短編に紛れた社会批判
独善的な偏見なので、褒められた内容ではありません。
予め説明しておきますが、売名行為ですので悪しからず。
タイトルに書いてある通り、社会についての批判――主に、アニメ界隈について~
つい最近のことですが『君の名は。』を見てきました。
*注意・ここから先はネタバレを多分に含みます。閲覧は個人の自由にお任せします。
端的にいって面白かったです。構成や設定などが良く練られていて、終始一貫して安心して見れる劇場アニメでした。
しかし、男女が入れ替わるというテーマに捉われ過ぎていて、肝心の”恋に落ちる”という演出がごっそり抜け落ちているという感触です。
三葉がふと涙を流すシーン、いつの間にか恋をしていたんだと自覚するシーンですが、演出としては割と大雑把だったのではないでしょうか。
確かに膨大にちりばめられた伏線を回収するには多少の演出は削減する必要がありますが、劇的な変化を示す何かがあればもっと良かったのではないかと……
テーマに捉われといえば、今回の作品に新海監督自身迷いはなかったのでしょうか。
一度死んだ人間を、歴史を変えてまで救っていいのか?という葛藤は必ず起こったと思います。
詳しくは控えますが、そこについては物語としての都合の良さを感じてしまいました。
そしてこの作品で一番感じたのが、一般層の入口が大きくなったなと。
いい作品はみんなに知ってほしいという気持ちは私にもあります。ですが、一昔前のアニメとはずいぶん毛色も変わったとも感じました。
別にそれが悪い事ではないのですが、一個人としては生き辛さを痛感します。
僕個人として、アニメ人口の増加はあまり願わしくない事で、むしろ減少することを望まざるを得ません。
その一端となっているのは、やはり触りやすいコンテンツが増えたのではないかと思います。
『君の名は。』もその例に漏れず、やはりメディア自身が撮り上げ始めたというのも大きいのではないでしょうか。
今やテレビなんて……と侮る人も多いかもしれませんが、やはり広告や宣伝の力は絶大です。
徐々に社会がオタク文化を受け入れ始めているのは火を見るよりも明らか。時代という系譜の一つの転換期を迎えています。
そのことに関して喜びの声をあげるか、寂しさを覚えるか、はたまた怒りに燃えるか。それは確かに個人の自由です。
私はどうかって?もちろん喜びの声をあげますよ。だって仲間外れになりたくないもの。
出る杭は打たれる。流れに逆らうものはいつだってつま弾きにされる。それはどこの時代、いつだって世の常。寧ろこの時代だからこそ、風潮はより濃淡になっているのではないでしょうか。
ほんとにやな時代になったものです。『組織は個を殺す』
意見感想等々お待ちしております。