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怪談蒐集家の記録(仮)  作者: 狸森
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自己紹介

「ももいはるかさーん。2番窓口へお越しくださいー。」


またか・・・と思いつつ僕は待合いのソファから立ち上がり、窓口へ向かった。


「すいません・・・ももい じゃなくて さくらい です。」


窓口の女の子はハッとした顔をして僕を見た後、


「すっすいません・・・」


と、焦って謝っていた。


「いえいえ、いつものことですから大丈夫ですよー」


と、いつも通り僕は返した。


「では・・・さくらいさん。旧土地台帳の閲覧ですが、只今担当者が所用で出ておりまして、もしお時間とかよろしければあちらの部屋でお待ちいただけますか?」


「はい、わかりました。」


受付に言われた部屋に入り、パイプ椅子に腰かけて待つことにする。



ヒマだな・・・


よし、じゃあ自己紹介でもしておきますか。


僕の名前は桃井さくらいはるかと言います。

こんな名前ですがれっきとした男です。

年齢は29才。

両親は共に健在で、そろそろ結婚相手を・・・と毎週のように電話をかけてきては言っている、そんな普通の両親です。


んでまあ仕事は・・・というと、ルポライターをしています。

取材をして記事を書いてある雑誌に載せてもらって報酬を頂いています。


まあその取材というのが・・・


心霊現象、怪談、etc・・・


まあ俗に言う、オカルト関係ですか。


もともと子供のころからそういう話とかが好きで、小学校の先生が時々話す怪談やTVの心霊特番なんかはわくわくしながら見たり聞いたりしていましたが、ある事件を境にさらにのめりこむようになった感じです。



「お待たせしました、こちらがT地区の旧土地台帳です。」


ちょっと小太りの中年男性の職員が土地台帳を持ってきた。

この人が担当者なのだろう。


「有難うございます。拝見させて頂きますね。」


僕は担当者から台帳を受けとりぱらぱらとめくって目を通していると、ふと彼が若干困ったような顔で僕を見ている事に気が付いた。


「どうかしましたか?」


気になったので尋ねてみる事にした。


「いえ、桃井さんはあそこの因縁をご存知なのかと思いまして。」

「いいえ?今からそれを調べようとしていまして。」


僕がそう言うと担当者はふうっとため息を突き、「そうですか」と呟いた。


「もしかして担当さんは何かご存知ですか?」


僕はずずいと前に出て担当者に尋ねてみた。


「あ~えっと、済みません。ちょっと仕事が立て込んでますので失礼します。」


と言って部屋から出ていこうとした。

しかし扉の前で立ち止まりこちらへ向き直ると一言だけ僕に言った。


「あまりその土地に関わらないほうがいいですよ。私の前の担当者もそれであまり良い事はありませんでしたから。」


そう言い残して部屋から出て行った。




そして今僕は、問題の土地へ来ている。


鬱蒼とした林の中に一軒の家が建っているその場所こそが僕の目的地だ。


僕はぱんぱんっと頬を叩くと、敷地の中へと足を踏み入れたのであった。



――――――――――――――――――――――――



心霊現象が目撃された家。

過去にこの家で起きた事件。

そして土地の因縁。


そういったものを収集し文章にまとめるのが僕の仕事だ。


その今までまとめた物をちょっとづつではあるが皆さんにお見せしていこうと思う。


ただし、短い話も長い話も色々様々ありますが、殆どの事例で何が原因だったのかという部分が曖昧になっています。


その「曖昧」な部分こそが怪談の醍醐味であり、「恐怖」の根源でもあると僕は思っています。



それでは、「曖昧な恐怖」の世界へ参りましょうか――








こんばんは、狸森です。

前々から書いてみたかったホラー物をちょっと書いてみました。



実は、夏に一度書き始めていたのですが、執筆中に2度の停電を食らって、ノリノリで書いていた文章が、全て消えてしまうというアクシデントに見舞われ・・・

これも霊障の一つか?(笑)と、内容を変えてお披露目になりました。

1話完結で投稿していく予定ですが、宜しくお願いします。

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