青の章 第67話 計画(プラン)
2020年8月3日に投稿された話がその前回の内容と同じものを連続して投稿してしまっていました。
投稿操作のミスでした。楽しみにして下さっていた皆さま大変申し訳ありませんでした。
青の章 第67話 計画
現在、身体が硬直して殆ど動かない。
正直、うっかり失念していた。
幻想的な木々や植物に囲まれているとは言え、ジャングルと言ってもいい密林で一夜を明かす。……凍えるだろう。
生まれたばかりの頃洞窟で死にかけた経験は、今回生きなかった様だ。教訓すら生かせない自分の愚かさに最早呆れる。少し考えれば分かる事なのになぁ。
室内で過ごす事が当たり前の日本人に、屋外で夜を明かす事の危険性を考えろと言うのは難しいと思う。だが、例えば砂漠を想像してほしい。昼は灼熱の空気と日差し、太陽光の照り返しでコンクリートジャングル等とは比べものにならない程気温は上昇する。だが、夜になると砂漠は一転して低温環境となる。凍死する者が出る程だ。
砂漠ほど極端ではないが、基本的に太陽光の無い夜はどの地域でも気温は下がる。昼間より夜の方が暖かくなる地域など俺の知識には少なくともない。
この密林も例外に漏れず夜は気温が低下したようで、朝日が昇り始めた現在、俺は冷え切った身体を抱えていた。
近くの枝を見れば木の葉には結露で出来た水滴が大量に付いており、そこから落ちた水は俺の身体を濡らしていた。これも俺の身体を冷やした要因の一つだ。
同じように木の上で夜を明かしたスフレは、俺と同じ位の時間に目覚めたが特に寒さを感じられる行動は取っていない。やはり俺の【水氷冷脆弱】のスキルの効果は大きい。人間でも同じ環境で一夜明かした所で指一本動かす事に苦労するほど消耗はしない筈だ。
衝撃や痛みに強い分、この弱点が特に大きな物に感じる。これは早急に対策を立てなければ、本当に命にかかわるぞ。
その後、以前蜥蜴だった頃にもしてもらった様に、スフレの糸で身体を覆って貰った俺が動き始める事が出来たのは、日が昇って一時間以上経った後の事だった。糸と太陽の光に心底感謝した。
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「だいじょぶ?」
「ああ、面倒を掛けてすまなかった。もう大丈夫だ」
身体の調子を確認しつつ、今後の計画を練る。
まず大前提、俺の最終目標は女神の依頼の達成。これは一度引き受けた以上全力で取り組むつもりだ。
次いで共にこの世界で生まれ変わったであろう仲間や家族との合流だが、これはほぼ運任せだ。
一先ずの目先の目標はエルフの集落とやらに向かう事だが、それにはある程度日数が必要になるだろう。母は数日で着くと言っていたが、そもそも母と俺達では歩く速度も、障害となる存在も異なる。
母が無視して超えられる生物や環境も、恐らく俺達には大きな壁となるだろう。
俺の予想では一週間以上は掛かると見ている。
ならばいっそのこと、レベルを上げたり新たなスキルを得るために積極的に生物を狩りながら、そして生活水準を上げながら進む事が望ましい。
俺はスフレにその事を伝えるが……。
「うん~? いっぱいたおす?」
「まあ、そういう事だな。手頃な獲物を見つけたら積極的に狩る。そしてその肉を喰らい強くなる」
「ごはんいっぱい?」
「そうだな。簡単に言うとそうなるか」
「いいよー」
いまいち理解しているか不安な回答だ。スフレはあまり難しい事はまだ分からないのだろう。以前俺の【位】について説明したが、「たべたらつよくなる~」と理解した様だ。―――も同じ見解だがな。
スフレは言葉遣いも行動も、戦い方すら子供っぽい。俺に付いて来たのも、単純に子供が親の後を何となく付いてくる様な物なのかもしれない。まあ、スフレは元の頭は良い様だから、経験と時間が解決してくれる問題だろう。
「スフレ、今ステータスはどんなものだ?」
「えっとね~」
俺の問いにスフレがたどたどしく彼女の脳内に浮かび上がったであろうステータスを読み上げて行く。
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ネーム-スフレ
種族 女蜘蛛人
レベル5
スキル
スキル-パッシブ
蜘蛛の感知毛
蜘蛛の無音足
猛毒耐性
恐怖耐性
痛覚耐性
炎熱脆弱
スキル―アクティブ
捕縛の糸
捕縛の糸巣
粘着糸
強力糸
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むぅ、俺と比較すると随分とスキルの数が少なく感じる。だが普通はこんなものなのかもしれないな。俺のスキルの数が異常なのだろう。何せ【位】と言うスキルを得るためのスキルなんてモノを所持しているからその影響が大きく出ているのだと推測できる。
改めて見ると、スフレはあまり直接戦闘をする様なタイプではないのだろうな。スキルの説明は以前一通り聞いたが、本来は隠れながら応用力の高いスキルで罠を張って狩りをする事が本来のスフレのスタイルに違いない。
だが、それでは敵に発見されれば容易く殺されてしまうだろう。ある程度直接戦闘が出来る様にならねばこれから先キツイかも知れない。
母が言うには、俺の様に環境によってそれに適したスキルを獲得できる事もあるので、暫くスフレは俺の隣、もしくは一歩下がって戦って貰おう。接近戦が可能なスキルをスフレが獲得するまでは俺が積極的に前に出て戦闘するように心がけようと思う。
仮にスフレが近接戦関連のスキルが手に入らなくとも、少なくともレベルは上がるので問題は無いだろう。
「スフレ、作戦会議だ」
「さーくせん?」
「俺は結構行き当たりばったりな所があるが、一緒に戦うなら打ち合わせは大事だろう」
「?」
「あー、狩りをし易くするための打ち合わせと言えば伝わるか?」
「……?」
肩に頭が付くほど首を傾げるスフレに、俺は一方的に今後の狩りの方針を伝える。スフレがどれほど理解できたかは分からないが、今日は積極的に狩りを行う事にした。




