ルネサンス
目を開けるといつもより瞼が重く感じた。心配して、泣いて、笑って、安心したら寝てしまった。ヨウコは子供みたいで恥ずかしいと思う反面、あのまま話を続けるのも何だか照れくさく、寝れて良かったと思った。
「あと少しでルネサンスに着くわ」
起きた事を察したのか、シカさんが教えてくれた。横を見ればシロウも寝ている。
「着いたら、直ぐアカデミーね。そのまま、あなた達はアカデミーで過ごしてもらう。ヨウコはダン校で学んだけど、シロウはダンジョンの勉強とか色々学んだ方が良いわ、ここ以上の学び舎はないでしょうからね」
「シカさん、私達はアカデミーに入れるんですか、ダンジョン校でさえ毎年一名の推薦者しか入れないのに」
「何処で学んだとかで入学出来る訳じゃないわ、小卒でもスキルを認められれば入れるし、トップランカーの推薦でも入れる」
「シカさんが推薦してくれたんですよね。なんて推薦してくれたんですか?」
「ヨウコは強力な支援のスキル」
「シロウは?」
「測定不能」
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アーシアは講義が退屈になってきた。この講義もレベルは高くない。元々、武器錬成を独学で身につけた事もあり、最初はアカデミーの講義が驚きの連続であったが、半年経った今では、知識は充分に身につけた、工房に籠った方が有意義かも知れない。
講義内容にみきりをつけ、ノートの中に仮説を書くと、自分の研究に埋没し始めた。
「シカだ、シカがいるぞ」
アーシアはその声を嘘だと思った。どうせ似ている誰かだ。無駄に期待させないで欲しいし、独学の邪魔をしないで欲しい。
「あの二人は誰だ? シカのパーティなのかな」
シカさんは三人パーティだ。シカさん以外の二人も、シカさんには及ばないが有名だから、もしそうなら誰かが気付くはずだし、シカさんはパーティメンバーをここ三年変えていないし、クランも作らない。きっと何かの考えがあってそうしている。連れているのが誰も知らない二人ならシカさんであるはずがない。だいたいシカさんは・・・・やっぱり気になる。
「ミーハーな馬鹿にはつきあいきれない、その似ている人はどこ?」
最初の一人に釣られて、みんな窓に張り付いて見ている。出遅れたアーシアは人混みを掻き分けて前にでた。
「シカさんだ!」
シカさんはアーシアの事を知らないだろう。スタンピードの中で助けた一人の少女のことなど。でもアーシアにとってはシカさんこそが英雄なのだ。
シカさんは三人で歩いている。新しいメンバーを加えたのだろうか? どう見ても若い二人、アーシアと同じ歳くらいの人がシカと一緒に歩いている。それはアーシアにとって、自分がシカと一緒に歩けるかもという希望と同時に、激しい嫉妬となった。
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アカデミーは世界中から入学者が来る為、必須アイテムとして、イヤホン型の翻訳機か無償で貸与される。言語の勉強をする暇は無いって事らしい。
イヤホンのおかげで、学園長はいわゆる外国人であるが彼の言葉は、スムーズに翻訳されている。
気にはなるのは互いの口調だが、これは機械の誤作動ではないだろう。
「シカ、一度に二人も入学を許すのは貸しだからな」
「そういう事を言わなけりゃ、恩に感じるのにね」
「残念ながら私は、礼節を重んじる日本ではなくて、権利を主張する国に生まれたからな、貸しはちゃんと返して貰う」
「ロバート、あなた変わらないわ、私があなたのクランにいた時、よく女性メンバーで話してたの、誰と付き合いたいかってね。よくあるガールズトークだけど、あなたと付き合いたいって人はいなかった。クランリーダーなのに」
「うるせえよ、俺がモテない事くらい、自分が1番知ってるさ」
「あなたはクランのリーダーやアカデミーの学長になれるくらいの人望がある、修羅場もくぐってる、勉強熱心でもあるし、もちろん強くもある。ただねえ、女性が引くくらいケチなの。本当に残念だわ」
「何とでも言え!とにかく、入学を認めたからには、二人の面倒を見るが、お前も知っての通りココは自分次第だ。無論、冷遇などしないが、特別扱いもしない。二人には期待させて貰おう」
「それで良いわ、シロウ、ヨウコ。アカデミーでは自分達で考えて過ごしなさい。猶予は一年半。ただダン校にいたヨウコはともかく、シロウは日本の教育と違いすぎるから、自由に学べって言われても困るでしょ。道標に宿題を設定しておくわ、パーティランク月間1位を取りなさい」
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