第七話 飛鳥尽良弓蔵
皆様のおかげで総合評価が1000ポイントを超えました。
自分の人生で二つ目の作品の為、拙い部分多々あると思いますが、お読み頂きありがとうございます。
■幼馴染ドナ視点
王都に近いこの街に移り住んでから、もう半年も経っちゃった。
最初はこの街の近くの森で狩りでお金を稼ごうと思ってたけど、そうはいかなかった。
理由は、ワタシ達がやっつけた魔物達に関係している事だった。
ワタシ達がかつて戦った魔の森と呼ばれた北の大森林地帯。
そこに住んでいた鹿や猪といった獣達はほとんど食べられちゃっていた。
さらに魔の森の隣にある平原は放牧が盛んな地域で、最初の頃、牛や羊たちはたくさん食べれれちゃた。
でも、その後の避難が功うまくいって、たくさんの牛や羊たちを逃がすとに成功したらしい。
もっとも、ワタシ達が魔の森に着いた時には、もうみんな居なくなってたから詳しくは知らないけど。
でも家畜は無事でも牧草地はそうはいかなかった。
戦場となった平原では、焼け野原となった牧草地も多くて、元に戻るにはそれなりの時間がかかる。
そのせいなのか、家畜のエサとなる飼い葉の値段が上がっちゃって、共同の牧草地に頼っていた農家は牛や羊の数を減らしちゃったり、しばらく牧畜をやめちゃう人も居るらしい。
だけど、北の森林地帯の開墾が進み、そこが新たな牧草地となることも期待されているから、これからの事に全員が悲観してるわけでもなさそうだしね。
でもそのおかげで、お肉がたくさん出回って値段がすごく下がるかと思っていたら、反対に値段が少し上がっちゃってるみたい。
たぶん、北に物凄く大きな牧草地ができて、家畜がたくさん必要になるはずだから、その時に高い値段で売ろうと考えて、今は出し惜しみしてる人がいるみたいなの。
そのせいで、他の地域の森なんかでは、鳥や獣をたくさん獲り過ぎちゃったらしく、今じゃ小動物すらほとんど見掛けなくなっちゃった。
大変な事になったと焦った猟友会は、ようやく狩りの期間や獲った獣の数を厳しく制限するようになった、今更だけどね。
なので今現在、この街の近くの森は禁猟区域となってしまった。
もっとも、鳥はあんまり減ってはいないようだけど、さすがに森自体に入ること自体を禁じられてしまっては、どうしようもない、もちろん無断で森に入って密猟者になるなんてのは真っ平御免だしね。
因みに捕まった密猟者は、罰として利き腕の骨を折られるという噂だしね。
それから他にできそうな仕事、隊商の護衛も考えてみたけど・・・鳥や獣ならともかく人、犯罪者とはいえ人を撃つのはかなり抵抗があったので、とりあえず今はその手の仕事は止める事にした。
だって人を殺したり、目を射抜いたりして傷付けたら、毎晩、夢に出てきて魘されそうだもん。
なので結局、ワタシも弓を置かざるを得なくなり、ここ半年は報奨金で細々と食い繋いででいた。
ところでお肉と言えば、自尊心の高い貴族様は、お家の財政事情に関わらず、日曜日には牛一頭を殺して食べる慣習を今でも続けているそうよ。
当然、一日で一頭なんて食べきれるはずもないから、残り物を一週間かけて食べきるそうだが、新鮮なお肉ならともかく、鮮度の落ちた週末のお肉は、食中毒を怖れてボロボロになるまで煮込んだり、黒焦げになるくらいまで焼いたりして、とても不味いものらしいわ。
そんな風に毎日牛肉ばっり食べてるから、ブクブク太って病気で死ぬんだと妙に納得してしまった。
見栄を張るためにそこまでしなきゃいけないのかと考えると、かつてあんなに憧れた貴族もお金が無ければ物凄く大変で、さすがにワタシもチョット幻滅してきたかもしれない。
そんな感じで貴族や王族になりたいという気持ちは、今ではどうでもよくなってきたけど、クロードに対する思いは完全には消えてなくて、ふとしたきっかけで良い思い出だけでなく嫌な事も思い出してしまう。
それは、愛情なのか怒りなのかよくわからないけど、ずっと今も心の中で燻り続けているの。
それからしばらくして、クロードが失踪したこと知った。
王家から国中にお触れが出されていて、その詳しい内容は・・・
突然、勇者が王都から消えた事
勇者は聖女の一人であるルイと一緒にいる事
失踪に伴い、王女様との婚約を解消した事
勇者の爵位の剥奪した事
報奨金を含む勇者の資産の差し押さえた事
これまでの功績を鑑み、これ以上の罪は問わない事。
勇者自ら出頭してくるならば、差し押さえた勇者の資産を返還する事
勇者を見つけた場合には、必ず連絡する事。
有力な情報には金一封を与える事
等々である。
ああ、今度こそワタシはクロードへの想いを、未練を断ち切れそうだと、まずそれを思った、思ってしまった。
そしてハッキリと分かった、クロードは、姫様よりもルイを選んだ。そして、ワタシは選ばれなかった、捨てられたという事を。
今にして思えば、王城で会ったルイが饒舌で、明るい感じがしてたのは、こうなることがわかっていたから? あれは、勝者の余裕だったの?
一番付き合いの長い彼女が、クロードの事を一番理解していたという事なのだろうか・・・
気が付くと頬を伝って涙が床に落ちていた。
失恋して辛い気持ちなのかな、信じていた戦友に裏切られたという悲しい気持ちなのかな、それとも彼女に対する劣等感、敗北感からの悔しい気持ちからなのか、よくわからない・・・
そしてどうしてだか無性に、お父さんとお母さんに会いたくなった。
ワタシは荷物をまとめると故郷の村へ向かって歩き出していた。




