魔王復活
あれ? どこかで、あの大男、見た事有る……誰だったっけ?
僕は両腕を失なったのに……呑気にも、そんな事を考えていた。
イケメンには程遠い中年の男……でも「いい顔のおっさん」って、あんなのの事を言うのかな?
すごく楽しそうだ。
まるで「2位に大差を付けたM1優勝のお笑い」を聞いて爆笑してるような……。
赤黒い肌。
黒光りしているゴツくて大きな角と牙。
巨大なコウモリのような翼。
4mを超える身長。
……って、あれ……。
おい、あいつ……僕が倒した筈の魔王じゃないかッ⁉
パーティーの仲間も……僕が魔王討伐に成功した事を祝ってくれていた村人達も、僕を指差して大笑いしている。
普段はおしとやかな回復役のお姫様も大口を開けて笑っている。
どうなってるんだ?
あ……あれ?
何で、魔王がプラカードみたいなモノを持って……お……おい、待って、どう云う事?
そのプラカードには、日本語で、こう書かれていた。
『どっきりカメラ大成功』
多分だけど……フォントは創○角○ップ体だ。
「あのさぁ、おっちゃん。いい齢して、ありがちな『な○う系』ラノベの主人公になれるって、本気で思ってたの?」
村長の息子が、僕の両腕を叩き切った剣を振り上げ……。
ちょっと待ってよ。「おっちゃん」て何?
僕、まだ、高校生……。
次の瞬間、村長の孫の頭が叩き割られた。
「安心しろ……。峰打ちだ。もっとも、この刀は諸刃だけどな」
低い……しかし……明らかに僕と同じ位の年齢の女の子の声だった。