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婚約者といちゃつく奴を注意したら決闘となり敗北~すべてを失った男の物語  作者: 松ボックリ


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閑話 side 父 イワオ・アヤノ 父の怒り

 オリバー君の父上の話です。この話が伏線になるかどうかは作者にもわからない、ただ彼なりに国を憂い、時代に取り残されないように必死にあがいていると知ってほしい。

 ワシの名前はイワオ・アヤノ、武家の貴族に生まれ早40年、うまくやっていた。一男、一女に恵まれた。長男のハジメが成長するにつれて頭角を示してきた。ハジメは言われた事は素直に言う事を聞く、努力を怠らない。素直という事は経験不足の若者にとって最大の武器だ、その武器を生かすための大人がいると言う前提だが。運がいいことに我が家に教師には事かかない。


 しかし、国境沿いで散発的に異民族の襲撃があると言えど、こちらが本気を出すまでも無い、私のように武力一辺倒で家を支える時代は終わりを告げようとしている。悔しくないと言えば嘘になるが時代の波に乗れずに衰退した貴族は山ほど見てきた。


 そこで我らが武の名門なら文の名門の家がある、大昔は険悪な仲だったがここ数十年は良好な関係だ。息子と同じ年の令嬢もいる。試しに婚約の打診をしようかと迷っていたら幼い子供達二人(ハジメとオリビア嬢)が揃って無邪気に結婚するのーと言いだした。こうなったらとんとん拍子に婚約話は進んだ。お互いの家同士、非公式ながら胸襟を開いて忌憚のない意見を言い合った。


 その際に物資の中抜きをしてる下級貴族をそこそこ見つけた、ロッシ家は即取り潰しと言ったが、もったいない、生きている者は活用しなけれなならない、最前線に送って3年生き残ったら無罪放免と約束をして放り込んだ、アヤノ家とロッシ家が新たな兵站を構築するくらいの時間稼ぎにはなった。そして現場の意見と事務方の血のにじむような節約が功を奏して一切の無駄も滞りも無く兵站が行き届くようになり蛮族に削り取られた難攻不落と呼ばれた複数の都市の奪還を100年ぶりに成功した。と、言っても難攻不落と言えど今の時代では要所では無かったが、戦勝パレードの開催や勲章と王直々の感謝状、多少の金銭を頂く事ができた。


 確信した、これからは武と文が力を合わせる事こそが発展の基礎になると。だが、完全な癒着はよくない、今回の洗い出しで判明した事だ、あまりに事務方と現場の距離が遠すぎたり近すぎると腐敗の温床となりえる。協力はするが癒着するほど接近はせず、将来的には独立した監査機関のような部門の設立が望ましい、というのはロッシ家の見解だ。流石優秀な文官を輩出する家なだけある、私と違って遠い将来を見据えている。


 ハジメとオリビア嬢の関係も良好だ。


 問題は娘のルイだ、武門の家に生まれたのに多少弓が使える程度で頭でっかちで魔法も剣もダメだ。それで見捨てる事は無い、厳選して娘にとって最高の貴族に嫁にやろうと思っていた。ある日ルイがハジメを通して小麦の塩水選別なるものを試したいと言ってきた。息子を通されたら無下にできない。やらせてみた。


 結果は収穫量の安定化と向上が見込まれた。どこで知ったかと聞いたら息子が趣味で収集している蔵書を読んでチグハグだった情報を整理したら完成したと言っていた。


 ハジメはルイは少ない情報で最適解を導く天才だと称した。結果をだしたのだ、認めざるを得ない、我が家から有能な者を輩出できるのはいい事だ。


 結局ルイは王の目に留まり圧倒的な知識量からギフト持ちではないかと推察されたが結果は違った。若干抵抗感はあったが王家の宝物庫内に触るとギフト持ちかどうかを深層心理まで覗き込んで判定する魔道具があるそうだ、ルイはそれに引っかからなかった。そんな物があるなら犯罪を隠している者のあぶり出しに使えばいいと進言したがそれほど複雑な道具と言うわけでないようだ、ギフト持ちなら青く光り、違うのであれば赤く光る、しかも回数制限付きとの事だ。


 それでも精密な設計図を見せるとすぐに欠陥箇所をみつけ、帳簿をみると中抜きをしている個所を瞬時に見分けた、功績を称えられ非公式ながら国家の行く末を話し合う国家運営委員会(仮)の末席に加わることになった、ルイ若干15歳の話だ。ルイの農業改革で我が領の小麦の収穫量が2~3割向上した、今後は国全体に情報開示をして国力の底上げになればと思う。


 我が世の春だと思っていたが、息子が暴走して王が庇護するギフト持ちに決闘で負ける事となった。結局息子の死を偽装して乗り越えたが後の調査でギフト持ちコウタの権能は国が発表していたものより強力で剣や膂力の権能の他に催眠に近い権能がある事が判明した。


 最初は正直どんな手を使ってもオリビア嬢を最低でも国から追放しようと企んでいたのだが催眠の権能があるのならある意味オリビア嬢は被害者だ、国の為に尽くすと言うのであれば許すことにした。


 しかしコウタは違う、遊び半分に我が国を混乱に陥れた、今は王に匿われているがどのような手を使っても絶対に殺してやると心に誓った。 

 武家の棟梁ともなれば戦えないなら役立たずといいそうなものだけど意外と柔軟な考えを持っている。しかし男尊女卑の考えが根強く、根回しなしではルイが稀代の天才でも話は聞いてもらえない。そもそも発見されない。その辺のルイの葛藤の話もいつか入れるつもり。


 実はここでもオリバー君の異世界転生小説の影響があります。地球人は女性でも能力があれば活躍すべきという思想の作品もたくさん残しました。オリバー君はそれに影響されルイの才能を見抜いて積極的に協力をします。

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