表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/39

18

「オレ目線の話をしよう。まず、占い師だが、彰さんは昨日からかなり強い発言をしているので、あれだけ目立つと狼の襲撃が怖いと思うのが普通だ。狐だから噛まれないと知っているのかとも考えたが、噛まれたら狼が今これだけ残ってる今、誰か出て来てそれを暴露する可能性がある。危険過ぎるのでそれはないと思っていて、しかしこれだけあちこち攻撃するのも狂人の動きではないので、狼か真だと思っている。占い師が噛まれたことも、狼は占い師に居ないと思わせるために彰さんならやるだろう。だからと言って、占い先の啓子さんも千夏さんも、狐目の高い寡黙位置だし、そこに白を出して狐を囲ってしまうのも狼ならおかしな事なので、限りなく真に近いとは思っている。狼を囲っているとしてもこの二人は怪しい様子が今のところないしな。」

敦也は、じっと忠彦の話を聞いていた。忠彦は、かなり考えている。正に村目線、忠彦が言った通りだろうからだ。彰は、狐にしては目立ち過ぎ、狂人にしては自信がありすぎる。背徳者としてなら仕事をしているが、しかし真占い師が確実に居るのにこれほど狐を探すのもおかしな話だ。とはいえ、啓子や千夏で囲っているならその限りではなかった。

「…背徳者は?」敦也は言った。「昨日、占い先を指定したのは彰さんが一番早かった。啓子さんや千夏さんに狐がいたら、うまく囲えているはずだ。」

彰は眉を上げた。忠彦は、顔をしかめた。

「確かにそうだが、そう思うなら今夜そこを占ったらどうだ?違う方は狼が噛んでくれるんじゃないか。狼だって狐は早く知りたいだろうしな。」

敦也は、頷いた。それなら、指定先のひとつは、千夏にしよう。彰だってこっちの白先を指定すると公言したのだ。こちらも疑って掛からなければならない。

登が先を促した。

「それで?敦也のことはどう思うんだ。」

敦也は身を硬くする。忠彦は答えた。

「先に玲のことを話す。玲は、初日から彰さんに白を出した。占い師が二人居る中で、四人出ていてサッと彰さんを白に出来るなんて、人外のそれじゃない。相手が分かっている狐と背徳者が同時に占い師に出て来るリスクは半端ないのでそれはないし、狼同士で出て来るメリットはない。みんなが言うように、あるとしたら狐だが、狐だって狼を囲うリスクは負いたくないから、占い師の中に白を打たないだろう。そういう理由から、玲は一番真に近いと思っている。」

登は、息をついた。

「ということは、残った三人の中で敦也が偽目が一番高いと思ってるんだな。」

忠彦は、頷いて敦也を見た。

「敦也は、初日から憲二に黒を打った。誤爆もあるが、今日俊が襲撃されたことから狼に狂人か背徳者、どちらにしろ偽物だと知られたのではないかと思っている。狐も無くはないが、初日から黒を出しては来ないだろう。狼もない。憲二を吊って翌日白を見られたらこんな序盤で偽物だと吊られてしまうからな。今日の美子さん白も、さすがに2日連続黒ではおかしいので仕方なく打ったのかと。狼ではないにしろ、美子さんが狐の可能性はまだあるなと思っているところだ。」

敦也は、村目線そう見えているのかと思うと、本当に悔しかった。自分は、真占い師なのだ。それなのに、初日に黒を引いたばっかりに、そんな風にみられているのが納得できない。とはいえ、恐らく他に黒い所がないのだ…何しろ、彰も玲も白い要素が多すぎる。どちらかが人外だと分かっている敦也にも、どちらか見当も付かないのだ。

「…じゃあ、オレが呪殺を出したらその推理は変わるだろうから、今夜はマジで呪殺を狙いに行く。」

敦也は、何を言ってもどうせ今は言い訳にしか聞こえないと思って、そう言った。忠彦は頷いたが、今の時点で敦也の言葉を全く信じていないようだ。必ず認めさせてやると、もはや意地のようになってしまった敦也は、歯ぎしりした。

