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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 蒼鱗の蜥蜴人 編
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青の章 第70話 最悪の生物

青の章 第70話 最悪の生物

 

 「おいおいおい!?」

 

 アメーバ(?)を口にしたスフレに慌てて駆け寄った。俺の片足をいとも簡単に千切り取る様な生物を弱っているとは言え生きたまま口にしたのだ。普通危険と思うのではないだろうか?

 赤ん坊じゃあるまいし何でもかんでも口に入れるのはやめてほしい。

 

 「ぅう……」

 

 顔を顰め、喉を抑えるスフレの姿を見て俺は更に焦る。

 

 「どうした!? 毒……じゃないよな? 口の中で暴れてるのか? いや、とにかく吐き出せ!」

 「……まずい~」

 「……はぁ?」

 

 スフレには毒に対する耐性を持っているから毒の心配は無いと思ったが、どうやらアメーバの味が悪かっただけらしい。見ればスフレの手の中にあるアメーバは既にピクリとも動いていなかった。どうやらスフレが身体を噛みちぎった事がアメーバの止めとなったらしい。

 

 「まずい~」

 

 涙目で見たことが無い程顔を顰めているスフレを見て、腰が抜けそうになった。勿論、安心したという意味でだ。

 

 「はぁ……、頼むから、本当に頼むから初めて何か食う時は俺に声を掛けるか、じゃなかったら十分警戒してくれ。心臓に悪いぞ。身体に悪い物や危険物だったらどうするつもりだ」

 「は~い。……これいらない、あげる~」

 

 分かっているのかいないのか、スフレは齧り掛けのアメーバを俺に渡してくる。食えってか。

 まあ、不味いだけで食えない訳ではないなら、勿体ないから食うけどな。小言を言いながら、未だにうぞうぞと蠢いているアメーバを試しに一口齧ってみる。

 

 最悪だった。

 

 まず俺の口の中を襲ったのはとんでもなく強い酸味、思わず咽そうになった。たまらず口を手で押さえ何とか咀嚼する。水の入った風船を噛んでいる様な微妙な触感と同時に嫌な苦味が顔を出す。飲み込もうとするが、咀嚼している内にヌガーの様な粘度を帯びて来たアメーバは、飲み込むだけでも一苦労だった。

 とんでもなく不味い。無理やり表現するなら、「酢で入れたインスタントコーヒーをゼラチンか何かで無理矢理固めた物」だろうか?

 

 仕留めるのに苦労する上に味は最悪とか、最悪の生物だな。

 

 しかし残す訳にも行かないので残りを一口で食べきり、飲み下す。後味まで最悪だ。

 

 『【ランクアップ】によりスキル【粘液生成】を獲得しました』

 『≪最適化しますか?≫』

 

 ……最適化は、今はいいや。

 

 それにしても粘液まで出せるようになったか。何だか嫌だな。

 触手出したり粘液出したり、何だか風太郎フウタの喜びそうな卑猥っぽい能力ばかり……。ちょっと悪意を感じるのだが気のせいだろうか?

 

 まあ、どんなものでも使い様だ。どの程度の能力があるスキルかは分からないが、使ってみれば意外に有用だったりするのかもしれない。

 新たなスキルは気になるが、今はそれどころではない。面倒なことに先のアメーバによる不意打ちで俺は片足の膝から下を失っているのだ。

 スキルによる回復力のお陰で出血は殆ど収まっている様子だが、四肢を生やすほどの回復にはかなりの時間とエネルギーを必要とする。

 だがこの脚では移動も困難だ。狩りも難しいだろう。片足でもゴブリン程度なら問題ないが、それ以上の相手となれば怪我……場合によっては怪我だけでは済まない可能性もある。

 命が大事ならここは回復を待った方が賢い選択となるだろう。

 

 「むぅ……、無駄に危険を冒す必要もなしか。スフレ、悪いが暫くの間どこか安全そうな場所で過ごそう。いいか?」

 「なんで~?」

 「俺は脚が無くなった。このままでは移動ペースがかなり落ちるし、何より戦闘にも支障が出る。……分かるか」

 「あし~ないね~」

 「ああ、無い。足が無いと困るだろう? 俺は今困っているのだ」

 「あたし~あしいっぱいあるから、あげようか~?」

 「……かっはっは! 面白い事を言うなぁ! そうか脚をくれるか! かっはっは、久々にこんなに笑ったな!」

 「?」

 

 よくよく考えればスフレの発言は幼さ、若しくは単純に知識が足りない為の発言なのだろう。しかし俺は思わず声に出して笑ってしまう程可笑しかった。

 何が可笑しいって、スフレが本気で・・・俺を気遣い自らの脚を差し出すと言っている事だ。

 俺だって家族や友人のためなら命位惜しくないとは思っているが、それは相応の覚悟があるという事だ。見ず知らずの他人の為には、当然命は掛けられない。

 

 「なあスフレよ。一つ聞いてもいいか? 俺達は友達か?」

 「ともだち?」

 「あー友達が分からんか。そうだなぁ……楽しい事も辛い事も分かち合い、一緒に居れば乗り越えられる。お互いに支え助け合う存在って所か……スフレにはこれでも難しいかもな」

 

 正直、俺は友人が多い方じゃない。でもそれは別に不幸でもなんでもない。

 風太郎フウタジンとバカ騒ぎしている時はすごく楽しかったし、レイアの俺が作る料理に対する正直な感想と真摯な意見はこれ以上ない貴重な物だった。

 時には面倒事に巻き込まれる事もあったが、それでも俺の中では良い思い出だ。……面倒事しか起こさない馬鹿は友人には含まないからな。

 

 「よくわかんない」

 「そうか」

 

 少なくとも、スフレは自分の身を削ってでも俺を助けようとしてくれる。俺は今まで心の片隅でスフレは俺と居るのが自分にとって有益だから、だから俺と一緒に居てくれ時に助けてくれるのだと思っていた。

 だが違ったのだ、スフレは純粋に好意を持って接してくれていたのだ。俺が友人に持つ物と同種の好意を。

 

 「あまつ、うれしそう」

 「ああ、良い事があったのだ」

 

 本当に新しい友人が出来たのだ。向こうも俺を友人と思ってくれている本当の友人が。

 

 「あまつ、いたいのうれしい?」

 「いや、人を変態みたいに言わないでくれ……」

 

 もう人ではないが。

 まあ、友人が出来るのは良い事だが、友人の性癖を受け入れられるかどうかは、また別問題なのだ。

 

 その変態は今頃、この世界で何をしているのだろうな?

 


全国的に猛暑が続いていますが、冷たい飲み物の過剰摂取には注意しましょう。冷たい飲み物は胃や腸に負担を掛けるので十分に水分が取れない、若しくは下痢等で余計に脱水症状を引き起こす可能性があります。利尿作用のあるカフェインを多く含む飲み物も好ましくは有りません。

夏場の熱中症対策には常温の飲み物が望ましいです。お出かけの際は常温のスポーツドリンクを一本バックに常備しておきましょう。

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