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精霊の娘ジュジュと火竜の王子 ー森からはじまるふたりの旅ー  作者: ななこ


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15 ジュジュの琥珀

 もぐら夫婦が、ジュジュの琥珀を届けてくれた。


「……綺麗。これが……わたしの琥珀」


 ずっと、知らなかった“始まり”。


 両手で包むように握った。


 夢の中で、父と母がこうして魔力を注いでくれていた。


「どうやって、琥珀から魔力を受け取るの?」


「身につけておけばいいのよ」


 ペンダントを見せた。


「そうだった。ノリカも琥珀生まれだよね」


 風の精霊女王の子で、父はいつも上空を駆け抜け、ほとんど家には帰ってこないという。


「風の男はじっとなんてしてないのよ」


 ノリカは呆れ笑いだ。


「貸しなさい。わしが細工してやろう」


 もぐら父さんに、何がいいか聞かれた。


 ペンダントは服の下に隠せるからいいかもしれない。ノリカとおそろいにもできる。


 琥珀を見つめていたアオイが、ぽつりと言った。


「……髪飾りはどうかな」


「えっ」


「ジュジュの髪、蜂蜜みたいで……綺麗だから」


「私も賛成! 絶対かわいい!」


「あ、ありがとう……」


 そんなふうに言われたこと、なかった。


 しかもアオイに言われた。


「変なこと言った? ごめん」


「ううん、驚いただけ。髪飾り、お願いしようかな」


 もぐら父さんが、ポケットから取り出した銀色の塊と一緒に握ると、火花が散り、形が変わっていく。


 久しぶりに見る、ドワーフの魔法。


「すごく素敵……」


 琥珀を囲むように、銀の花と蔓が絡む髪飾りになっていた。


「つけてあげる!」


 ノリカがジュジュの前髪にぱちんと留めた。


 つい、鏡で見たいと呟くと、もぐら父さんは銀色をもうふたつ取り出し、手鏡を作ってくれた。


「これくらい、お安い御用だ」


「わたしにも? ありがとう!」


 ノリカは大喜びで、夫婦を風に乗せて空中散歩に連れて行ってしまった。


 髪飾りをつけた時から、体がぽかぽかと温かい。


 父と母が込めてくれた魔力だ。


「……ジュジュ……もう一度、鏡を見て」


「どこか変?」


 アオイの驚いた顔に首をかしげながら、鏡を覗く。


 そこに映っていたのは――


 金茶の髪と、深い琥珀色の瞳。


 いつのまにか、少し大人びた自分だった。


 琥珀を身につけたことで、本来の姿が現れたのだろうか。


「とても、綺麗だよ」


 ジュジュは真っ赤になる。


「アオイも変わるのかな。いきなり翼が生えたりしないよね?」


 今のままでも、十分かっこいいのに。


「魔女だけじゃなくて……ジュジュに近づく奴も、警戒しないと」


 アオイが小声で呟いていると、ノリカが戻ってきた。


「びっくり! どこのお姫様かと思ったらジュジュだった!」


 髪飾りを外しても、色は変わらない。


「新しい服を仕立ててあげようかね」


 もぐら母さんがエプロンのポケットから巻き尺を取り出した。


「すごく嬉しいです。でも無理しないでね」


「ドワーフは頑丈さ」


「楽しみにしています。

 私は階段へ戻るね。次の階で会おう」


 体が薄れていく。


 消えかけた瞬間、スカートの裾を黒い影が咥えた。



 階段に戻ったジュジュは、成長した姿を両親に見せたくて、壁に沿う花へ近づく。


「うわっ、びっくり。卵やヒナは食べないでね」


 葉の陰に、手のひらにのるほどの小さな蛇が隠れていた。


 大樹の枝には鳥の巣もある。自然の営みとはいえ、襲われたらかわいそうだ。


「もぐら母さんが服を縫ってくれるんだって。次の階で着られるかな」


 ジュジュは、軽い足取りで上り始めた。


 蛇は花の中へ滑り込む。


 蜜を吸いながら、

 蛇の口元が、ゆっくりと裂ける。

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