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君に、声を  作者: 桜 寧音
一章 高校生(四月)
4/73

1ー2ー2 初めてのイベントで

ステージ終了。

 PV自体は問題なく流れる。既に収録したアニメの一話部分の一部が使われているようで、そこに根本さんのナレーションが入っている形だ。

 アニメの作画はあまり詳しくないけど、これは綺麗な方じゃないだろうか。そうやって見ていると、暗闇からスタッフさんが近付いてきた。


「間宮くん。これ、進行用の台本。付箋貼ってあるところから進めてくれる?」


「え?僕がやるんですか?」


「津宮くんが暴走してるし。あとはPVの感想聞いてキャストに一言ずつで終わるから」


「はぁ」


 小声でそうやっている内にPVは終わってしまった。ステージの照明も元に戻り、マイクも多分戻ってる。


「あー、あ、あー。大丈夫ですね。津宮さん、伝言です」


「え?何?」


「スタッフさんから進行変わってって、台本渡されました」


「オーマイガッ!」


 なぜか会場では大きな拍手。コメントの方では8が飛び交っている。そのまま僕と津宮さんが場所を入れ替えてなぜか進行をすることに。司会なんて初めてだ。


「はい、それじゃあPV見ていただきましたけど、会場の皆さんやコメントの皆さん。いかがでしたか?」


 もう一度拍手が返ってくる。うん、アニメファンや原作ファンからも高評価みたいだ。コメントを見ても問題ないっぽい。

 それからスライドを写してもらってキャストやスタッフを確認して行き、放送日などPVに収まらなかった情報や初出し情報、それと原作情報やこの会場で先行販売になるグッズなどを紹介していく。

 この情報すら、僕も初耳なんだけど。


「皆さんごめんなさい。ステージの時間が迫っていたので機械的に進めてしまいましたが、情報わかりましたか?このステージの後に公式サイトが更新されるので、そちらもご確認ください。PVや僕たちキャストのコメントも掲載される予定です」


「わかりやすかった!さすが俺の弟!」


「津宮さんは後でお説教です。そして本当に時間が迫ってるので、最後にキャストの皆さんに一言づつコメントをいただきたいと思います。まずは東條さんから」


 締めの挨拶は慣れているのか、アニメについてきちんと宣伝して夏まで待っていてほしいことを伝えていく。津宮さんと根本さんもしっかりコメントした後、僕に戻ってくる。


「はい、ありがとうございました。僕も初めての大きな役なので皆さんの期待に応えられるように頑張っていきます。さて、最後になりましたが!ここで最後の初出し情報です!」


 スクリーンに出たのは、ラジオ番組の開始。放送開始まで三ヶ月強あるわけだけど、確かにこれなら話題性も間潰しもできる。

 第一回の放送が来週からになっている。メインパーソナリティは根本さんと東條さん。しかも初回は生放送らしい。


「というわけで、公式ラジオ配信の告知でした。毎週金曜日に放送で、初回は生放送で二十時からです。この後ラジオの公式HPもできるそうなので、ふつおたなどを募集しているようです。それともう一つ情報があるようですが……?」


 台本に書いてない。スライドが出ているモニターを見ていると、追加情報がそこに書かれていた。それを見た瞬間、パーソナリティの二人が飛び上がった。


「「やったあああ!」」


「……はい。ということで、追加情報は初回の生放送。ゲストは僕、間宮光希のようです。アレェ……?来週なのに、スケジュールとして聞いてない……」


「みーちゃんへの質問、バシバシ募集します!」


「パーソナリティのあたしたちが厳選したものしか読みません!そこのところ考えて送るように!」


 何でパーソナリティの二人はそんなにテンションが高いの?毎週アフレコで会ってるのに……。ん?コメントに『みーちゃん表情』って多く書かれてる。ほっぺたを触ってみるけど、変な表情をしていただろうか。

 というか、みーちゃんを受け入れてるのが嫌だ。鈴華ちゃんからみっちゃんって呼ばれてるからちゃん付けはまだいいけど。

 というか、締めないと。ステージの時間超過してる。


「はい!新情報盛りだくさんでしたね!誠に申し訳ありませんが、ステージの時間を超過しています!動画配信の方々が弾き出されちゃうそうなので、ステージ終わりますよ!キャストの皆さん、ご登壇ありがとうございました!」


「えー、生放送について話し合おうよぉ」


「楽屋でやります。途中からの進行は間宮光希でした。皆さんお忘れ物なさいませんよう、気を付けて他のステージや物販に移動してください。本日は『パステルレインの空模様』アニメ進行状況発表会にお越しくださいまして、誠にありがとうございました!」


