今沢緑の観察ノート(非公開・職員室持ち込み禁止)
※これは公式記録ではありません。
ただの、放課後の保健室で書かれた“心のメモ”です。
■ 岸本 景 (きしもと・けい)
感情の繊細さ ★★★★★
勇気の芽生え ★★★★☆
一見おとなしく見えるけれど、芯が強い。
“自分の気持ちを我慢してしまう”タイプ。
でも――「守られたい」よりも「信じてほしい」人。
恋によって成長する典型的な少女。
今はまっすぐに“好き”を言えるようになった。えらい。
備考:涙のあとの笑顔が最高点。
彼女が風を受けて立ち上がる姿に、教師冥利を感じた
■ 草薙 登夢 (くさなぎ・とむ)
不器用さ ★★★★★
誠実さ ★★★★★
恋愛偏差値 上昇中
ぶっきらぼうで、言葉が下手。
でも、誰よりも真っ直ぐで、人を大切にする。
景を“守る”というより“対等に想う”姿勢が立派。
たぶん自分でも気づかないうちに、学園の男子たちの憧れの的になっている。
備考:口下手な子ほど、恋が深い。
雷くん曰く「言葉より拳が正直」。……それはどうかと思う。
■ 八木 美里 (やぎ・みさと)
表の顔:明るいお姉さん
裏の顔:実はかなりの恋愛初心者
いつも誰かの心配をしている。
けれど自分の不安は隠してしまう。
花島田くんと出会ってようやく“自分も支えられていい”と気づいた。
彼女の笑顔は、まるで太陽。
でもその光は誰かを想うときにいちばん強くなる。
備考:バスケ部のユニフォーム姿、本人が思うよりずっと魅力的。
勝利くん、見る目あるわね。
■ 花島田 勝利 (はなしまだ・かつとし)
負けず嫌い度 ★★★★★
恋のストイックさ ★★★★☆
シュートのフォームがきれい。
それ以上に“視線”がまっすぐ。
美里がコートサイドから彼を見ていた理由、わかる気がする。
チームを引っ張るリーダー気質だけど、
恋に関しては案外奥手。そこがまたいい。
備考:後輩への指導中、目で美里さんを追っている。
本人に自覚なし。可愛い。
■ 雷 伴隆 (なるやま・ともたか)
観察眼 ★★★★★
おせっかい度 ★★★★★★(規格外)
保健室の常連。
けれど、誰よりも他人の痛みに敏感。
今回の“中庭作戦”でも、実質の司令塔。
ちょっと大人びた感性を持っていて、
あのまま成長したら、たぶん先生泣かせのタイプ。
備考:コーヒーの好みが渋すぎる。
ブラック党。十年後は確実にモテる。
■ 汐見 恭子 (しおみ きょうこ))
彼女の笑顔には「計算」がある。
だが、それを責める気にはなれない。
早くに自分を守る術を覚えたのだろう。
景とは対照的でありながら、どこか似ている。
放課後、誰もいない教室で見た姿が忘れられない。
――あの背中を見た時、私も昔ああだったと思った。
備考:要観察。
静けさの中に、危うい透明さ。
■ まとめ
青春とは、いつだって“痛みと優しさ”の隙間にある。
彼らの恋はまだ始まったばかり。
でも、その風を感じ取る感性は本物だ。
だから――私はもう、余計な口出しはしない。
風が吹くたびに、誰かが成長する。
そのたびに、私はまたコーヒーを淹れるだけ。
今沢緑 記す
「恋もケガも、治るまでが青春。」




