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タタラビト  作者: 水星
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3、【不気味神社】

3、【不気味神社】


さあやって来ました。いかにも怪しいおんぼろ神社。こんなところに住み着くなんて、随分物好きな妖らしい。

「葉羅、今回する事はちゃんと利益が出るのか?僕は利益が出ない事はしない主義だ。」

「うん。君に会った時から1カ月しか過ぎていないというのに、嫌という程思い知らされたよ。とにかく今回の妖退治は随分とマネーがもらえるらしいので大丈夫でしょう。・・・多分。」

「さあさあでは、いるべき場所に返してやろう。」

そんなこんな文句やダダをこねながら、問題の妖がいるとされる場所にたどり着いた。

「うわっこんな古臭いものが此処にあるとはてっきり神社だけあるのかと。」

祠に入ってみるとそこには、謎のオーラがバンバン放出されている意味ありげな鏡があった。

「・・・これ何?」

「さあ興味無いし、分からない。」

「いや、明らかにこれやばいやつでしょ。

えっ。だってこれいかにも何か封じ込めてるみたいな鏡だし。」

「相変わらずうるさいな〜。大方この中にいるんだろう。今回の妖が。ひっそりと身を潜めて。」

確かに何かいそうな雰囲気を醸し出しているが、この中に本当に妖がいるのだろうか。

「とにかく先ずはおびき出そうか。」

「えっ?」

『我は水神、タタラカミ。妖の道に行き神々の力を持って、妖を封じ平和をもたらす。』

私は自覚していた。この神がどれだけの力を持ち、どれだけの妖を封じてきたか。この神は何を成して何を崇めるのか。私にはまだ知らないことが多すぎるのかもしれない。そして神は笑いながら、こう鳴いた。

『さあ、憑き物話を始めよう!』と。

私もこの神は、どうも苦手らしい。

『水神録神祟り』

そしてその言葉が放たれた直後、大きな音と共に水で作られた巨大な《祟》という文字が現れ、鏡を破壊し、巨大な何かが現れた。

「葉羅。波津が言っていたように、確かに今回のは当たりだったようだ。能力としては。しかし、僕から見たら今回の獲物は大ハズレだよ。」

私はタタラが言っていた言葉がどういう意味なのか、その時はよくわからなかった。

そして鏡から出て来たのは長い尻尾を持った大ギツネだった。その時私は気づいた。

「えっなんか可愛くね?・・・あ、やっぱそんな可愛くないわ。」

一瞬顔が可愛いと思ったが、そんな事もなかったようだ。どうやら私の目は、妖を封じていくによって、腐ってしまったようだ。

「そこの娘!この私に向かって可愛くないと言ったか?」

「はい、言いましたけどそれが何か。だって正直にものを申す事は大切って御天道様も言っていたではありませんか。だから私は正直に物申したのです。」

「今お前が言った事を地獄で後悔させてやるわーーーーーー!」

こんな風にすぐ怒る妖を私は今まで何回見てきたのか、もう思い出せないほども見てきたのか、こんなに短時間で人間の世界から私を遠ざけるなんて、どれだけこの神は厄介なんだ。

「ではいっちょ、僕の得意なやり方で。」

『水龍神祟り』

「ふんが〜〜〜〜〜〜!!!」

うわあ大物とか言っていたけれども、あっさり終わったなー。いかにもわざとらしい悲鳴と共に、今回の戦いは幕を閉じた。

「ふう〜。今回は苦労した。僕の得意な技を二回も出してしまった。葉羅、水菓子を食べに行こう。今回は餡蜜じゃないものを食べたい。」

「あー、イタタタタ!」

声を聞き、振り返ってみると其処には小さな狐の子供がいた。

「何、あの子狐の妖。」

「まあ、だいたい検討はついているんだけどね。」

すると子狐は深々と頭を下げて、

「えっと・・・今回は誠に助けていただきありがとうございます。」

と恩着せがましく言葉を発した。

「・・・はい?」

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