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真白き風にそよぐ黄金の槍 (旧)  作者: 白い黒猫
二章~石国の王~
9/21

2-3 <新月の下で>

 新月の夜の暗さは、生半可ではない。

 視界と言えるものは一切なく、目に墨をかけられたかと思うくらい、一面に闇が広がっている。おそらくは崖があると思われる場所にそって、たいまつの明かりが見えるものの、それは景色全体を照らすほどの威力はない。

 闇に眼をこらしても、敵が何だかの動きをしているのは感じられなかった。

 レゴリスから少し離れた手すりで、少年がジッと闇を見つめているようだが、その表情は夜の闇と顔にかかったフードのおかげで、レゴリスからは見えなかった。


「テリーどうだ?」


 後ろからミラーの声がする。


「すぐ動くつもりはなさなそうだ。明け方とともに攻撃かけてくる、という所だな」


 ミラーはレゴリスと少年の間の手すりに割り込んでくる。同じように闇を見つめた後、レゴリスに視線をやる。


「ヤツラは、アデレード本軍の到着を一番怖れている。だから焦っている」


「我々が到着するまえに、ココを攻め落とし、ココを砦にアデレード侵攻の足場にするつもりが、計画が大きく狂ったわけか」


 レジナルドの言葉に、ミラーが苦笑する。


「貴方が、もう到着しているという事実も含めてね……」


 ミラーがレゴリスの方を向き直る。


「我々は、ヤツラをあの広場に誘い込みます。そこをレゴリス殿、一気に叩いていただけると助かります」


「しかし、あの空間は、マギラ全軍と、我々が、戦場とするには狭すぎるぞ。

 またヤツラからしてみたら、戦える戦場が広がったことで、下手したらコチラが押し込まれる可能性はどう考える」


「敵を分断します。あの括れで」


 レゴリスはミラーの顔をみる。陰になって表情はよく見えないが、先ほどのコチラの出方を窺うとかいうのではなく、共闘の意志をしっかり固めた様子だ。

 探り合いという無駄なことしている時間もないという事だろう。


「分断?」


「火で壁を作ります。今ある燃料で三時間は火を燃やし続けられる」


 ミラーの淡々とした声が続く。

 逆に言えば、三時間で先行し分断されたマギラの部隊と決着をつけろ、ということか。


「戦場が自分達に不都合なら、都合の良い形に変えるまでってね」


 ドンがニヤリと笑う。



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