登が、淡々と促した。

「じゃあ、次は純次。話したいことを言ってくれ。」

純次は、頷いて口を開いた。

「オレ目線、占い師の内訳は俊が襲撃されたことから真の一人だった可能性が高いと思っている。残りの占い師の中では、玲が一番真目が高いと思う。やはり初日の占い師白はリスクが高いし、忠彦の言うように真でなければ打つメリットがない。そうすると彰さんが白人外なんだが、狂人でこれをするとなるとリスクが高いし、強気な背徳者じゃないか。真目を取れれば護衛が入るし、占うふりをして狐を囲える。自信があるからこそ出来る戦法だろう。敦也は…なので狼か狂人。昨日の結果から奈津美さんが白人外だとして彰さんが背徳者なら奈津美さんは狂人だろう。なので、黒を打ってそこを吊らせて霊能者を噛もうとでも考えた狼なのかとも思う。ただ、俊が真でなかったらこの限りではないので分からないが。」

それを聞いた、彰がフッと笑った。笑うだけで何も言わなかったが、純次が彰を睨んだ。

「…何か言いたい事があるなら聞きますが?」

彰は、登を見た。今は吊り対象のグレーが話しているから、自分が話していいのかという視線のようだ。

登は頷いた。

「何か反論はありますか?」

彰は、頷いた。

「私は、話を聞いていて狼も狐を探して噛んだのだと思っている。つまり狼目線、占い師の中に狐が居ると推測出来たのではないかとな。狼は、恐らく占い師には出ていない…なのに、役職に人外が三人出ている。奈津美さんが見捨てられた狂人か背徳者なのだと仮定して考えると、狐が占い師に出ていないと計算が合わない。狼目線だと、それを知りたいから、護衛の入って無さそうな所をとりあえず噛んでみた。そういう事ではないか。狼は、そう思っているのではないか、と私は感じた。だとしたら占い師の相互占いが一番いいのではないか?」

純次は、顔をしかめた。登は、彰を困ったように見た。

「じゃあ、彰さんは玲に占われているから、彰さんが玲、玲が敦也、敦也が彰さんということになりますね。」

彰は、頷いた。

「そういうことだ。まだ必ず一人は占い師が生きているのだから、有効な方法じゃないか?」

玲は、困惑した顔をしたが、渋い顔をしながらも、言った。

「…彰さんがそう言うなら、それでもいいけど…。もし、なっちゃんが真霊能者だったら、彩芽ちゃんが狼ってこともあり得るし、リスク高くないかなぁ。みんな生きてる時じゃないと、分からない事もあるし…。いつまでもグレーをグレーのままで置いて置くのも、危ない気がするんだけどなぁ…。」

彰さんは、狐じゃない。

敦也は、思った。狐なら、占われには絶対に行かない。狼の可能性はある。敦也に黒を出されても、あまり信憑性はないからだ。

そして、引き続き背徳者の可能性はあった。グレーの狐を守るためだ。

なので、敦也は言った。

「…相互占いは、まだ早いと思います。」皆が敦也を見る。敦也は続けた。「もっとグレーを縮めてからでも間に合いますから。狼はグレーは噛まないでしょう。明日からは分からないけど、今日は完全グレーを無くす方向の方が、狼も狐もケア出来ていいかと思います。」

それには、登も頷いた。

「グレーが残っている限り、吊り先に悩むんですよ。狐も大事ですが、狼も吊って行かなきゃならない。なので、相互占いは明日以降で考えたいと思います。」

彰は、息をついて肩をすくめた。

「私は村に従う。私の勘違いで、狼がただ闇雲に占い師を噛んだのかもしれないしな。私は自分の考えを言っただけだ。そういう見方もあるのだと知っておいてくれたらいいかと思う。」

