指名依頼2 久しぶりの貴族仮復帰
もう一つの依頼の話です。オリバー君はリリィのドレスをもらったら何に使う気なのでしょうね?
着替え終わり部屋に戻る、なんとか妹に連絡をつけてリリィのドレスだけでももらえないだろうか?と思案しているとギルド長に案内されて、上品な服を着ているが多分庶民の父と娘らしい二人組が現れた。
父親の方が仕事ができる商売人らしく、冒険者と言う最下層の人間にも顔色を変えずに挨拶をする。
「初めまして、北の方で商売をさせもてらっている者です。隣は末の娘です」
どうやら娘の方は....オリバーを怖がっているようで声を出せずにいる。
代わりにリリィが質問をする。
「商売と言うと?何を売っているのかしら、北の国は昔行ったことがあるので、もし特産のクラウドベリーを扱っているようでしたら分けていただきたいわ、一応シルバークラスですからお金の心配はないわ」
リリィはそれとなく情報を聞き出そうとしている、先ほどの依頼と違いふわっとした情報しかない
「いえ、工務店を営んでおりまして、食品の方はちょっと.....」
「あらそうですか、残念です。ごめんなさいね、話の腰を折っちゃって、今更だけど依頼と言うのは?」
「はい、もう聞いたと思うのですが。うちの国のある準貴族が事もあろうにアヤノ様の物品を横領したわけですが、逃げる際に行きがけ駄賃といいましょうか、私の工房のお金になる物を盗んでいきまして」
オリバーが口をはさむ
「ん?悪いが工務店だろ?手に持って逃げれるような高価な物なんてあるのか?金槌とか言い方は悪いがあなたほどの人なら買い替えられるでしょう?」
「いえ、それが。鞴なのです。風の魔獣の皮で作られた鞴で時価にして金貨10枚は.....と言う品なのです」
「風の魔獣製の鞴ね、工務店で使うものいしてはいい物だな」
「いや、変わった物と思われるのは仕方ありません、実際仕事では使ってませんでした。恥ずかしい話なのですが、私が目をかけてこの末娘の為に婿にした鋳掛師の男がいましてね、仕事ぶりはよかったのですが酒乱で、その娘にひどい事をするものですから、慰謝料としてもらったものなのです」
「ほう?」
まくしたてるようにリリィが話を引き継ぐ
「そ、そうなのですね。それでご依頼はその鞴の奪還という事で?」
「いえ、それもあるのですが、あの男は風景を記録する魔法?の使い手らしく、あのDV男を追い出した後、うちの末娘といい仲になって、そのそういう映像をですな、持って逃げたらしく」
「あ、いえ、わかりました、どのような感じで記録された物なのでしょうか?」
「はい、あいつが置いて行った物があります、これをですね......]
父親は直径3センチほどの透明な球体を机に出した。
「ちょっと起動方法が変わってまして、決まった言葉で動かすのです、スタート!」
掛け声と同時に壁に動く絵が映りだされる
(これは異世界転生小説で読んだてれびとかえいが?みたいなものか?)オリバーは考え込む
「おい、お前、お嬢さんに暴力を振るうとは最低な男だな、今すぐ全財産を置いて出ていくならゆるさんでもないぞ?」
「待てよ!俺は暴力なんて振るってない、でっち上げるな」
オリバーとリリィの予想はあたった、動く絵に映し出されたのはロックだ。
「診断書もある、準貴族の俺と親父さんの証言もある、裁判にしてもいいんだぞ、刑が確定したら数年は鉱山労働だ、運よく出所できても一生どこの町でも市民権は買えずに冒険者か小作人で生きていくしかないぞ?」
「ストップ!」父親の言葉で動く絵は途切れる、どうやらスタートで動いてストップで止まる魔法らしい。多分過去に異世界転生した者の権能の一つだろう、準貴族は先祖に異世界人がいて先祖返りでもしたと思われる。
「お恥ずかしい、この時は流石準貴族様だと感心したものなのですが、まさかアヤノ家の物資に手を出す大悪党になるとは思いませんでしたよ、え?あのオリ......バーさんでよろしかったですよね?どうされましたか?何か阻喪でも」
オリバーは今まで誰にも見せた事の無いような激しい怒りのオーラを全身から噴出させている。
リリィが急いで取り繕う、
「あ、そのオリバーはこう見えて女の子に優しい男なんですよ、娘さんの事を思うと怒りがおさえきれないようで.....」
嘘ではない、正確に言うなら娘と親と準貴族がロックに対して行った事に怒っているのだが。
「そうですか、頼もしいですね、それで依頼なのですが、あいつが捕まるとまずいのです。裁判で証拠品として娘のその、姿が法廷で....困るのですよ。しかもこの球体は何をしても壊れない、前に聞いた話だと、写ってる人間の誰でもいいので玉に触って”デリート”と唱えると消えるとも、それか術者が死ぬと消えるらしいのです、なので、そのどうせアヤノ家の機密品を盗んだのです、間違いなく死刑でしょう、はっきり言いましょう。殺していただきたい」
(なるほど、だから万が一の為に娘に”デリート”と言ってもらうために連れてきたわけか、だが.....)
「断る」
オリバーは即座に答える。
「お金なら望むまま支払います、だから」
「違う、殺人を犯すリスクが高すぎる、お金をもらっても運が悪ければ長い事鉱山行きだ」
(むしろお前らは殺した後に俺らを告発して鉱山行きにして証拠隠滅するだろうよ)
「俺たちに払う金があるなら、検察と裁判官に払えばいいだろ、向こうからしても本命はアヤノ家の物資だ、工務店の....言っちゃ悪いがはした金をどうこうと時間をかけるより賄賂を受け取ってアヤノ家に集中する方が検察も裁判官も楽だろうよ、当然、あいつが持ってる玉は出来るだけ回収するさ、隠し持っているものまでは責任は取らん」
「確かに、そうですね。アヤノ家の事と比べれば些事もいい所ですね、裁判はアヤノ領の裁判所ですね、あの男が捕まり次第手配しますよ」
(馬鹿が、うちの領の裁判官も検察もボンクラじゃねーぞ、賄賂送った瞬間に贈賄あたりで捕まるのが落ちだ)
「じゃあ、そういう事で、悪いが。準貴族の顔が映ったさっきの玉を貸してくれ、相手の顔が分かる方が仕事が早い」
「わかりました、先ほどのは当たり障りない内容なので最後まで見て構いません、意味は不明ですがスタートで開始でストップで止まります」
「悪いな、借りるぜ、リリィ、行こう。行動は早い方がいい。潜伏先は、資料に書いてあるか、もう行かせてもらう」
「これは頼もしい、ぜひお願いします」
オリバーはあふれる怒りを抑えるのに必死だった、そっと背中をリリィがさすっていなければどうなっていたかわからない。
何かピースが揃い始めましたね。次の話は6月6日の12時に上げる予定です。
スタート、ストップ、デリート、異世界人は英語がわからない、当たり前だけど。実は研究をしていたリリィはある程度理解できるようですよ。
しかしいつ終わるのかな、ゴールは見えるのにずっと走らされている気分、だって書きたいこと次々浮かぶんだもん。
予定では6月6日の18時に
指名依頼4 悪党に鉄槌を、最後の審判が下る(この章の最終章)をアップします。今のところは順調です。
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