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ペット売ります。

評価お願い致します。

「願い?僕の?」

いきなり聞かれ戸惑いながら

「いきなり言われてもね、わからないよ」


「嘘ね!ここに入るには強い願いがないとダメ。入れたのだからいつき君はその資格をもっているのよ」

さなえは断言し、答えを待つのだろう、ただじっと、見つめてくる。


僕には当然のことながら家族がいる。

父 母 兄 姉 そして僕を含めた五人家族…父は一流大学の教授、母はピアニストとして各国を渡り歩くほど、兄、姉はともにエリートコースを歩き、将来を期待されている。


さて、ここまで言えば分かるかな…そんな中で僕は落ちこぼれだった。

といっても学力、身体能力ともに平均値で家族をのぞけば、別段劣っているわけではなかった…そう、なかったはずなのに…


家庭で僕はもう何も言われず、 義務として仕方なく育てられていた。

自分の子ではないかのように、義務以外ではいないもののように僕の居場所はなかった。


学校でも居場所はなかった。家族は僕をいじめたりしない。

しかし、子供は空気に敏感だ。

どこからかそんな雰囲気をかぎとり、僕はいじめの標的にされた。

モノを隠されるなんてほんの序の口にすぎず、教師は見てみぬふり、誰も止める人はあらず、しだいにエスカレートしていくのは当然だった。


僕はそいつらを恨んでいないといえばうそになるがしかし、もっとも悪いのは家族…アイツらが…いなければ、他の家庭で生まれていれば…僕はそう思わずにはいられなかった。


異世界に行きたいなんて言ったのもその影響かもしれない。

外は怖い。

中も怖い。

でも自分の力では何もできず、ただただ他力本願に待つことで慰めていた。

いつか、たすけてもらえる…と


願いがあるといわれたとき、様々な思いが頭を駆け巡った。

「僕は…大村いつきは…家族に縛られたくない…居場所を、いてもいい場所を…安心できる居場所を…願います!!」

全てを見透かすかのようなさなえさんの視線に促されるように、初めてSOSを発信した。

気づいたら思いをぶちまけていた…


「いいよ…たすけてあげる。ここは神魔ペットショップ…客の要望しだいであらゆる生き物を提供するのだから」

微笑みながら、そう言うさなえさんに僕は恐れを感じたが、もう引き返すことはできない。

そう、僕は願いを口にしてしまったから…

こんな機会はもうないだろうから…

たすけるなんて初めて言ってもらえたから…


置かれていたカタログを見ながら

「そうだね…君には獏を提供しよう」

言ってつれてきたのは熊のような…しかし象の鼻、犀の目、牛の尾、虎の足といった奇妙な生き物だった。


「ばく…ですか」


「知らないのかい?まぁ、いいか。その子の使い方だけ教えてあげるよ。そうすれば居場所が見つかるよ」

さなえさんは笑っていた。しかし僕はそれに気づかなかった。


「やることは簡単。枕元にこの子を置いて寝るといい。そうすれば起きたとき、きみの世界は変わるよ」

もう僕にはさなえさんの声に従うことが最良と信じきっていた。

だから迷いはなかった!!

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