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敦也は、まだ悩んでいた。

今日は、忠彦と千夏のどちらかを占うと指定した。気が変わったからと他を占えば、そこで呪殺が起こっても信じてはもらえない。そのための、占い指定だった。

彰は、美子を占うだろう。彰にはせめて黒を出してほしかったので、美子を白だと知っている敦也からしたら雄大を占って欲しかった。しかし、まず敦也が信じられていないのだ。それというのも自分の黒の憲二に目立った動きはなく、白の美子がなぜか占われたがらないような素振りを見せつつ、奈美以外の所へ投票したりとおかしな行動をするからだ。

彰が自分を疑うのなら、自分も彰を疑って行かねばならない。

敦也は、やはり宣言通りに、千夏を占うことにした。

千夏の番号は、14。そして、0を三つ。

『№14は、人狼ではありません。』

液晶画面には、小さくそう、表示された。敦也は、ドキドキとした…これで、明日千夏が死んでいたら、千夏妖狐が確定し、彰の偽も確定する。

そして、敦也の真が確定して、憲二は吊られることになる。

どうか、呪殺が出ていますように。

敦也はそう祈るといつものメモ帳に結果を記し、ベッドへと入って、そろそろ慣れて来た早い時間に眠りについたのだった。


次の日、もう習慣化しているのか、五時半に自然に目が覚めた。

敦也は急いで起き上がると、顔を洗って着替えをし、じっと扉の前で鍵が開くのを待つ。今日ほど、結果が早く知りたいと思った事はなかった…千夏は、生きているのか。

そのままじっと、まんじりともせずにドアノブを睨むように見ていると、時間が来たのか、ガチン、と閂が抜ける音がした。

…解錠だ!

急いでドアノブを掴むと、サッと開いて廊下へと飛び出す。

すると、同じように左右や前には、彰、美津子、啓子、彩芽、希美、登が出て来ていた。

「…みんな居るか?」

彰が言うと、希美と登が顔を見合わせてから、首を振った。

「憲二が居ない。」

敦也は、驚いた。憲二?

彰が、険しい顔をした。

「ちょっと待て。とにかくは、今日は皆で確認しよう。寝ているだけかもしれないが、それは全員で確認だ。三階の連中を呼んで来てくれないか。」

希美と登は、頷いた。

「はい。じゃあ、ちょっと行ってきます。」

二人は、階段を駆け上がって行く。敦也は、どんどんと憲二の扉を叩いてみた。

「おい、憲二!起きろ、みんなが確認に来るぞ!」

死んだはずはないことは、敦也は知っていた。何しろ、憲二は黒だったのだ。襲撃される、はずはなかった。

しかし、応答は無かった。

「おおい!」上階から、登の声が聞こえて来た。「来てくれ!」

何事かと思ったが、敦也はドキドキと胸が高鳴るのを感じた…昨日占った、千夏は三階の14番の部屋に居るはずなのだ。もしかして、呪殺が成功しているのかも…。

彰が、サッと一段飛ばしで階段を上がって行く。

残っていた二階の者たちも、その後を追って三階へと上がって行った。


三階でも、皆が広い廊下へと出て来て一か所に集まっている状態だった。ただ、その場所が三階のどこかの部屋の前で、その部屋の扉は開いていて、皆がその前で能面のような顔をして立っているのが見える。

不気味な空気を感じた敦也だったが、先に上がっていた彰の背越しに、皆に言った。

「誰かが死んでるのか?そこは誰の部屋だ?」

すると、玲が答えた。

「…ここ、17番だよ。この階には、20まで部屋があるんだ。で、ここが17…美子さんの部屋なんだー。」

敦也は、絶句した。美子…どうして、美子なんだ?

