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皇龍后龍  作者: 紅猫
序章 ~初まり、始まり~
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その世界、天円




 黄金の鱗。

 其の強きこと、何者も傷与うこと能わず。


 黄金の翼。

 其の疾きこと、何者も勝ること能わず。


 額に戴く黄玉。

 其は全ての命を祝福せし至高の宝。


 其の名は、皇龍。

 其の世界、天円を創生せし龍なり。




 『天円記』前述~創世者~より。




 まず最初に。

 私は貴方にこの世界をお教えしましょう。


 私達が生きるこの世界。

 名前を、天円(てんえん)と言います。

 貴方が住む地球とは次元も時空も違うところに存在していますから、接触も干渉も出来ません。

 あぁ、ですが…私達からは貴方が住む星が見えますよ。

 昼も夜も無く空に在る青い星。

 私達はこの世界の古い言葉での“青き光”と言う意味でベルシャリオと呼んでいます。


 あぁ、話が逸れてしまいましたね。

 私達が生きる天円は一匹、と言うには本当は畏れ多いのですが…一匹の龍“皇龍(こうりゅう)”が創世した世界です。

 円上の盤のような海の中心に丸い島が一つ。

 これが“黄金の島(イェルディ)”…と言っても全てが金で出来ていると言うわけでは無いのです。

 皇龍自身自らが生きるために作り出した、普通の島です。

 その黄金の島を囲むように北東、北西、南東、南西に菱形の島があり、それぞれに国が一つ。

 北東の島は紫の国。

 北西の島は銀の国。

 南東の島は緑の国。

 南西の島は朱の国。

 さらに、その四つを囲むように東西南北に三角形の島があり、やはりそれぞれに国が一つずつ。

 東の島は青の国。

 西の島は白の国。

 南の島は赤の国。

 北の島は黒の国。

 天円は黄金の島を中心に、八つの島がまるで花開くようにある、そんな世界です。

 その周りは全て海。

 海の最果ては等しく滝が流れ落ち、黄金の島の地下へと還り再び外洋へと流れていきます。

 しかし、人も生き物も生きたまま外洋へたどり着いたことはありません。

 外洋の先は全ての死した命が行き着く先。

 死者は水の流れに乗って皇龍の元へと還り、どんな形で命を終えたとしても皇龍から祝福を受けて再び生まれ変わるのです。

 しかし、この流れに乗れず、皇龍の祝福を受けて生まれ変わることの出来ない命が在ることも事実なのです。

 それらは魔物達によって集められ、黒の国に向かいます。

 黒の国は魔物が生まれ出ずる国。

 魔物に集められてしまった命は、黒の国で魔物達の命無き卵に納められ、魔物として生まれ出ずるのです。

 この魔物に対して存在するものが、竜です。

 竜は皇龍に選ばれた命を与えられた、皇龍に一番近い聖なる存在。

 死した命が皇龍の祝福を受ける中で、皇龍に選ばれた命はその側に仕える竜によって白の国に向かいます。

 白の国は竜が生まれ出ずる国。

 竜に運ばれた魂は白の国で竜達の命無き卵に納められ、竜として生まれ出ずるのです。

 そう言った経緯からか魔物と竜は争いを度々引き起こしてきました。

 魔物は竜の選ばれた命を羨み、その命を魔に引き入れようと竜を襲い。

 竜は魔物の祝福を受けること無く続く命を哀れみ、その命を祝福の輪に戻そうと魔物に立ち向かい。

 故に黒の国と白の国の間にある銀の国はその位置から、必然的に魔物と竜がぶつかり合う、争いの絶えない国でした。






 そんな世界、天円で、魔物と竜の争いに巻き込まれ孤児となった銀の国に生きる女の子が、これから始まる物語の主人公。


 名前を、マリア。

 マリア・ドラゴと言いました。







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