No.1818②
「スラッシュ」
ヨウコの放った風魔法がゾンビを切り裂く。ヨウコは魔適性が高く、同じ魔法でも威力がシロウとは段違いだ。
ヨウコは魔力の自然回復も高く、スラッシュであれば余程連発しない限りは魔力切れにならない。スキルを選ぶ時は、勢いで決めた様に見えたが、ダン校やアカデミーの講義で、自分の適正を調べていたのだ。
アタッカーをヨウコに任せ、シロウは『身体強化B』『鉄壁』『影舞』『瞬歩』をセットし、敵を釣り出す為に先行した。このダンジョンはゴブリンにオーク、スケルトン、マイトウルフ、リザードマン、ハーピーそして今のゾンビと上位種こそいないが、モンスターの種類が多く、階層も四階層目に入っている。そろそろコアに近づいたと思いたいが、ここから上位種が連発される様な状況であれば、一度撤退すべきだ。
扉が見えた、これは強敵がいる。ハイ・オーガ(アカデミーで黒鬼の名前がわかった)や雷獅子も扉の先にいたのだ。扉に近づくと、左右にある石像が動き出した。
ガーゴイル。剣を持った翼のある猿、そんな感じだ。
「スラッシュ」
シロウに追いついたヨウコが放ったスラッシュをガーゴイルは剣で払った。
「ガーゴイルは結構強い、特に元々が石像だから硬いのが厄介なの。『支援』を使う時はいつでも言って」
「扉の先に強敵がいる、『支援』は取っておく。それよりも合図であいつらの上をブラストで狙って」
『身体強化B』『剣術B』『切断』『瞬歩』をセットする。飛んでいる動きが厄介だが、剣が届けば斬れる。
間合いを詰める、『瞬歩』は短い距離であればかなりの速さで動ける。使ったらチャージに時間がかかるが、剣での戦いではとても有効なスキルだ。
ガーゴイルは、突然眼前に現れたシロウに驚いた様だ。横薙ぎの一撃で1匹の左腕を飛ばす。元々の硬さもあるだろうが、宙に浮いている分、衝撃が逃げてしまい、身体の切断には至らなかった。もう1匹とともに上に逃げる。
「今だ」
「ブラスト」
ヨウコからブラストが放たれる。これもシロウのブラストとは違う。ガーゴイルに向かう風の固まりが目に見える程だ。ヨウコのブラストであれば、これだけで勝てたかも知れない。
ブラストを避ける為にガーゴイルは降りてくるしかない。2匹は逃げる様に降下し、下からの切り上げに両断された。
「ガーゴイルを瞬殺か、そんなに簡単には斬れないはずなんだけどな、私の風魔法の威力も普通じゃない。シロウのスキルには改めて驚かされるわ」
ヨウコの適正のおかげさと答えようとした時、扉が静かに開きだした。『身体強化B』『影舞』『鉄壁』『瞬歩』にスキルをセットする。何が来るかわからない、攻撃よりも敵の初撃に備える。
扉が完全に開いたがいきなりの攻撃はない。ヨウコに扉の外で少し待っててと耳打ちすると、『瞬歩』を『陽炎』に変更し中に入る。
規則正しい息遣いが聞こえるが、扉の中は薄暗くて何がいるのか良く見えない。奥には紫色に光るダンジョンコアが見えた。紫色のコアは始めてだ。緑色はスロットが増え、赤や青はスキルが増えた。
シロウは音を立てない様に壁伝いにコアに向かった。
ーーーーーー
やばいヤツが来た。あっという間にモンスター達を倒すと、我が軍のパーフェクトクローザーたるガーゴイルさえもやられた。
遂にファフニールたんの出番が来る。まだスキルは渡していない。しかしこの戦いがスキルを決める戦いになるだろう。
つまりは、圧倒的な力でこいつらを倒せば『変身』のスキル。絶対にあり得ないが、万が一ファフニールたんが苦戦すれば戦闘系の上級スキルを渡す。
扉が静かに開ききった。部屋の中は暗いままだ。
おかしいぞ、扉は重々しい音を鳴らしながら開き、同時に部屋の中が明るくなる仕組みのはずだ。
・・・そうか思い出した。ガーゴイルのやつが誤って扉を開けた時に、ファフニールたんが起きそうになったから改造したのだ。以前に扉が開いた時と違い、ファフニールたんは愛らしい顔で寝ている。我ながらいい改造をしたものだ。ってちがーう。やばいぞ。いつの間にか男が私の前に移動しているではないかっ!
男が私の中に手を入れようとしている。このままではファフニールたんの為に蓄えたダンジョンポイントがこいつに取られてしまう。
ーーーーーー
コアの横に立つと、息遣いの正体がわかった。紫色の光に照らされたドラゴンが見える。ドラゴンについてはアカデミーの講義の中でもあったのだが、詳細な情報はほとんどなく、未知なるものに遭遇したら逃げろとか、逃げるは一時の恥・死ぬのは一生の恥とか、要は攻略者の心構えを伝える為に話されるだけだ。
いる事は確認されており、共通しているのは巨大である事だ。シロウが見ているドラゴンはどう見ても小さく、頑張れば抱えれる大きさだ、おそらく幼体なのだろう。幼くてもドラゴンである、もし起きてしまえば、強者たる存在だろう。
コアに触れ、直ぐに壊す。そうすればモンスターは消えるはずだ。シロウがコアに手を伸ばし触れようとした時、コアの色が無色に変わった、シロウは色の変化に戸惑いながらも、コアに手を触れると、コアを斬った。
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