もう、なんで探しに来てくれないのよ!」

「俺が動いて探したら、入れ違いになるかもしれねえだろ。どうぜエビヤの試合を見に来たんだから、現地にいれば会えんだろ」試合から眼を放さない。

「私が迷うのわかっていたでしょ。私、エビヤくんの学校、知らなかったんだから」

「……言ってなかったか」

「言ってない!――しっかし迷ったよ。迷走していたよ。寧々香もいっしょに探してくれたの。いま寧々香は向こうでクラスメイトの薫ちゃんとお話してる」

「ふーん」試合に興味を注いでいて、無感情に相槌を打った。

「あ、きっと、いま試合をしている『彼』が、薫ちゃんの言っていた大活躍の新人だね。まさかと思っていたけれど、思った通りの人物だったよ」

 彼女はコートでプレイする森中学校のユニフォームを纏う少年を見ながら続けて言った。


「まさかエビヤくんが、私達と同じ森中学校の生徒だったなんて、普通わかんないよ」


「同じ学校だろ。普通わかるんじゃねえの?」

「わかんないよ! クラス違うし。それに、きっとそれだけじゃないよね?」

「…………」

「……エビヤくんって、不登校だったんだね」

「だった、と過去形なら、そうだな。二学期からは登校しているらしいからな。なんでそう思ったんだ?」

「いろんな要因が合わさって、かな」

「ほー」彼は試合に夢中で、テキトーに聞く感じだった。

「まず、私達はエビヤくんがどの学校かわからなくて、試合中のコートを見て回ったの。樹海、仲花、雨里、入守。INSとBチームは見ていないけど、いないとわかっていたから」

「……ご苦労なこった」感情のない返事だった。

「そのどこにもエビヤくんはいなかった。つまり、別の学校ということになる。そして唯一にして探していない、いや考えてさえもいないのは、森中学校だけだった。そりゃ自分の学校なんて考えないよ。疑えないよ。盲点すぎるよ。灯台下暗しも、暗すぎでしょ」

「はいはい」ツッコミも放棄していた。


「それで、もしかしてエビヤくんは森中なんじゃないかと考えたら、私達が知らないのはおかしい。でも、()()()()()()があるのならば、知らなくてもおかしくはないよね」

「ほーん」

「それに、エビヤくんって、その、赤点ギリギリなんだよね。学校に行けていないから、授業をまともに受けていないから、そういう成績に――」

「いや、まて。それはエビヤの地頭の問題だ。学校に行っていなくても、勉強がんばれるヤツも、勉強できるヤツもいるだろ。俺が苦労して教えても、アレだからな……」

「ああ、そうなんだね」

「それにアイツは、もう赤点ギリギリじゃねえぜ」

「あ、そうなんだ。エビヤくん、がんばったんだね」

「……赤点らしいぞ」

「いやいやいや酷くなってるじゃん!」

「……っしゃ」拳を小さく握った。

 コートでは赤点者のサービスエースが決まっていた。


「それから他の理由として、ここに来る道で寧々香と会ったとき、薫ちゃんとお話ししたって聞いたよね。さっきも言ったけど『新人が大活躍』しているって。――アレ、おかしいと思ったの」

「ふーん。どこがだ?」

「もう今は十一月、引退の時期、そんな大会で新人を起用するなんて、おかしいでしょ。森中学校には二年生中心のBチームもないようだし」

「たかしに……」心ここに在らずだった。

「誰よタカシ。たしかに、でしょう。正志くん試合に集中し過ぎ。まあいいけど。――それで、こんな時期に新人が試合に出られる理由だけど。薫ちゃんの言っていた『新人』が『実力ある三年生』なら辻褄が合うよね。さらに、それが引退試合ならば、正志くんとエビヤくんが言っていた『最初で最後の引退試合』という意味も、わかる」

