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あおの病室の中は季節が変わっても、とくになにも(室温とか、毛布とか、そういうものは少し変わったけど)かわったりはしなかった。
ただ、窓の外にある景色だけが変化をしていた。
春には遠くの川のところに桜が咲いて、鳥がよく鳴いていた。夏には緑色の葉をつけた木々を見て、蝉の鳴き声を聞いた。秋になると紅葉して赤くなったり、黄色くなったりした風景を見て、とんぼが病室の中にはいってきて、驚いたりして、冬になると、雪が降って、外の世界は真っ白になって、音はなにも聞こえなくなった。
そらは毎日、毎日、あおのベットのところにいた。そこであおと一緒におしゃべりをしたり、本を読んだり、簡単なゲームをしたりして、遊んだ。
メンテナンス日が一週間に一度あるので、そのときだけ家に帰って、あおのお父さんとお母さんにメンテナンス(充電とか、プログラムの点検とか、体の調子とか、充電以外は、十分くらいで終わるような作業だった)をしてもらった。
お風呂には毎日はいった。(ロボット用のお風呂が病院にはあるのだ)
ロボットが眠る場所もちゃんとあって、あおが眠ったあとは、そのロボット用のベットで、そらはほかのロボットたちと一緒にぐっすりと眠った。
あおはそらと一緒に眠りたいと思っていたらしいのだけど、それは規則だからできないとお医者さんに言われてしまった。
病気を治すことが大切なことで、規則をやぶるなら、もうロボットは病室にははいれないようにすると言われてしまったのだ。(そのときは、珍しく大人しいあおが、子供らしく駄々をこねていた)
そらは一度でいいから、あおと一緒のベットで朝までぐっすりと眠ってみたいとそんなことをひそかにずっと思っていた。