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願いかなえて

「俺は、和葉を殺したい」

「そうだな和葉を誘惑させて、自分から今付き合ってる男と別れさせて、性悪女と周囲に喧伝し、最後に頼ってきた和葉を無残に殺せる奴がいい。きれいな顔で死なせない、皺くちゃ婆みたいな死を。お前にできるか?」


聞きながらカタログを見て、眼鏡にかなう子を探す。

「え~っと、注文が多いけど…ん、どうやらそれらをこなせそうな子がいたよ。」


連れてこられたのは轡を頭にかぶせられている馬?だった。ただ明らかに普通の馬ではない。

「これは、なんだ?うま…いやそんなわけないか」


戸惑う姿をおかしそうに笑いながらペットのことを説明してゆく。

「馬で合ってるよ。馬は馬でも水棲馬だけどね、ケルピーといったほうがわかりやすいかもね。この子はあんなあ人間の男に変身できるし、血を吸い取って殺すこともできる。皺くちゃ婆とまでいかないだろうけど、結構いい線言ってるよね。あ、あと轡はずさないようにね、人になってるときは首のチョーカーがそうだよ」


本当に楽しそうに言う解説を聞き、計画とすり合わせて考え、問題ないと判断した。

「そいつでいい。しかし吸血鬼みたいだな。」


「確かにね。だけど吸血鬼は創作だよ。あれは人だよ。鬼ってのは確かたいてい人のことだったはずだよ。人は鬼にもなれるいきものなのさ」


こうなるとわかってたいったのかな、あいつ。

確かに今の俺は人ではない。あのくそ女のうらみで人らしさが消えていく、きっと『これ』が鬼なのだろう。

しかし恐怖はない。

今から殺すことになにも感じない。

さぁ、行こう。計画も何もいらない。ただ殺そう。


人の姿をとるケルピーと歩くくそ女を殺しに。

自分の手で殺そう。


いちゃつきながら歩くくそ女の後ろから近寄り、手で首を絞めつけ、絞殺した。

苦しそうにもがく姿、懇願するような目を向けられても緩むことなく絞めつづけてやるとあっけなく死んだ。この程度のことをなにうじうじ考えていたんだろうな。最初からこうすればよかったんだ。だれも頼る必要なかった、自分で始末できたのだから。死体はそのまま近くの川に放った。雨で増水していたためすぐに流され、消えていった。これでおれは自由だ。


終わったと思っていると不意に担ぎ上げられた。

「どうしたケルピー、いろいろ考えたのに何もさせずで悪かったとは思っているけど、ついかっとなっちまったんだよ。あの女の子にも謝りにいかないとな」


言っているうちに本来の水棲馬の姿になり、俺を背に乗せたると歩いていく、川に向かって。


「おい!そっち川だぞ、おろせ!!!」

意図を察し、あわてて降りようとしたがその前にケルピーは川に飛び込んだ。


最後に見た光景はついていたはずの轡がなかったことだった。


その後、誰かの肝臓だけが残っていた。


◇さなえ


「あらら、おわちゃった。つまらないな、でも鬼になったのはおもしろかったから。いっか!それよりなんで轡なくなってたのかな、自力では外せないんだけど…」


「それは、首を絞められ、暴れた女が隣にいた僕のチョーカーを偶然破ってしまったんです」

ケルピーがあらわれ、解説してくれた。


「そう、轡がないと、命令をおとなしく聞いてくれないもんねケルピーって。」


「そんなことはありませんよマスター。マスターの言うことには従っています。今回は向こうが契約破棄したのですから、あとは本能に従って動いただけです」


ケルピーは、人間のまえにあらわれ背に乗るよう誘い、乗った後水中に飛び込んで乗り手を溺死させ、食い殺す。その時何故か肝臓だけ食べずに残し、岸辺に打ち捨てるby『あなただけのペットを』(カタログ)を読み返し、ついでにレンタル料として肝臓を徴収した。


「さ、帰るよ、次はどんな客が来るのかたのしみだね」

やることは終わったと、帰ることにした。

結果的に彼の願いはかなったのだから…


あとには女の死体が残っただけだった






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