「ふむふむ」

「というか、二学期からの新入部員……いるじゃん。……倉庫で作ったストーリー、押し通せたかもしれないなぁ……」

「……なんのことだ?」

「いやなんでもないよ」

 彼女は頭を横に振った。


「それと、正志くんとエビヤくんは小学生のときからの仲なんだよね」

「……うむ」

「それがどういうことなのか、考えた。二人の関係性を考えた。あ、BL的な意味じゃないよ」

「るせえ」

「小学生のときからの友達。――正志くんとエビヤくんの共通点といえばテニスだけど、それだけじゃ『よわい』と思ったの。小学生のテニスの試合で、他校の相手選手のことを覚えているなんて難しい気がする。決勝戦で雌雄を決するような関係なら思い出にも残るかもしれないけど。――だから、もしかして、二人は同じ小学校だったんじゃないかと思った。青辰小だったんでしょ?」

「まー、そーな」雑な返事。

 やはり彼は試合に見入っている。

「もしかしたら、学校は違うけれど学校外の同じテニスクラブに通っていたんじゃないか、ということも考えた。でも、同じテニスクラブに通うのならば、ある程度、家同士が近いはず」

「あー」

「エビヤくんが青辰小学校の出身なら、もしくは正志くんと同じテニスクラブに通っていたのならば、進学先は森中学校ということになる。青辰小や赤鳥小の卒業生は、基本的に森中に進学するからね。正志くんみたいに受験しない限りは」

「んー」

「それに、ずーっと前だけど、真斗くんもエビヤくんのこと話していたのを思い出したの。英語のノートの名前が、ファーストネームとファミリーネームが反対になっていない、とか。エビヤくんと真斗くんにも繋がりがあるのならば、それは小学校が同じだからじゃないかな」

「ああっくそ。やられんなよ」彼が悪態をついた。

 ワンゲーム返されたようだ。


「それにさ。私、はじめて正志くんと知り合ったとき、エビヤくんがどこの学校を聞いたよね。正志くんと同じように樹海中高なのかって」

「……そうだったか?」

「うん、そうだよ。でも正志くんは『そういう感じの認識でいい』と言っていた。あれは、ごまかしていたんだね。お茶を濁していたんだよね」

「……」返事なし。

「それは、――エビヤくんが森中学校だと答えてしまうと、ほぼ確実に学校で見たことがないという話しになってしまうから。エビヤくんが不登校だとバレてしまう。だから、ごまかしたんだね。不登校ってやっぱり、マイナスなイメージがあるもんね。それで私には言わなかった。本人も知られたくないし広められたくないだろうし。まったく正志くんも優しいよね」

「……うっせえ。個人情報を適切に扱っただけだ」

「はいはい」にまにまにこにこ。

「……笑ってんじゃねえよ」

「えっ! なんでこっち見てないのにわかるの?」

「……勘だよ」

「おわあ。正志くんすごいな」

「キタ! よおっしゃあああぁっ!」

 彼が吠えて、力強く拳を握った。

 コートでは彼のライバルがリターンエースで試合を決めたところだった。

 元不登校の勝者は、荒い息と大量の汗のまま寝転び空を仰ぐ。

 そして喜びをかみしめるように拳を突き上げた。

「優勝だぁあああああぁ!」「やったぁあああ!」「うおおおおおぉ!」

 森中学校硬式テニス部の面々が歓喜の声をあげた。





 Aコート脇。

 優勝の立役者は、お祭り騒ぎの集団を抜けて彼と彼女の方にやってきた。

「やあやあ、正志、ミナモトさん。応援ありがとね」

「べつに。ただ見に来ただけだ。優勝おめでとさん」

 彼はまっすぐに拳を突き出した。

「へへっ。僕だけの力じゃないけどね」

 その拳に応じて、自身の拳をゴンとぶつけた。

「おおー、男の友情だ。なんかいいね」

「……うぜえ」彼がいやな顔をする。

「ミナモトさんもありがとう。正志をここに連れてきてくれて」

 ――拳を出した。

「え。あ、うん。まあね。連れてきただけで、大したことはしてないけど」

 実際のところ、彼を連れて来たというよりも、彼に連れてきてもらったという方が正しい。それに、彼とはぐれて、さんざん迷っていた。だが、きまりが悪すぎるので言わなかった。

