壊れている人ほど壊れていることに気付かない
掲載日:2026/08/31
「あなたが思っているよりずっとずっとあなたの実際の状態はよくないです」
診察室で先生が言った。
「そんなはずないです。私は元気なんです」
彼女は強く言った。
「最近のご自身の状態をよく思い出してみてください。心と体はもう限界なんです」
「いえ、全然大丈夫です」
食い気味に答える彼女だが、目は虚で正気を感じられない。
「大丈夫じゃない人ほど、大丈夫だと言うんです。
そして、壊れている人ほど自分が壊れていることに気付かないんです」
医師の言葉はまっすぐで確かだった。それでも、目の前にいる彼女には全く響かなかった。
人はどうして、壊れているほど、壊れていることに気付かないのだろう。
その答えを私はまだ知らない。




