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終末の運命  作者: 真鎖騎
1/1

プロローグ

「グギャオオオォォァァアアア!?」

奇怪な声を上げ、怪物が駆け寄って来る。

静寂に満ちた洞窟を、奇声と足音が破る。

怪物が向かう先には、白いコートを着た少年が佇んでいた。

少年は焦る素振りも見せず、背中の剣を抜く。

閉じていた瞼が開き、漆黒の瞳が顔を見せる。

刹那、

「――フッ!」

鋼の剣が、怪物に吸い込まれる。

剣が辿った軌跡から緑色の、どろりとした血が噴き出す。

怪物 ―― 魔物がぐらりと倒れ、少年が剣を背中の鞘に納める。

小さく溜め息を吐き、後ろを向く。



だが、魔物は一匹ではなかった。



そろり、そろりと魔物は少年に歩み寄る。

慎重に剣を構え、少年の背中に狙いを定める。

少年はポケットをまさぐり、地図を出している。

魔物はその様子に、どこか嬉しそうに笑い、ためらうことなく剣を下ろした。


――だが、剣は少年に届かなかった。

「ヤアアッ!!」

暗闇から、一条の光が走る。

銀色のそれは、魔物の急所である首に吸い込まれていった。

魔物は思わぬ奇襲に対応出来ず、哀れな断末魔を上げて倒れた。

ごと、と音が洞窟に響く。

「――さすがだな、アリス」

「…ありがとう」

少年――ハルトは振り返り、少女――アリスは、小さく礼を言う。

アリスが肩にかかった銀色の髪を払い、腰にある鞘に細剣を仕舞うと、それに合わせたようにハルトも緩く一歩を踏み出す。

入り口から差し込む光が、二人に朝を告げた。




五年前、それは唐突に訪れた。

天から無数の魔物が降り注ぎ、血の雨と共に降り立った。

その日から始まった人間の虐殺。

村は淘汰され、町は蹂躙され、国は次々と滅亡した。

気づけばそこには魔物が王として君臨し、人々は虐げられ、搾取され、終いには殺された。

死体の山は日に日に高くなり、血の海はより一層深くなる。

魔王は言った。「この世に、人間は必要ない」と

とある国の王が殺された時、魔王は新時代を高らかに宣言した。

「この世に顕現せし魔物達よ…残りの人間どもを殺せ!!」




洞窟からでると、ハルトは地図を広げた。

「次、どこ行くか」

アリスはハルトの手元を覗きこみ、現在地から最も近い町を示す。

「まあ、残ってるのか分からないけどな」

ハルトが自嘲気味に呟くと、アリスが首を振る。

「きっと、大丈夫。行きましょう」

アリスはどこか言い聞かせるように言い、ハルトを振り返る。

ハルトはアリスの銀髪が反射する朝陽に目を細め、大きく頷く。



少年と少女が、朝露に濡れた地を歩む。

終末への冒険の、続きを描く一歩を踏み出して。




続く

初めまして、魔鎖騎です。

馴れないジャンルを書くので、あらぬ粗相をやらかすかもしれませんが、よろしくお願いします。

それでは、次話でお会いしましょう。

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