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2話 暗闇の先の世界

……神谷徹かみやとおるです。また会いましたね。俺は今、落下中です。でも、そろそろ落下も終わりみたいです。何故わかるのかといいますと、落下が始まった時に下の方に針の先ぐらいの光が見せたんですよ。でもね、人生を何回振り返っても全然大きくならないんです。それが急速にでかく成りつつあるんですよ。だから、そろそろ心の準備をしとこうかなと思います。

出口から出てすぐに地面とかだったら痛そうでしょ?



ゴォォォーゴォォォーー


うわ、風の音が聞こえるよ。けっこう高い所に出るのかも、怪我したくないなー。


針の先ぐらいの大きさだった光はもう徹がすっぽりと入ってしまう程の大きさになっていた。


とうとう徹の足が光に触れ、体が光に沈んでいった。


真っ暗な浮遊空間から神谷徹は姿を消した。





徹の予想は当たっていた。徹は地面に向かっていたし、けっこう高い所から落ちていた。

しかし、けっこう高い所の「けっこう」がけっこう過ぎた。

……見た事もない大陸全土が見渡せるくらい


それでは皆さん、ご一緒に。せーの…


「イヤァァァーーー…」







…生きてる。気を失っていたようだがまだ生きてるみたいだ。どうやってあの高さから落ちて助かったのかわからんが体の感覚はある。俺はやたら硬い物の上に横たわっている。

「…め……ま……う…さ……」

人だと思わしき声が聞こえる、一人や二人じゃない。

どこだろう?俺が空から見た大陸のどこかなのは確かだが…。とりあえず目を開けよう。例え最初に目に入る物が知らない天井でも決してあのセリフだけは言うまいと思った。

そして俺はまぶたを開けた。



「…空かよ…」

青く美しい空が見えた。


まだ俺は外にいるようだ。という事は、さっきから声を出してる人(と思わしき物)達は空から人が落ちて来たというのに、そのまま放置してるっていうのか!?


何だか腹が立ってきた、言葉が通じるかどうかわからんが文句の一つや二つ言わせて貰おう。


俺は上半身だけムクッと起き上がった。そして、文句を言おうと口を開きかけた…


「……お、王様がお目覚めになられた。」

「本当だ!国王さまバンザーイ!」

「バンザーイ!バンザーイ!」

何!?こ、国王だと!いきなりそんな偉い奴が出て来るのかよ!俺はなんて所に落ちてしまったんだ。

マズイ。ここにいる奴らが俺を空から落ちてきたのに生きているなんて、王様にチクったら化け物扱いされて大変な事になる。悪ければ死刑かも。


ここは気付かれないようにしよう、という訳で。

俺はソッコー起き上がり、それまで寝ていた板の上で土下座した。チラッと前方を確認してみたら

俺が居る所は階段を上がった所のようだ。もしかしたら気付かれないかもしれない。

そんな俺の淡い希望はあっさりと打ち砕かれた。


コツ、コツ、コツ…


誰かが、階段をのぼってきた。俺はギュッと目をつぶって祈った。

しかし、のぼってきた人物は俺の前で止まった。


「まぁ!」


のぼってきた人物は声から判断するに女のようだ。それもかなり若そうな声だった。

女王様って事か。


「こ、国王様なぜそのような事をされているのです!」


へっ?この人が王様じゃないのか?いや、まてまて落ち着け俺。

この人は俺の方に話しかけている。という事はその方向に王様がいるってわけだ。


あーやっとわかった。てかやっちゃったー。




まさか俺、王様に尻を向けるなんてヤバイ事しちゃってたなんて。

ソッコーで180度ターンして、そこにいるはずの王様に謝る。「申し訳ありませんでした!まさか、王様が俺の後ろにいるなんて思わなくて、大変失礼な事を。すみません。ごめんなさい。許して下さい。」


俺は必死に謝った。


「あのー、誰に向かって謝られているんですか?」


さっきの女の人の声がためらいがちに聞こえた。


「こちらにおられる王様にです。」

「ですが、そちらには誰もいませんが?それに王様はあなた様でしょ?」


は?俺は声も出なかった。訳がわからなかった。

俺が王?王は俺?


ゆっくりと俺は声がした方に顔を上げた。


顔を上げた先にいたのは、困ったような顔をした美少女だった。


そして、もう決まっていた事の様に言った。




「あなた様は我らの新しい国王様ですよ」


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