いつもと変わらぬ日常へ
なんか勢いで書きました。
よろしければ評価お願いします。
「御代は今度。幸せになってからでいいよ」
そう言われ獏を受け取ると脇目も振らずに家に帰る。
現状を打破できるなら何でもよかった。だから御代という言葉も気にも留めなかった。
何故かは知らないが獏の姿は周りには見えていないらしく、何事もなく家にたどり着いた。
まだ夕方だったが、いままでの鬱憤など、さっさと振り払いたかったためすぐに自室にこもり、ベットに潜り込んだ。
当然、言われたとおりに枕元に獏を置いて…
◇
ゆさゆさ
「朝よ。起きなさい!遅刻するわよ。朝ごはんも食べないと!!」
ありえない声が聞こえた。
目を開けて、声の主を確認すると…母だった。
いつもはこんなことせずに玄関に『食費』と書かれた封筒がおかれているのみで僕の分の朝食など存在するはずもなければ起こしに来るなど異常事態だった。
ありえない…そう思ったとき、ふと昨日のことを思い出した。
さなえさん、神魔ペットショップ、獏のことを。
周りを見ても獏はどこにもいなかった。しかし、これはきっとさなえさんのおかげだと理解していた。
「どうしたの?具合悪い?」
心配そうに聞いてくる母に何でもないよと答え、大村いつきは変わった世界に夢をはせた。
家庭、学校で居場所がある。友達もできた。恋人もできた。楽しくて幸せで本当に暖かい世界になっていた。
後日、お礼のため、さなえさんに会いにいくとCLOSEになっていた。
その後も見に行ったが一度もOPENになることはなく。
就職、結婚と忙しくなり足も遠のいていき、しだいに行かなくなった。
時は流れ、今やもう80を数えた。家内には先立たれたが、子や孫に恵まれ、本当に幸せだった。
もういつ死んでもいいとさえ思っている。
そんなある日のことだった。
「おじいさん。御代を頂戴しに参りましたよ。あなたの命を」
さなえさんだった。
うすうす気づいていた。かつて気にもとめなかった『御代』。
命、魂そういったものだろうと。
しかしもう未練はなかった。満足した。
だから僕は…大村いつきはその命をさなえさんにささげる。
「どうぞ。こんな幸せな思いをでいて感謝しています」
そういい僕は『御代』を支払った。
薄れゆく景色の中、人生を振り返り、悔いはないと断言できた。
自分にはこれ以上ない幸せだったと
…………そう、たとえこれが…夢幻にすぎないにしても…
◇
「ばかね…ただの一夜の夢に命を捨てるなんて」
つまらなそうにさなえは呟き
「いや、気づいてたっすよ。彼!」
「あら獏、ずいぶんいつき君の肩をもつのね。それに気づいていたのなら、なおさら理解できないね」吐き捨てるようにそう言って現実の大村いつきを見る。
満足した表情で亡くなっていたが、周りは事務的に処理するのみ。
誰も彼が死んだことを悲しまず、喜びもしない。
しいていうならめんどくさげにというくらいだろう。
元々いないもの扱いなら死んでも変わらない。
「ほらね、実際はこんななのに…夢でしかなく、何も残ったりしないのに!」
目に微かな憤りをみせながら無価値だと無駄だと見下ろす。
「彼は現実に期待してなかったっすよ。それにさなえっちだけは彼を見ていたっすから…」
プロフィールを知っていたこと名前で読んでくれたこと
いつきはそのときには気づいていなかったが夢を見ていたときに、この世界が虚構と理解したと同時に気づいた。たったそれだけのこともさなえさん以外してくれなかったこと
さなえさんだけは僕を見ていたのだなと
そんな彼女のくれた世界なら偽物だろうと利用されているとしても本物よりずっと価値があるのだと信じたから。実際そうだったのだ…少なくとも彼の中では。
それを聞き、笑いながら満足げに
「ははっ…本当にばかね…たったそれだけのことで…でも、これだから人は面白いのよ」
「さ、獏!!帰るよ。次の客が来る前に、お店を開けないといけないからね。」
そして一人と一匹は姿を消し、眼下には変わらぬ日常が広がっていた。
獏は悪い夢を食べてくれます。
それを勝手に事故解釈いれていい夢を見れるに変化させています。
まあ日本に入ってからですしね~夢食べる言われてるのも
というわけで解釈しだいということでこまかいことはスルーしてください
一部完
また更新する予定ですが