「おめでとう。エビヤくん」と笑顔で拳を合わせた。


「さて、それじゃ、優勝したし、正志も来てくれたし、やるとするかな」

「ん? やるってなにを、エビヤくん」

「小学生のときの、リターンマッチだ。正志」

 バッグから取り出したラケットを彼に向けた。

「ちっ」彼が面倒くさそうに舌打ちした。「まだ根に持ってんのかよ」

「リターンマッチ?」彼女にはよくわからない。

「うん。実は、ボクと正志は同じ青辰小学校テニスクラブだったんだけど」

「うん、知ってる。推理したから」

「推理? よくわからないけれど。まあともかく、小学校のクラブの引退試合、小学生個人テニストーナメントが行われたのが、ココなんだ。その決勝戦でボクと正志が試合したんだ」

「この二人! 決勝戦で雌雄を決するような関係だったんじゃないっ! 何で言ってくれなかったのよ、正志くん」

 彼女は彼に詰め寄った。

「別に言うことでもねえだろ。――それに、あんときは、あいつが勝ったんだが」

「え? エビヤくんが勝ったの?」

「うん。ボクと正志が試合をした決勝戦なんだけど、そのとき正志はとんでもなくバテていてね。準決勝で、自分と互角かそれ以上の強い相手と熱戦を繰り広げていたからね」

「へー。そうなんだ」

「なんだエビヤ、弱った相手じゃ勝っても嬉しくねえってことか?」

「いいや。素直に勝って嬉しいし、喜んだけれど。――でも、それでも考えちゃうんだよね。もしも、あのとき、互いに全力全開で勝負をしていたらどうなっていただろう、ってね。だから、今、もう一度戦おう。――そのためにキミを呼んだんだ。これがボクの決勝戦だから」

「……別に俺、試合をやる義理はねえよな?」

「ちょっ! おい、正志くん。ここまで熱意をぶつけられておいて、無視は酷くない?」

「別に酷くねえよ。俺に目的はないし。なにより疲れるしな。――パスで」

「正志なら言うと思ったよ。でも、この対戦を受けてくれないのならボクにも考えがある」

 一拍溜めて、不敵に笑んで彼に言い放った。


「――対戦してくれないのであれば、キミの秘密を、そこにいるミナモトさんにバラす」


「てめえ……知ってやがったのか。脅迫かよ」彼は憎々しげに鋭い眼を向けた。

 キミの秘密。それを聞いて彼女は連想した。夏にこんな言葉を聞いた。

 ――だって、正志はミナモトさんのこと好きだよ。

 ――あれは正志、君に惚れてるよ。

 アレかああぁ!

「ええっ、いやいや、でもでもエビヤくん、それは、それは――」

 もうすでにバラしていますけれどっ!?

 そんな言葉が喉まできたが、なんとか飲み込んだ。

「なんだ」不機嫌に聞いてくる彼に、

「い、いや、なんでもないよ」彼女は動揺しつつも返事した。


「さて、どうする? やる? ぜひやろうよ」返事も聞いていないのにもうコートに入りこんでいた。

「はあ、しゃーねえ」彼はバッグからラケットを取り出した。「ラケットを絶対に持って来いっつってたのは、このためだったか……」

「うん。やっぱり自分の得物でないと。公平じゃないしね」

「なにが公平だ。このバテバテ男」

「へん」鼻を鳴らした。「ボクが試合で疲れてバテバテで、腕はボロボロで、足腰フラフラだけど、それが理由になるとでも思っているのか? ――はは。これを言ってみたかったんだよね。三年前のお返しだ」

「ハッ」彼も鼻を鳴らした。そして手袋を外す。

 彼はコートに入る。対面ではサービスの準備をしている。ボールがコートを叩く。

「ちなみにボクが勝っても、ミナモトさんに正志の秘密をバラすからな」

「ちっ。容赦ねえな。――まあ、お前には勝たせねえけどな」

「だからさ。本気できてよ。それが楽しみだし、目的なんだから」

「ま、やるからには、楽しませてもらうぜ。エビヤ。リターンマッチ、な」

 彼がラケットを構えた。そこに鋭いが弱ったサーブが放たれた。試合が始まる。


 ちなみに、彼女が彼の秘密を知ることはなかった。

お読みいただいたきありがとうございました。

お疲れさまです!


ちなみに中学校の名は、森と樹海以外は記憶しやすいように、

諸外国の名をもじっています。

ーー雨里、入守、仲花。


あと小学校の名は、四神。

玄亀小学校。白寅小学校。ーーかっけー!

登場予定はありません。


完結まであと2話。

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