だが男だ
カサカサカサカサ…
『ひぃぃぃいぎゃあああああ!!!!』
…
お母さん
お元気ですか。僕は元気です。
でも夢と希望に溢れた僕の城の第一印象が
ゴキブリなのは……つらいです。
…
『ぎゃあああああああ!!こっち来んなあ!!』
近くにあったチラシを棒状にしてゴキブリを追い払い
ため息をつく。
八丈島から本土まで船で10時間だぞ…
城は城でも一夜城だった心境だな。
キャリーバッグを部屋に入れとりあえず
シャワーを浴びることにした。
シャワー浴びて髪を乾かしワックスをつけ、
服も着替え、島の特産品「金目鯛の味噌漬け」を持ち
いざ、お隣さんへ。
女の子だったらいいな(あわよくば美人さん)。
ピーンポーン。
「はぁい。今行きますよぉー」
来た!ドア越しだがこの声はおー
ガチャッ
「わぁ!初めましてぇ。」
男だ。声は高め…だが男だ。
整った顔をしている。同い年くらいか?
小『あ、えっと初めまして隣に越してきた小浮気です!
よろしくお願いします!これ、つまらない物ですが!』
綾「おぶき?珍しい名前だねぇー。
僕は綾辻 蓮だよ。よろしくね」
綾辻さんは軽く会釈をして俺の土産を見て
ぱあっと明るくなり
綾「こんなに立派なの嬉しい!美味しそぉ!
僕もお礼する!夜何かお礼作るから!待っててねー!」
そう言うと「スーパー行かなきゃ」と言って足早に
消えてしまった。
それにしても顔が整っていてモテそうだな…