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「わ、私は真霊能者です!そんな今さら…!霊能結果だって、嘘は言ってません!奈美の黒だって、ちゃんと知らせたじゃないですか!自分が入れてないのに、自分に不利になるのに!」

忠彦が、怪訝な顔をした。

「…あの時は、その結果如何で真かそうでないかも分かるって彰さんが言ってたんだ。だから、黒だって言わなきゃ仕方なかったんじゃないか。その色だってどっちか分からないぐらいなのに、君は確かに真役職として村に自分が見える世界を全く村に落としてない。彰さんばかりが皆に頼られて…思えば君だって同じぐらい見えてもおかしくないのに、皆の意見を待つだけだった。確かに、君を真置きする理由が弱くなってる。ただ、奈津美さんが怪しかったというだけで。」

彩芽は、自分が疑われるとは思っても居なかったのだろう、顔色を変えて何度も首を振った。

「私は真だから、逆に別に話さなくてもいいって思って!奈津美さんは白よ?!敦也さんだって白だった!出た結果を言ってるだけなの!嘘じゃないわ!」

雄大は、それを無視すると険しい顔をして、登を見た。

「つまり、誰かが人狼だったかもしれないし、奈美さんが白だったかもしれないって事だね。狩人を騙ってたから、まあ彼女は黒だろうけど分からないよね。人狼がどこかに混じってたのかもしれないよ。どうする?」

登は、うんざりしてホワイトボードを見上げた。

「うーん、でも、玲が騙りで、もし彰さんが偽だっとしても、美子さんか憲二のどっちかが確かに猫又だって分かったんだから、どっちかが狼ってことだろう?ってことは、奈美さんが黒ならあと一人だから他に白ってことは考えられないし…いや待て。もしかしたら、村騙りかもしれないのか。死にたくないから。」

それには、忠彦が頷いた。

「そうだな。殺されそうになって、慌てて騙った村人かもしれないよな。何しろこの村は、村騙りを禁止してないんだ。初日は普通のゲームのつもりだったし、役職に出てることはさすがに無いだろうけど、ほんとに死ぬのが分かって目の前で見てからだからな…村でも、死にたくないから騙ったかもしれない。彩芽さんを完全に信じてたから黒だって思ってたけど、違った可能性はある。そもそも、考えてもみろ。彩芽さんが噛まれてないんだ。彰さんより護衛が入ってる確率は低かったはずなのに。それで猫又に当たって一人死んだって、どう考えてもおかしな話じゃないか。もしかして人狼から見たら彩芽さんが偽だから、噛まずに置いたのか?」

美津子は、それには何度も頷いた。

「だとしたら内訳が分からなくなるわ。狐は居たの?狼は?…それこそ、彰さんが言う通り占いながら吊って行くよりないのね。」

彰はじっと頭の中を整理していたようだったが、言った。

「もちろん私目線…もう狐は居ないとしたほうが楽だ。霊能結果に信憑性がないとなると起こった事実に頼るしかない。ひとつひとつ収めて行くと、まず美子さんと憲二が、美子さんは私の白だから猫又、憲二が黒。俊と玲は襲撃されたから白、俊は真か背徳者、狂人、玲は背徳者か狂人。敦也は真、狐、狂人、背徳者、憲二に黒をうってるから狼以外何でもありだ。私は真。そして霊能者、奈津美さんは何でもあり、彩芽さんもそうなるな。もはや生きているのが彩芽さんと私だけとなると、私は彼女を占うべきなのか。それともローラー完遂するのか。私としてはグレーを占って狭めたいのだがな。吊りながら占えば明後日には私目線のラストウルフである純次を吊れる。狼がまだ居るなら明日辺り処理出来そうだしな。」

純次が、苦々しげに言った。

「そうなってくると、みんな忘れてるぞ。」皆が面倒そうに純次を見る。純次はひるまずに続けた。「彰さんが偽だという可能性だ。もし背徳者だったらどうする?狐を囲ってグレーの外に置き、村人を殺しながら陣営勝利を目指しているのだ。占い師の真は俊と敦也で、玲は狂人、奈津美さんは人狼だった可能性もあるって事だろう?啓子さんは初日に白を打たれてからずっと黙ったままで、村に貢献していないぞ?彰さんの白だってだけで、それはおかしいんじゃないのか。」

啓子は、急に攻撃されて固まった。元々おとなしいタイプで、空気のような存在だった。投票にも変わった所はなく、疑うなど欠片も思わなかった。霊能結果から役職内訳を考えてまさかと思っていたが、霊能結果が信じられないとなれば、確かにそれも考えられた。