彰は、あくまでも村の話し合いの方向を見ている。

それが、背徳者や狼が、村に合わせて真目を取ろうとしている、と言われたら、そうかもしれないと思えて来た。

純次は、じっと彰を見ていたが、頷いた。

「そういう考え方もあると頭に置いておきましょう。もし占い師の中に狼が居たら崩れる理論だし、それに、狼が居たら明日はここを噛んで来ないと思う。村を助けることになるし、縄を消費したい狼が、これ以上役職を噛むメリットも無いし、何より二択になったら両方吊られてもおかしくないからな。」

彰は、頷いたが何も言わなかった。登が、雄大を見た。

「で、雄大だな。お前は昨日から結構発言してるしグレーの中でも人外っぽくないんだが、意見を聞こうか。」

雄大は、頷いて口を開いた。

「オレは占い師は俊が真かどうかなんてわからない。占い結果だって美津子さん一人だけしか残してないし、みんなは俊が護衛入って無さそうだから噛まれたって思ってるみたいだけど、そうは思わない。多分、だけど、俊の指定先に狼が居て、その狼が襲撃してくれって言ったんじゃないかな。」

登が、うーんとホワイトボードを見た。

「…って事は、忠彦か、奈美さんか?」

奈美が、体を硬くする。忠彦が、不満げに雄大を見たが、雄大は、気にしている様子もなく続けた。

「俊がもし真だったとしたら、占われたら黒が出るじゃないか。だが、憲二のように白い行動で占い師の真を疑われて、吊られないって事もあり得る。だから、言動から疑われていて、もし黒を出されたら吊られる可能性がこの上なく高い人が人狼なんじゃないかと思ってる。」と、奈美を見た。「奈美さんは、昨日発言から狼じゃないかって疑われてたよね。そうでなくても人外かもしれないって。狐は占われると分かっていてもどうしようもないけど、狼なら噛める。だから、奈美さんが人狼なんじゃないかって思う。彰さんも階段で話していた時、言ってたよね。護衛の入って無さそうな占い師で、人狼が露出を避けるために指定された所を選んだんじゃないかって。」

彰は、それに頷いた。

「私はあの時そう思ったがな。今もそうではないかと思っている。」

奈美が、立ち上がって叫んだ。

「だから!昨日から私にばかり疑いが掛かってるじゃないですか!私は人狼じゃありません!私が人狼だったら、誰も庇ってくれていないのに、誰が仲間なんですか?!」

それには、忠彦が答えた。

「あからさまに庇ったら自分が危ないのに庇いに来る人狼仲間なんか居ないんじゃないか。昨日だったら分からないが、今日はあの、吊られたらどうなるかを見てしまってるんだ。人狼だとバレた仲間を庇うなんてヘマはしないと思うけどな。」

奈美は、忠彦をキッと睨んだ。

「あなただって俊さんの占い指定先だったじゃないの!それなのに、どうしてあなたじゃなくて私なのよ!むしろ、昨日全然疑いを向けられなかった人の方が、潜伏しているって考える方がいいでしょ?!せっかく潜伏出来てるのに、ここで黒を打たれるわけには行かないから!」

忠彦は、ぶすっとした顔をした。

「あのねえ、昨日彰さんが狐目を占うって言ってたじゃないか。オレは狐って風じゃないだろうが。だから占われないだろうなって思ってたぞ。みんなだってそうだろう。狐を狙っててオレと奈美さんなら絶対奈美さんを占うと思っただろう?きっと人狼だってそう思ってたはずだって!だから、占い結果を出されるのを怖がったんだったら、絶対君の方だ!」

敦也は、ハッとした。そういえば、確かに彰は昨日、わざわざ狐目を占うと皆に宣言してみせた。あの時は、どうしてわざわざそんなことを公言するんだろうと思ったが、もしかして、今日こんな議論になることを見越してのことなのだろうか。

つまり、指定先に狐っぽいと言われる狼が混じっていた時、その占い師を噛んで来ると思っていたということだろうか。

彰を見ると、ただじっと、言い合う忠彦と奈美の二人を興味深げに眺めていた。

敦也は、彰が敵だと思いたくなかった。もう、信じるしかないかもしれない…。だが、信じるには怖すぎる…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