序章
序章
「汝、我の眷属とならんことを、ここに求める。さすれば、汝の力次第でどんな願いでも、我の名において叶えよう――――
――――さあ、汝の力を今ここに総てを現せ!そして、勝ち抜いて見せよ!」
――――黒人の少女は、バラック小屋の片隅で目を覚まし、その言葉を噛み締める。
「どんな願いも・・・ね」
――――黄金色の髪を揺らす少女は、豪奢なベットの上で、寝起きにも関わらず、先程の言葉の真意を探る。
「この私に物を頼むとは・・・面白い」
――――銃弾が頭上を飛び交う中、褐色の肌をした少年は、その言葉を聞き終えた直後に同僚に叩き起された。
「今のは・・・?」
――――銀髪の少女は、寝惚け眼を瞬かせながら、キョトンとしていた。
「・・・?」
――――肌を小麦色に焼いた小柄な少女は、簡素な寝床から跳ね起きると、目を爛々と輝かせた。
「楽しそうじゃん」
――――長い黒髪を後ろで二つに分けて束ねた少女は、未だに機械化の進まない広大な畑の隅で、木に背中を預けたまま大きく伸びをする。
「何だったんだ・・・?」
――――栗色の長髪を腰まで流した少女は、そっと座禅を崩し、どこともしれず見据える。
「何が始まるのかしら・・・?」
全ての駒が出揃った。
自らの夢を、理想を、願いを叶える最短の道が示された。
全てを捨て、人の道から外れ、世界から爪弾きにされ、命を賭してでも、この最短の道を行きたいものだけが、これから始まる戦いに身を投じ、最後に残った者が自らの『夢』を叶えることが出来る。
号砲が鳴り響き、幕は上がった。
全てを賭けた、神話史上にも類を見ない、神々の頂点を決める戦い。
神が人に力を貸し、生き残った者が全ての願いを叶えることが許された、最大級の戦争。
『神々の代理戦争』、ここに開幕する。