彰が言った。

「確かにな。」意外な答えに驚いていると、彰は続けた。「村目線ではそうだ。私は自分の真を知っているのであり得ない事は知っているが、霊能が信じられないなら確かにそうなる。となると、私が狼の可能性もなくなるな。狐かもしれない位置に白を打って噛まずに放置など、私が狼ならあり得ない。ならば啓子さんを吊ってもいいぞ。千夏さんも啓子さんと同じだしそっちでもいい。私は死なないからな。背徳者ではない。純次、君には分かっているはずだ…誰が真で、誰が人狼だったのか。狐に勝たせたくないのなら、君は情報を開示するべきだ。これ以上村人を殺させないためにも、もう終わらせた方がいいのではないのか?どのみち君は残されない。最後には死ぬ。ならばここで犠牲を増やさない選択をすぺきではないか?」

純次は、彰を睨んだ。強い視線だったが、彰は動じる様子はない。純次は、言った。

「…あなた目線ではそうなるのでしょうが、オレから見たらあなたは敵でしかない。オレは人狼じゃない…村は初日からうまく言いくるめられてるんだ。あなただって一度も噛まれてないじゃないか。これだけ真置きされていたら、狼なら噛みたいはずだ。護衛成功したとしても。オレはまだ、あなたが狐か背徳者でもおかしくないと思っている。試しに今夜護衛を外して狼にあなたを噛ませたらいいんだ。それであなたがどっちだったか分かるだろう。」

彰は、フッと笑った。

「私を殺したいのに殺せないのだな。護衛があればどちらか分からないし、無駄になる。それは飲めない…私が居なくなれば村は迷走して狐を探すのをやめられない。そうして結局狼勝利になる可能性がある。護衛無く噛まれたら私は死ぬ。毎夜登のために占い結果は紙に記して握って寝ている。が、今夜の結果だけでは不十分だ。私を殺したいなら、狩人を狙って噛むしかないのではないか?ま、狩人が噛まれても登は言わないだろうがな。グレーが狭まってこちらとしては万々歳だ。」

純次はひたすらに悔しげに彰を見ている。登は、長く息を吐いて言った。

「ここまで来たらもう、自分達が残した役職を信じるしかないんだ。確かに彰さんが言った通り、奈津美さんが真で彩芽さんが偽の可能性はあるだろう。だが、そんなことを今言ってもどうしようもないんだ。ただ、後1日結果を見よう。もう、今日で狐が処理されたと思ってる者は純次に入れてくれ。まだ分からないなら彰さんのグレー、美津子さん、希美さん、忠彦、雄大の中から一人入れてくれ。それで明日は、純次か彩芽さんか、残ったグレーかそれとも彰さんか、みんなで話し合おうじゃないか。」

今生き残っているのは、彰、登、雄大、忠彦、純次、啓子、千夏、美津子、彩芽、希美、千夏の10人。

登はパン屋、千夏、啓子は彰の白で純次は黒。彩芽は自称霊能者。後三人…狩人がもうグレーに居ないのか、それともまだ残って居るのかは登以外に分からないが、明日は彰真ならかなり狭まる。今夜一人死に、明日一人死んだとしたら8人…。

「私の呪殺が出たら彩芽さんは偽の可能性が上がる。それで7人、狂人だとして狼がまだもう一人居たら狼陣営は三人だがまあ、村が間違えなければなんとか。」

彩芽はまた何度も首を振った。

「私は真霊能者です!狂人じゃありません、ほんとです!疑うなら、明日はみんなが言った所に入れます!純次さんにだって投票できます!」

登は、ため息をついた。

「だから、それはまた明日のことだ。今はとにかく、これで朝の議論を終えようと思う。どこへ入れるのかはみんな自由だが、きちんと理由を持って入れてくれ。そのために、昼の議論、夜の議論があるんだ。自分が間違っていないと思うなら、それをきちんと主張して意思を持って入れてくれ。明日になって違う所が吊られたからと、他の者たちを責めるのは間違いだ。分かるな?自分が入れる場所に自信を持っているなら、なぜそうなのか皆を説得するんだ。納得したら皆、そこへ入れてくれるだろう。ということで、今は、解散。」

最後の言葉は、間違いなく彩芽に対してだった。朝から、玲が殺されていた事実に敦也を吊ったと皆を責めたからだ。敦也は白だったとは彩芽の主張だが、しかしそれも、今は分からなかった。

不安げにしている彩芽を、美津子も啓子も声をかけづらそうにして遠巻きにキッチンの方へと足を進め、希美がそれを気にしてちょっと声をかけているのは見えたが、しかし一緒に行動するつもりはないようで、さっさと美津子達を追ってキッチンへと向かった。

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