リョウ
各自の決意表明が終わると、決起集会は解散した。明日には、ダンジョン前に集合だ。
「おいっ、付き人!」
ファフが騒がないうちに帰ろうとした、シロウに声がかけられた。
「リョウさん、いたんですね」
「なに生意気言ってんだ。俺はパーティランキング1位だぞ」
「今は、2位だがな」
シロウに向かって近づくリョウさんとエルザさん。エルザさんは、シロウに近づくと自然な動作で右手を出した。その自然な動作につられる様に、シロウも右手を出して握手をする。
「宜しく頼むぞ、失礼だとは思うが、私はシロウ達の事は知らない。しかし、ロバート学長の事は尊敬しているから、無条件で君達を信頼する」
「こいつ、馬鹿正直で、学長馬鹿で、その上、ダンジョン馬鹿なんだ。でも良いやつで、おまけに強い。俺達はもう一人と三人でパーティを組んでいるが、そいつはこういう集まりが嫌いなんだ、シロウのパーティも紹介してくれや」
「私はヨウコです」
「やっとあったな黒姫。俺はリョウだ。シロウとは面談の日が一緒でな。少し話した事がある」
「私はエルザだ」
エルザがヨウコとも握手をしようと手を伸ばすと、その手をファフが下から掴んだ。
「ファフ」
ファフが自分の存在を主張する様に名乗ると、エルザの手を振り回す。
「おい、シロウよ。噂になってるぜ。この子はお前の子なのか?って」
「そう、シロ。ヨウ、違う」
「やっぱりか、二人の子にしては髪の色が違うからな。こりゃ報告しないとな、黒姫ファンが喜ぶぜ」
「その黒姫というのは、、」
「決まってるだろ、ヨウコの事さ。ヨウコが黒姫でシロウがその付き人って、最初から噂になってたぜ」
「おい、俺も混ぜろ」
「ガット、何だよ。お前、さては黒姫ファンだな」
「ファンになるかは、ヨウコの戦いぶり次第だ。綺麗なだけでは俺の心は動かん」
「こっぱずかしいヤツだな。こいつはガット。名前は知ってるな。さっき名乗ってたからな。宿願のランキング1位をとったが、直ぐに塗り替えられる引き立て役さ」
「いいぞ、人生は長いんだ。最後には勝つからな。そんな事よりもだ、シロウよ、貴殿に聞きたい事がある、貴殿は本当にシカさんの推薦を得たのか?」
「はい、一応。クランに入れてもらいました」
「えっ!私もシカさんのクランに入ってるの?」
「そうだよ。パーティ組んでるんだがら、言ってなかったっけ?」
「シロウ、シカさんはこのアカデミーの伝説なのだ。滞在は一年もいなかったが、一年の間にランキング1位をとり、自ら退学した。そして今や世界ランキング8位だ。このアカデミーですら物足りなかったのだろう。俺の憧れだ。機会があったら紹介して欲しい」
「はい、わかりました」
「きっとだぞ」
「シロウが困っているではないか、だがシロウ、便乗する様で悪いのだが私も紹介して欲しい。ガットだけでなく、このアカデミーにとってシカさんはそれだけの存在なのだ」
「そうだな、あいつはすごいヤツだ。しかし天邪鬼で奔放だからな、聞くと見るでは大違いだぞ」
その声に振り返れば、ロバート学長だ。
「ガットやエルザは流石の決意表明だったな、そしてシロウ、お前のも良かったぞ、リョウやヨウコも明日から宜しく頼む」
そう声をかけると、ロバートは別の人の輪にむかって移動していく。きっとみんなに声をかけているのだろう。
エルザが学長と声を上げながら、学長を追いかけて行くと、ガットも、きっとだぞと言い去っていった。
「なんか圧倒されちゃうね」
ヨウコが思わず口に出したがシロウも同感だ。
「邪魔者は去ったな、シロウと黒姫に質問だ」
「リョウさん、その黒姫っていうのは、ちょっと、、」
「ああ、腹黒いとかじゃないぜ、黒髪で美しいって意味だからな、褒め言葉だ。んで、俺の質問だがな、ファフは何もんだ?」
「どういう意味でしょうか?」
「俺にはわかるのさ、さっきはシロウの子供か?なんて聞いたが、視ればわかる。シロウのスキルが化け物である事もな。正直に言うと、俺が面談の時に話しかけたのも、すげーヤツがいるなって思ったからだ」
リョウさんのスキルなのだろう。シロウがスキルを多く持っている事やファフがドラゴンである事もわかっているのかも知れない。問題はどこまで視えているのかだ。
「答えにくいよな。言わなくていいぞ。俺はゴシップは好きだが、聞く専門でな。こう見えて口は硬い。なのに何でこんな事を聞いたのかって言うとな。言っときたかったのさ」
「何をでしょうか?」
「視える奴もいるって事と、困ったら相談に乗るぜって事をな。じゃあな。また明日だ」
そう言うとリョウも去っていった。
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