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ヒミツ  作者: 爪楊枝
√学園祭
77/109

√リオン①『コボレオチル』


「お待たせしました陽満君」

「全然待ってないから大丈夫だぞ」

「さあ、行きましょう」

「うん」


……夢…じゃない…。私がこうして陽満君と一緒に学園祭を楽しめるだなんて…あの時も…あの時も…いつもいつも邪魔ばかり入って…でも今日は、今日からは違う。今度こそ私が………


「陽満君、どこか行きたい場所はありますか?」

「莉音が決めていいよ。真実達に色々連れまわされたからな、模擬店なら僕に任せろ?」

「……そうですね、それじゃあまずお昼にしましょうか」


……。


「美味しいですね、陽満君」

「だろ?昨日2回も食ったけどこのクレープは美味かったんだよ」


……。


「そうだ莉音、玉波先輩のクラス見たか?」

「いえ」

「めちゃくちゃ人が並んでてなかなか行けないんだよなあ…」

「そう…ですか」


…………。


「おやおや?おやおやおや!家内君もしかして彼女さんですか!?」

「…剣崎先輩……あっち行ってください」

「冷たいっ!でも良い!」


……………………。


「あ、家内先輩!」

「おう、ふたりとも」

「ひ、陽京…私は向こうに行ってるから……」

「なんでですか姉さん、せっかく先輩がいらっしゃるのに」

「いやだって……」

「……?どうしたんだよ伽夜、莉音の方ばっかり見て」

「ちょっ!?お前!」

「お、おい急に叩くなって」


…………………………。


「莉音、次どこ行く?」

「そうですね…少し疲れたので座れる場所に…」

「そうか…えぇっと……ベンチは空いてなさそうだし…」

「……陽満君」

「ん?」

「こちらへ」

「莉音?」





「ここって、用具室?」

「はい、期間中は基本的に鍵が開いていて誰も入ってこないらしいです」

「誰からの情報だ?というか大丈夫なのか?勝手に入って」

「問題ありません、見つかっても私達は実行委員ですから」

「……なるほど?」

「さあ、中へ」


「なんだか埃っぽいな」

「仕方がないです。陽満君、そこの椅子を使いましょう」

「あぁ」

「あ、椅子はひとつでいいです」

「え?」

「陽満君が椅子を使ってください」

「でも莉音は…」

「私は大丈夫ですから」

「そ、そうか……?」

「はい」


左右に手作り感の漂う棚があり、そこにパイプ椅子や体育祭の看板などが一応整理されて置かれている。その部屋の真ん中に陽満君が座ったので、私は陽満君の太ももの上に腰を下ろす。


「ちょっ、莉音!?」

「静かに…誰かに聞かれてしまいます。少しの間だけでいいので……このままで…」


お尻から、陽満君の太ももの熱が伝わってくる。恥ずかしい。けど陽満君は私を意識してくれているに違いない。


「り…莉音?」

「なんですか?」

「できればもう少し前側に座って欲しんだけど…」

「……嫌です」


さっきから、私のお尻に当たってる……今は、今だけは私を無視できない。きっと今は……




ほかの人のことを考えられない。




陽満君の口から私以外の女の子の名前が出るたびに、胸が痛くなる。私だけを見て欲しいのに、いつも陽満君の周りには別の人がいる。小学校でも、中学校でも…私に勇気が無かったから、陽満君を取り戻せなかった。


「陽満君」

「な、なんだ…?」

「今日の放課後…屋上に来てください。そこで聞かせてください。いつかのお返事を」

「……それって……」




私はもう手放さない。誰にも邪魔されたくない。



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