 僕の後に何か言おうとした先輩方だったが、マイクは既に切られていた。僕も台本を回収して先輩方を押し出す形でステージを降りる。

 マイクや台本をスタッフさんに渡した後、先輩方はアニメの配給元である大企業の方に正座させられていた。


「君たち、いい大人でしょう?新高校生に迷惑かけすぎだから」


「「「すみません……」」」


 あっちは任せて松村さんに合流する。持ってきてくれたお茶で喉を潤す。めちゃくちゃ叫んで疲れた。


「ご苦労様。ラジオの生放送はサプライズにするってことで伝えてなかった。スケジュールは抑えてあるけど、何か用事あったかい?」


「いえ、ないです。だから大丈夫ですよ。それとSNS教えてください。社長に好き勝手されるくらいなら自分でやります……」


「はは。そうだね」


 楽屋に戻ると、大爆笑したカノン先生が迎えてくれた。さっきのステージがとても面白かったらしい。あんなはちゃめちゃなデビューなんて予想してなかったのに。

 カノン先生にはさっきの放送について掲示板だったりSNSだったりで話題になっていることを教えてくれた。子役の頃からそうだけど、あまりエゴサーチというものをしていなかったから色々な人に感想を言われるのは新鮮だ。


 炎上って言葉は知ってるからそれだけは心配だった。生意気な子どもとして映っていなければいいけど。そんな不安を抱いていたけど、どうやら問題なかったらしい。むしろ有望な声優としてトレンドに入ってしまったらしい。

 そのトレンドやらも教えてもらいながらアプリをダウンロードして松村さんとカノン先生に教わる。カノン先生は年齢通りこういうのが得意で、気を付けなければいけないことなど教えてもらいながら初期設定を教えてもらった。


 また、トレンドになってしまったらしくて、僕を騙るアカウントもあるらしい。なので宣材写真ではなく、この楽屋で撮った僕の写真をホーム画面に、そして(公式)をアカウント名につけて、すぐに社長の広報アカウントにフォローしてもらうことにする。

 あとカノン先生もフォローしてくれれば僕のアカウントが本物だと証明されるだろうということ。


 というわけで僕のアカウントの情報を社長に伝えてからアカウントを作成。これですぐ社長によって守られる。

 松村さんに電話で確認してもらいながらアカウント作成を完了する。カノン先生がすぐにフォローしようとしたけど、その前に僕をフォローしたアカウントが。早すぎる。

 その名前を見て、僕と松村さんは苦笑。カノン先生が地団駄を踏む。


「ああー!間宮くんの最初のフォロワーになろうとしたのに!この人誰⁉︎」


「ドラマや舞台脚本家の如月咲(きさらぎさき)先生ですね。有名なドラマだと、二年前の『霊能探偵かぐや』でしょうか」


「え、あれの脚本家の先生?あの少女漫画らしい女子校生活に三割くらい霊的現象入れた月9の?」


「そのシリーズ監修、メイン脚本をしていた先生ですね。嬉しいなあ」


 この人とカノン先生、そして社長がフォローしたということで僕のアカウントをフォローする人がたくさん。通知がうるさくなっちゃったから通知をオフにする。

 「霊能探偵かぐや」は神社の娘である主人公の少女が女子校に通いながらライバルである少年霊能探偵と一緒に事件を解決したり、時に競ったりしながら最終的には恋仲になるというドラマ。


 甘酸っぱさと主人公役の女優さんが綺麗だったことで話題になった。話も良かったし、霊的現象もCGをふんだんに使ってドラマとしては凄く良かった。

 そんな素晴らしい脚本家の方がなぜ脇目も振らず僕をフォローしたかというと。

 この先生、僕の姉さんだからだ。


 つまり姉弟だからすぐに分かっただけ。姉さんには声優のことは伝えているし、松村さんも姉さんのことを知ってるから苦笑していたわけで。

 ちなみに。「霊能探偵かぐや」の相手役。僕にやらせるつもりだったらしい。

 その時は僕が子役をやめてしまったために、そうはならなかったんだけど。


 おねショタ、というのも流行った理由なんだとか。僕を添えるつもり満々だったから主人公は高校生なのに相手は中学生ってする予定だったから。

 実際起用された子役は僕より一つ下の少年。僕より幼くて設定的には中学生だったけどやっていた子は小学生から上がりたてだったから余計に世間のお姉様方が喜んだとかなんとか。姉さんが言ってた。


 とりあえず、僕も姉さんとカノン先生、社長をフォローする。それと初めての投稿として先ほどの醜態を謝っておいた。

 気付いたら津宮さんたちや、知り合いの声優さんたちにもフォローされていたのでフォローを返していた。情報発信アプリだから不用意には使わないでおこ。


次も日曜日に投稿します。

感想などお待ちしております。あと評価とブックマーク、いいねも。

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