『此処は平安時代!?(1)』
浮遊感。暗闇。誰かの声が聞こえる。何で意識がはっきりしてるんだろう?私は、あんなに高い所から落ちたのに。死んじゃったハズなのに。
「娘さん!娘さん!大丈夫かい⁉生きているかい⁉」
娘さん?私のことなの?誰かが私を呼んでるの?だったら起きなきゃ。動かなきゃーーー
ーーー身体が闇の中から引きずり出されたーーー
*・゜゜・*:.。..。.:*・'
「此処は…?」
彼女、藤原撫子は目を覚ました。
一人の老人が、彼女の側にしゃがんでいる。どうやら、彼が起こしてくれたらしい。
「あの…此処は何処ですか?」
「此処は都の近くじゃ。娘さんはどうしてこんな所で倒れていた?」
とりあえず、1つだけ確信した。確実に時代が違う。よくよく見れば、服装も平安時代の農民の服装っぽい。
(もしかしなくても、タイムトラベル?そんな…理論上あり得ない。ここは…記憶喪失のフリをした方がいいのかな?)
「娘さんやーい!生きてるかー?」
「え…?あ、はい!あの…どうしても何故こんな所にいるのか、思い出せなくて。名前しか、覚えてないんです。あの…出来れば、貴方の家に置いてくれませんか?」
老人は、少し、驚いた顔をした後、快く了承してくれた。
「覚えてないんじゃな?まぁ、頭を少し打ったみたいだったしの~。思い出すまで、いや、いつまでもいてくれて構わないんじゃ。我が夫婦には子供がいなくての。娘さんみたいな綺麗な人がいてくれると嬉しいんじゃ」
人の良さそうなその笑顔に少しばかり、心が痛む。記憶喪失しか、嘘を言ってないのに。
「ありがとうございます。私は撫子と申します。あの…何と呼べばいいですか?」
「撫子か…綺麗な花の名前じゃ。娘のように振る舞ってくれれば良い。年はいくつかの?」
「15歳くらいです」
この年齢は、貴族なら確実に結婚の用意をさせられる。失礼な話、落ちた所が農村で良かったと思う。まだ結婚なんて、するつもりはない。
「たいしたものはないが、家に帰って、成人を迎えた事を祝おう。さぁ、帰るぞ。撫子」
あぁ、この人は、私を本当の娘のように扱ってくれるんだ。なら…
「はい、お父様」
私はそれに答えようと思う。
ーーー始まるんだ。私の新しい生活がーーー
*・゜゜・*:.。..。.:*・'
随分と遅くなり、申し訳ありませんでした。
なんと、最近、リア友が同じサイトさんで投稿してた事が発覚。かなりびっくりでした。
さて、これからは撫子の新しい生活が始まります。
これからもよろしくお願いします。