第34怪 ミニスカサンタにお酌をされる実の父
短め
時は移ろい、十二月となる。
肌寒いながらも雪が降ることもなく、赤いお爺さんが経済を潤す頃となった。
そう、クリスマスである。
やったぁ。
クリスマス時期はミニスカサンタのコスプレグラビアが手に入る。
何を隠そう、ミニスカサンタフェチの僕としては、瑠璃子に把握されているのを覚悟で、グラビア付きの週刊誌を買うことにしている。やったぁ。
瑠璃子はトナカイの衣装が気に入っていたから、昨年はミニスカサンタの彼女を見ることができなかったし、今年も見ることはないだろう。
僕は例によって、金剛の家で、寺や墓を掃除するなどのアルバイトである。
めちゃくちゃ割が良いので。
諸注意を聞いて、友人とともに寺の周りの掃除や補修、時季外れの墓参りに来ている人の道案内などを済まし、クリスマスイブの日は過ぎていく。
今日はアルバイト代も入るし、ミニスカサンタの雑誌を収集して帰ろう。
今年も、瑠璃子は才谷家のクリスマスパーティに参加するらしい。
むしろ、主催すると言っても過言ではないレベルで関わっていると聞いている。
料理を作り、ケーキを予約し、部屋を飾り付け、才谷家の父の接待までしているという。
才谷家の父、松五郎は、なぜか会社を早退してまでクリスマスパーティを堪能しようとしている。
息子の彼女にそれほど会いたかったのか。
確かに前年は帰りが遅くて、クリスマスパーティでも会うことはなかったが。
寺のアルバイトを終えて帰宅した僕は、労働で程よく疲れた足をいたわりながら廊下を進み、リビングの扉を開けた。
そして、自分の彼女が父を接待しているという状況を目撃した。
「いやあ、不肖の息子にこんないい娘さんが嫁いでくれるとは……」
「うふふ、お世辞でもうれしいですよ、お義父さん」
「おお……」
無言で扉を閉めた。
おお、じゃないよ。
なんだろうな、この光景は。
混乱しつつも、再度扉を開けてリビングに入り、ツッコミを入れざるを得なかった。
「いや、まだ、結婚してないからな。僕たちは高校生だから。もう酔っているのか?」
そうして、パーティ会場を見回した僕は、父、松五郎に気を取られて見ていなかった瑠璃子の格好に気づいてしまった。
僕の混乱に、さらに拍車がかかることとなった。やったぁ。
「瑠璃子がミニスカサンタの格好をしているように見える。何だこの幻覚は。ここは桃源郷かな」
桃源郷かな?
先ほども言ったが、ミニスカサンタは僕の好物である。
前年のクリスマスでは、瑠璃子はトナカイの格好をしていたので、見ることは叶わなかったが、今年は夢のような体験ができている。
いいなぁ。
僕のことを好きな子が僕の好きな格好をしてくれている。
これには僕も既成事実をつくられても仕方ない気がする。
負けてしまうかもしれない。
父、松五郎には悪いが、せっかくなので、瑠璃子にはちょっと席を外してもらい、撮影タイムと行こう。
瑠璃子には、好みのグラビアポーズをとってもらい、パシャパシャとスマートフォンのカメラで撮影をしていく。
「いいよ。かわいいよ。次はこのポーズをしてみようか」
「ん、こうかな」
見た目が好きなだけで、その衣装を着てくれた子に触りたいとかの欲望がなくて良かった。
あったら瑠璃子に手を出しているところだった。
百枚ほどカメラに収めて満足した僕は、戦利品のフォトアルバムを確認する。
ミニスカサンタの彼女を十分に堪能した僕は、多幸感につつまれながら、成仏したように感じた。
成仏しかけた僕は、川の向こうでメリコンドル兄貴がストロングなチューハイを飲みながら手を振っている光景が見えた気がしたので、慌てて我に返ったのだが。
さて、落ち着いたところで瑠璃子にもご飯を再開してもらおう。
クリスマスに特に関係はないが、今日の晩御飯は寿司である。
本当になぜなんだ……
瑠璃子は自分で握ったらしい寿司をどんどん僕の口に突っ込んでくる。
エンドレスわんこそば状態で口に突っ込まれる、サーモンと玉子の連打に、僕は何とか勝利した。
瑠璃子はことあるごとに何かを食べさせようとしてくるな。
僕を太らせて食べる気だろうか。
食べるといえば、そっちの意味ではないことを毎回要求されているが。
下ネタじゃねぇか。
満腹になった僕は動くのも難しい。
ちなみに、その後にケーキが残っていることは忘れていた。
ケーキを食べたら見事に轟沈した。
もうむり。よこになろ。
食べ過ぎてソファで休んでいると、瑠璃子が隣に座ってもたれかかってきた。
満腹で余裕がないので、そのまま休み続ける。
才谷家の父母は、僕らの仲睦まじさに嫉妬したらしく、対抗してイチャイチャを始めたので、収拾がつかなくなった。
こうして波乱のクリスマスパーティは終了し、また一年が終わろうとしていた。
続く




