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天穿つヘリクゼンR  作者: 紫 和春


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第32話 進化

 ヘリクゼン・ベータ・プラスに変身したイツキ。そのままジーオーと対峙する。

「「そんなの、見た目が変わっただけでしょ……!」」

 そういってジーオーは、イツキに銃口を向けて射撃する。複数の弾丸がイツキに命中した。

 イツキの体が銃撃の煙で覆われる。

「「ほら、簡単にやられちゃうでしょ……」」

 煙が晴れると、そこにはイツキが立っていた。

「その程度の攻撃、今の俺には効かないな」

「「な……!」」

 そのままイツキはゆっくりとジーオーの方へ歩き出す。

「「くっ……!」」

 ジーオーは連続で銃撃をするも、イツキの歩みを止めることは出来ない。

 そしてイツキはジーオーの拳銃を掴んで銃口を上に向ける。

「「あっ……」」

 そしてイツキはそのまま銃を奪い、逆にジーオーに向けて撃つ。

「「いっ……!」」

 さすがに自分の銃の攻撃には耐えられたが、その後に放たれたイツキの拳による連打には耐えられなかった。

「「あぁっ!」」

 そのまま後方に吹き飛ばされるジーオー。

 イツキはジーオーの拳銃を、わざとジーオーの目の前に投げる。

「どうした? まだ戦いは始まったばかりだぞ?」

 そういって煽る。

「「生意気な……!」」

 ジーオーは拳銃を乱雑に拾うと、銃撃しながら接近していく。

 しかしイツキは、銃撃をわざと受けている。受けた上で殴り合いを始めた。

 ジーオーはイツキに向けて無茶苦茶に拳を入れるものの、イツキには全く効いていない。その上でジーオーの思い切り振りかぶったパンチを、イツキは左手一つで受け止めた。

「「くっ……! なんであんたの都合のいい事ばかり起きるのよ!」」

 ジーオーは吠えるようにイツキに怒鳴る。

「知らん。そんなの、お前たちのボスにでも聞いたほうがいいんじゃないか?」

 そういってイツキは受け止めた拳を振り払い、ジーオーに連続でパンチを入れる。

 そして回し蹴りで後ろに吹っ飛ばす。

「「く……! この!」」

 ジーオーは銃をイツキに向ける。

 その様子を見たイツキは、ソード・デバイスを取り出す。

『サード・スキャニング!』

『アプルーブ!』

 パワード・ソードになり、剣を召喚する。

 そのイツキに、ジーオーは銃撃した。イツキはそれを、剣で受け流した。ジーオーは負けじと銃撃するが、イツキはその全てを剣で弾いていく。

 イツキは次第にジーオーへと近づく。ジーオーもジリジリと後ろに下がるが、イツキが先にジーオーへと追いついた。

「「うっ……」」

「これが人間の底力だ」

 そういってイツキはジーオーに剣を数度振るう。

「「きゃあああ!」」

 そしてジーオーは膝から地面に崩れ落ちる。

「つ、強い……」

 イツキの一方的な攻撃を見ていたジョーは、思わずそう呟く。

 イツキは、地面に伏すジーオーに対して剣を向ける。

「ここで終わりだ」

 そういってイツキは剣を振り上げた。

 その時である。

 どこからともなく黒い影がイツキに向かって飛んでくる。

 イツキが反射的にそれを剣で弾いた。黒い影は、そのまま地面に突き刺さる。

 地面に突き刺さっていたのは、手裏剣という時代錯誤な道具であった。

「なんで手裏剣が……?」

 イツキが不思議に思っていると、ジーオーの周りに煙が立ち上る。

「「これは……」」

「ジーオー、この状況は不利だ。すぐに撤退する」

 ジーオーのすぐそばに、一人の男が現れる。フォージだ。

「このまま戦っても不利になるだけだ」

「「くっ……! すぐに吠え面かかせてやるわ……!」」

 そういってジーオーは、フォージと共に煙の中へと消える。

 煙が晴れると、そこにジーオーはいなかった。

「クソ、逃げられたか……」

 イツキは変身を解除する。そこにジョーがやってきた。

「イツキ、一体その力は何なんだ?」

「さぁ……? 自分にもよく分からないんですけど……」

 そういってベータ・プラス・デバイスを見つめる。

「自分の願いに答えてくれたんだと思います」

 なんとなく、自分が向かうべき先が見えたような気がしたイツキであった。

 その一方で、四天王の前に姿を現すジーオーとフォージ。

『ヘリクゼンがまた進化したようだな』

「申し訳ありません」

「不覚をとりました」

『これ以上ヘリクゼンを放置するとどうなるか、分かっているだろうな?』

『すぐにヘリクゼンを潰せ。出し惜しみは無しだ』

「「御意」」

『それとフォージ。貴様もジーオーと共に戦うのだ。ヘリクゼンは進化するたびに厄介なことになっていく』

「仰せのままに」

 そういってジーオーとフォージは去っていった。

『ヘリクゼン……。ヤツは我々の障害になる』

『唯一神のために、我々は勝利しなければならない』

『そのためには、ヘリクゼンの破壊が最優先だ』

『もしもの時は、我々も出ざるを得ないだろう……』

 四天王はそんなことを話すのだった。

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