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第九話 蒸気機関

更新が遅くなり申し訳ありません。

蒸気機関の蘊蓄話でつまらないかもしれませんが、よろしくお願いします。

◆鍛冶屋トーマ視点


勇者が失踪してから、1年以上が過ぎた。

一時は国中で話題となった勇者達のその後についてだが、それも既に遠い過去の話になったようで、

今では酒の肴として話題に上ることも無くなった.


現在、ボクは辺境伯所有の鉱山に来ている。

目の前にあるのは、およそ50年前に製造された蒸気機関だ。

坑内から溢れ出た地下水を汲み上げる為に設置されていたが、数年前にコスト高の為に馬によるものに取って変わられ、お役御免となっていた。

だが、北の魔物騒ぎで家畜の飼料である飼葉の値段が上がり、各地で蒸気機関の再稼働が検討されはじめた。

目の前の蒸気機関は、幸運なことにとても良い状態で、いつ稼働してもいいようにきちんと整備されていたようだ。

これなら、予定よりも手間を取られずに、改良作業に移行できそうだ。


まずは彼女の魔石燃料棒による発熱するボイラーだ。

これにより燃料費はゼロなのだから、反則(チート)だと思う。

大体八時間程度しか発熱しないが、一日程度の間隔を置くと再度発熱するようになる。

魔石燃料棒を交換しながら使えば、24時間一年中使うこともできる。

まだ耐用年数がはっきりとはわからないが。もうほとんどコレは永久機関だと言ってもいいのではにだろうか。


だが彼女の燃料棒には温度が低いという欠点を依然と(かか)えていた。

大量の水を沸騰させる大規模な施設では、そにに見合う数の燃料棒が必要になり、その設備投資にかかった費用を回収するには、百年近くかかる目算となっていた。


それを解消したのが、ボクの考えた復水器である。

今迄の蒸気機関ではピストンを動かした後の蒸気は外気に排出、もしくは冷却して水槽(タンク)に貯めていた。

そして水槽からの水をボイラーに絶えず補給しながら、ピストンに水蒸気を送り込んでいた。


この排出される水蒸気を液体に戻した直後に、再利用するのが復水器だ。

簡単に言うと、ボイラー内に不足した水分を補給するために、沸騰寸前のお湯を使うということだ。


先にも述べたように、蒸気を冷やして水に戻し、水槽(タンク)に貯めて水の節約を考えた人がいたが、ボクの復水器はそれを一歩前に進めて、水だけでなく、熱量の再利用を考えたものだ。

またこれにより、蒸気機関の中で水が循環する形となり、ボイラーに補給する水の量も格段に減った。

元々は燃料の節約の為に考えたものだったのだが、奇しくも魔石燃料棒の欠点を解消することに成功したのだった。


もっとも正式に契約まで漕ぎつけたのは、彼女の知己によるこの1件だけである。

あと2件ほど契約が取れるかも知れないところはあるが、それ以外は全く見込みの無い状態だ。

当然、新規で鉱山に蒸気機関を設置したいという話は、皆無である。


昨今、再稼働した蒸気機関は増えたが、とりあえず現状のまま稼働する所ばかりで、

おそらく様子見をしているのだろうっと思われる。


先日、王都の博覧会に出品した際、興味深く話を聞いてくれた鉱山関係者はいたが、具体的な契約に結び付きそうな話はなかった。

ただ変わりどころで、紡績工場の社長さんが熱心に話を聞いてきたのが印象深かった。

ボクは考えもしなかったが、紡績工場で採用されるかもしれないという小さな希望を持つことはできた。

いずれにせよ、この1件目を何が何でも成功させないといけない、ボクらにはもう後はないのだから。

そんな思いを胸に(いだ)いて、作業を開始するのだった。








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