「…狼が私が真だと確定しないように私の占い先を噛んだのかもしれない。これだと、呪殺なのか襲撃なのか、知る術が無いだろう。ちなみに私は美子さんを占って白と出ている。」

という事は、人狼は彰が真だと思っているということだ。だからこそ、彰にそれを証明させないために、狐らしいところを彰が占うので、そこを噛み合わせて来たということなのか。

つまり、敦也のことは真だとは思っていないという事にもなる。

面白くなかったが、敦也は言った。

「千夏さんは?!居るか?」

すると、おずおずと手を上げて、千夏が言った。

「はい、私?居るけど…。」

千夏は、生きている。

敦也は、がっくりと肩の力が抜けるのを感じた。外した…千夏は、村人なのだ。

「他に、犠牲になった者は居ないのか?」登が、皆を見回した。「美子さんだけ?」

玲が、皆の人数を数えているようだったが、頷いた。

「三階は居るみたい。僕は啓子さんを占ったけど、白だったしそこに居るよね。だから狐じゃなかったみたいだ。」

ハッとしたように、美津子が言った。

「そうだわ、憲二さんが出て来てないの!」美津子は、急いで階段の下へと体を向けた。「彰さんがみんなで確認した方がいいって、まだ中を確認してないわ。見て来ないと。」

純次が、顔色を変えた。

「なんだって?憲二?」

憲二とは、ここへ来てから純次は仲良くしているようだった。急いで美津子を追って階段を降りようとそちらへ来た。

「まさか犠牲になってるなんてことは…?」

美津子は、首を振りながら階段を下りた。

「分からないわ。ただ寝ているだけかもしれないし…。」

つられて、全員がぞろぞろと階段を駆け下りて行く。敦也も、そんな皆について、今上がって来たばかりの階段をまた、駆け下りることになってしまった。

全員が憲二の7番の部屋の前へと集まると、皆の視線が、登に向いた。登は、誰も手を出さないその7の部屋のドアノブを掴むと、思い切ったようにグイッと開いた。

「憲二!寝てる場合じゃないぞ!今日は美子さんがやられたんだ!」

ベッドを見ると、まるで眠るようにきれいな姿勢で、目を閉じて寝乱れる様子もない憲二が、青い顔をして仰向けに横になっていた。

「…憲二?おい、冗談だろ?」

登は、じりじりと憲二によって行く。いきなり起き上がって来て、驚かされたのではたまらないからだ。

しかし、こんなゲームの最中に、そんな悪趣味な冗談をするような男には、憲二は見えなかった。

そして、ピクリとも動かないその憲二の手に触れてから、パッと触れてはいけないものに触れたような顔をして、手を放した。

「…冷たい。」

それを聞いた純次が、急いで皆の間を割って部屋の中へと駆け込んで来た。そうして、寝台へと歩み寄ると、その首を探り、瞳孔を確認した。

「…駄目だ。死んでる。」

敦也は、目を丸くした。そんなはずはない…!

「まさか!憲二は人狼だったんだ、ここで死ぬはずなんてない!」

玲が、そろそろと寄って行って、純次と同じように憲二を調べた。そして、首を振った。

「残念だけど、憲二は死んでる。襲撃されたんだ…」と、彰を見た。「そして、彰さんは美子さんを呪殺した。だから、二死体出たんだ。彰さんが真占い師だよ…僕の相方。で、敦也、君の黒は襲撃されて間違いだったって分かった。美子さんは呪殺されなかった。君は、偽占い師だ。」

敦也は、混乱した。どういうことだ…?!オレには、間違いなく占い師のカードが来てた。毎晩、占いだってしている。それなのに、オレが偽物だって?!

「違う…そうじゃない!絶対に、オレが真占い師なんだ!美子さんは本当に死んでいたのか?憲二だけじゃなくて?」

それには、登が頷いた。

「死んでたよ。」登は、息をついた。「呪殺が出たんだ。恐らく背徳者はどこかで処理されてる。奈津美さんか、お前辺りが背徳者なんじゃないのか、敦也?いや、お前は狂人か。まさか狼なんてことは無いと思うが…とにかく、他は分からないが、彰さんが真。それが分かっただけでも、良かった。」

違う…!美子を呪殺なんて出来るはずはないんだ。だって、自分が真占い師で、その自分が占った時点で、先に呪殺出来ていないとおかしいのだ。絶対に、他に見方があるはずだ!

しかし、皆の視線は冷たく、重かった。

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