プロローグ
朝の日差しが眩しく差し込む光に目を覚ます。
隣ですやすやとまだ眠る、彼女は俺の腕に巻きついて話さない。簡単にすり抜けられるがそうもしたくない。この感じが愛おしくてたまらない。
「パパー! おなかついたー!」
そう言って突然子供たちが乗っかってきた。突然の重さに彼女が顔を顰めたがまだ寝ているようだ。
「ごめんごめん、海奏はもう少し寝かしといてあげてね」
そう言って、抱きつかれていた腕をそっとぬいて子供たちを連れてリビングへ向かった。
「海春、亜海嘉パンでいい?」
「いいー」
双子の同意を得て準備に取り掛かる。
ホットサンドを作ってスープも用意する。
お腹空いたと起こしてきたが、2人は出来上がるまでおもちゃであそび始めた。
「2人とも、海奏を起こしてきて」
「はぁーい」
声かけると大きな声で返事をすると「ママー!」と叫びながら寝室へ走っていった。
彼らは俺が『海奏』と呼ぶ人=ママと認識しているので、つい、名前で読んでしまう。それでも彼らはなんの疑問は持たず、迷いなくママを呼びに行った。
その間に先程用意したご飯を4人分並べていく。二人の分は小さくカットしてかわいく盛り付けて。
しばらくすると2人が海奏を引っ張って寝室から出てきた。まだ眠たそうな目を擦りながら。
「·····はるちゃんおはよー、ありがとう」
「ん。おはよう、座って。亜海嘉も、海春も」
挨拶をと感謝を述べながらなおも眠そうにしながら席ついた彼女はいつも寝起きが宜しくない。
小さな子供たちの面倒も見つつ、大きな子供のめんどうも見ているようだ。
小さな子供たちには自分で食べられるくらいに小さくカットしてあるので、楽しそうに食べるが、大きな子供の海奏はぼけーとしていて手をつける様子がない。このままでは、2人して仕事に遅れてしまう。
眠そうにする彼女はほっといて、2人の支度を済ませる。
ご飯にも手をつけきれていない、海奏を最後に車に乗せ、彼女の荷物とご飯も持って家を出た。
車を走らせ10分程度。双子を保育園に預け車に戻った。相変わらずまだ寝る彼女に目をやり、仕事場へ向かう。今日は一緒だからいいものの、そうじゃないといつも大変なのだ。
地下駐車場に車を停め、まだ起きようとしない彼女の口を奪ってやる。ただ奪うだけじゃ起きない彼女に濃厚なキスを贈れば苦しさに目を覚ます。
「は、るちゃっ·····ん!」
「·····おきた? もう着いたんだけど。これ食べて。俺先いくからな。食べてこいよ。あと車閉めて」
そう言って鍵を預けて先に車から降り、上のフロアにある職場へ向かった。
いつものやり取りだが、周りは「よくやるな」と呆れた声で言う。朝のこのやり取りはいつもの事なので苦ではない。大変なのは出勤時間が違う時だ。それでも、やるのは昔から代わりのなないことだから。