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精霊の娘ジュジュと火竜の王子 ー森からはじまるふたりの旅ー  作者: ななこ


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29 森の家に集う

 あの天変地異のような出来事に戸惑いながらも、人は、やがて日常へ戻っていった。


人の順応はたくましい。


 ソウセキは、その様子を見て笑っていた。



 ジュジュは、挿し木に、毎日、朝露をあげていた。


 ミノリからもらった種も芽吹き、もうじき花が咲く。


「元気に育ってね」


 弾むような足音が近づく。


「今日の分は終わったみたいだね」


 ブラックと遊んでいたアオイが、隣に腰を下ろす。


「明日、トムが越してくるんだよね」


「ノリカが迎えに行ったわ。鳥の巣も引っ越しさせるって」


 まだこの地に住む者は少ない。


 元巨人達はここに村を作る事に決めた。


「もう地面から、魔力を吸い上げなくていいんだって」


「太陽の恵みだけでいいなんて。まるで植物と一緒だわ」


 二人は笑う。


「ジュジュ。世界中を見に行こう。一緒に見たいんだ」


 そういえば、森の外を見てみたいと願ったのは、ずいぶん前のことだった。


「素敵ね。でも世話があるから行けないよ」


「大丈夫だよ」


 魔樹見習たちも、朝露を集め、若木に与えていた。


「そうだね。でも……」


「でも?」


「みんなで行こうって、約束したよね?」


「ノリカはトムの畑の手伝い。お姉様は魂達と、船で世界をまわるって」


 ウタネももう一人じゃない。


 便りには、陽気な歌のことばかり書いてあった。


「父さん達にも相談しなくちゃ」


「ジュジュ。僕は森人のご両親に会って、きちんとご挨拶がしたい」


「挨拶? 友達の火の精霊ですって、紹介すればいいのかな?」


 アオイは、わずかに視線を伏せた。



 アオイを森の家に連れて行くというと、私たちも行きたいとミノリが言い出した。


 森人は精霊の存在を信じてはいるが、姿までは見えない。


 ジュジュは、両親に「ここに紹介したい人がいます」と告げた。


「ここに誰か来るの?」


「もう目の前にいるの。本当に驚かないでね。今、呼ぶから」


 両親は顔を見合わせた。


「呼びます。木の精霊王 生樹、木の精霊 実璃」


「火の精霊 火竜 青生」


 まるでずっとそこにいたかのように、精霊たちが姿を見せた。


「ジュジュ……。この方々は本物の精霊様なのか?」


「本物よ。大樹様ではなくなったけど、イブキ様は今もこの森を守ってくださる木の精霊王様」


「大樹様だって!!」


「精霊王様!!」


 父は腰を抜かし、母は拝み始めた。


 イブキが森人に手を差出す。


「精霊を信じ、この森に住み続けてくれありがとう」


「教えられてきたとおりに、生きてきただけです。皆、いつも感謝しております」


 森人は戸惑いながらも、その手を握った。


「ジュジュ。そちらは火竜王様?」


「アオイは火竜王様のお子よ」


「王子は亡くなったと聞いたが、違うのか?」


「ここにいるわ」


 両親は深く聞かずに納得してくれた。


「初めまして。アオイです。今日はお願いがあって、参りました」


 アオイは世界を見に行く旅に、ジュジュを連れて行きたいと願い出た。


 両親は、驚きながらも、笑顔で応えた。


「パンがもうすぐ焼けるよ」


 ジュジュは朝から準備をしていた。


「とてもいい匂いね」


 小麦そのままでは、人は食べられない。


 ミノリは目を細める。


「うまい」


「また焼いて欲しいな」


 イブキもアオイも、笑っている。


 皆、幸せそうだ。


 ジュジュも、笑った。

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