友人の結婚式の余興ビデオを作って驚いた話
結婚式の余興を頼まれて知った意外な事実。
著作権のお話です。
大学時代の友人(仮にRさんとしましょう)から、結婚式の余興を頼まれました。
元々色々と企むのが好きだったこともあり、二つ返事で了承。一緒に指名された先輩(以下、Iさん)と共に、早速何をやるか考えました。
結果として、ビデオを作ることになりました。ありきたりですが、内容は創意工夫を凝らしたものです。
一応物書きですから、軽く楽しめるようなストーリーを付けつつ。
私の特技であるところの、ダンスやパルクールを取り入れ、映像にして映えるようなものを考えました。
そうしてしっかりと計画を立て、他の友人に協力もしてもらい、着々と撮影が進みます。
動画編集も私の仕事だったので、撮影終わりには「編集頑張ってね、楽しみにしてる」と、皆からの期待と励ましの言葉ももらいました。
さあ、いざ編集作業へ。と、いうところで。
式場から、Iさんに連絡がありました。
そして、式場の方曰く。
「結婚式で動画を流す場合、BGMとして音楽を使うと、音楽の使用料が必要になります」
――絶句しました。
一応私も創作者の端くれですから、創作物に著作権というものが発生することくらいは知っています。それを利用する場合、著作者にお金を払わなければいけないことも。
しかし、著作権法にはこう書いてあります。
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公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
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他にもいろいろと書いてあるのですが、要するに「営利目的でない個人利用ならば使用料を払う必要はないよ」ということです。
おかしいじゃないか。結婚式なんて思いっきり個人利用だし、営利目的じゃないだろう。
私はそう思って調べました。
そして愕然とします。
なんと、結婚式はその性質上、個人利用には当たらない、と。
上映だ複製だと、色々ややこしい法律はよく分かりませんでしたが。
結局のところ、その一点が問題なのだと分かりました。
皆様、どう思われるでしょうか。
結婚式を公の場とするのは、友人や上司など、様々な人が多数出席するから、とのことのようですが。
――これ以上ない個人的な場だよな、と。私はそう思うのです。
一人の物書きとして、著作権は厳格に扱われるべきだとは思います。
現に『小説家になろう』でも、海賊サイト等の問題は時折発生していますしね。そういう、著作者の権利を侵害する行為は、罰されて然るべきかと思います。
しかし、しかしです。
結婚式です。おそらくは人生に一度しかないであろう、二人にとっての晴れ舞台。
そこに自分の好きな曲を使いたい、あるいは新郎新婦の好きな曲を使ってあげたいと思うのは、当たり前の感情ではないでしょうか。
音楽の力は偉大です。音楽一つで、同じ映像、同じ場面でも、雰囲気はガラリと変わります。
であるからこそ、自分の意図した物を作るには、音楽の力を借りる必要があります。
自分たちの式を楽しんでもらいたい。新郎新婦の式を盛り上げたい。
そう思うからこそ、著作権法が、そんな思いに水を差す『悪法』に思えてしまします。
著作者の、実際に曲を作った立場の人から見たらどうでしょうか。
自分たちの曲を好きでいてくれて、それを結婚式という、最高の舞台で使いたいと思ってくれる。
それは、この上ない名誉で、これ以上ない喜びではないでしょうか。
絶対とは言いません。ですが、多くの作曲者・アーティストの方たちは、「是非使ってください」と仰るのでは、と思います。
著作権法。それは本来、著作者の創作を、発想を、そこに懸けた時間や情熱を守るための法律です。
しかし、こういう事実を知ってしまった今。
それは勝手に独り歩きし、著作隣接権を持つレコード会社等が利益を得るための方便になってしまっていないか、と。そんな風に思ってしまいました。
もちろん、レコード会社があるからこそ曲が広まる訳で、そこに活動資金が必要ということは理解していますが。
少なくとも、結婚式くらいはいいじゃない。
そう思う白井なのでした。
後日談と言うか
結局、Rさんが気前よくお金を出してくださったので、一部は著作権フリーの音源に差し替えつつ、それでも数曲を使用料を払って使わせてもらいました。
こちらとしては申し訳ないと思いつつも、動画には満足していただけたようです。