青の章 第1話 ご挨拶
青の章 第1話 ご挨拶
どうもこんにちは、もしくはこんばんわ、もしかしたらおはようございますかな?
俺の名前は倉井天月と言う。
性別は男、年は二十三歳。
一応自営業で生計をたてている。
いくつか副業もあるけどな。
と、まあ、自己紹介はこんなものだろう。あまり詳しく話したところで、眠たくなられても困るからな。
さてさて、人生何が起こるか分からないと言った人間は全くもって正しい。
何せ俺は、神様とやらに出会うなんて、それこそ想定外の事だった。もし神様がいるとしても、俺が会うとしたらそれは死後だろうと思っていた。いや、俺の場合は神様じゃなくて閻魔様かな? かっはっは。
そして問題はその後だ、その神様達(二人居たので達を付けた)は、俺、正確には俺達に頼みがあるそうだ。
神様達は命を救って欲しいらしい。
神社でお参りや初詣こそ、毎年節目には欠かさず行っているほどには日本人な俺ではあるが、まさか逆に神様から頼み事をされるとは。
まあ、正直言って面白いと思った。
いや、別に今までの人生がつまらなかった訳じゃない。むしろ波乱万丈だ。
だが神様の言う異世界、今までの常識が通じないらしい世界。
そんな場所に友人達と一緒に冒険、何とも心踊る展開だ。フウタ流に言うなら『胸熱展開』か?
今までいた世界に未練がないと言えば嘘になる。
だけど一番目に大切なものと二番目に大切なものが一緒に行けるんだ、家族と友人が。
フウタやジンはチートだの特典だのと騒いでいたが、それは贅沢と言うものだ。と言うか生命の危機に貧している相手に、何を要求しているんだ。
他の面々は特に騒ぐことなく異世界へ行くことに承諾した。
レイアが神様方と何やら交渉していたが、内容は異世界へ行った後に、神様が各自に伝えてくれるそうだから別に気にしていない。そもそもここから出れない神様がどうやって伝えるのかとか、考えても仕方ない。神様の特別な力とか魔法とかで何とかするんだろう、たぶん。
もしかしたら手紙でも来るのかもな。
そんなこんなで異世界へ、行くことになりました~。
料理人としては、異世界にどんな食材があるのか大変気になるな、ドラゴンとか食べてみたいなぁ。
さてさて、ここで大事な事を忘れていた。
神様が言うには、何やら残りの魔力やら神力やらがカツカツとかで、そのままでは俺達は異世界とやらには行けないらしい。そのままと言うのは、人間のままって事。
ではどうするのか? 別の生物としては生まれ変わってもらいます、と言われた。
は?
と思わず声に出してしまった。所謂、輪廻転生をするらしい。確かに数は少なかったが、フウタに時折貸してもらっていたファンタジー物の小説(ラノベとも言う)には確かに、そんな内容があった。
神様が言うには、どんな生物に転生するかは分からないらしい。だが確実に移動可能で多細胞の生物に転生するとの事。魂を記憶と共にどーたらこーたら言っていたが、まあ理解できなかったので、聞き流した。
……むぅ、確かに植物とかアメーバとかに生まれ変わっても困るが、昆虫とか魚とかに生まれ変わっても困るんだが?
と言うか昆虫とかに生まれ変わったら最悪一年位で寿命で死ぬだろ?
そんな状況で、何をして神様達を助けるのかはまだ知らんし、どんなスパンで物事を考えているのか知らんが、タイムリミットが不安過ぎるだろう。
まあ、別に人間に未練はないが、せめて妹の七星と太陽には、数十年単位で生きる事の出来る生き物になって欲しい所だ。なーはネコさんになりたいとのこと。可愛いなぁ、もう。
俺は、そうだなぁ。雑食の生き物がいいな。
草をずっと食ってたり、花の蜜を一生飲んだり、生肉を貪り続けるよりは、色んな物が食いたいね。
それでいて、皆でまた食卓を囲めたら最高だ。
フウタは神様のお願いが無事終わったら、皆で冒険しようと言てた。――わかったよ。
ジンは皆で幼女を愛でようと言てた。――本当、教育上よろしくない奴だ。
ヨウはまた一緒に暮らせるといいなと言てた。――そうだな。
なーは妖精さんに会いたいらしい。――お兄ちゃんも探しといてやろう。
キリカさんは異世界が興味深い、研究のしがいがあると言った。――食事と睡眠はしっかり取って下さいよ。
ココロは死んでも俺を探しだすそうだ。――いや、普通に探して? 怖いぞ?
レイアはユグちゃんとヘルちゃんの為に頑張ろうと言てた。――まずはそれからだな。
アイは最高の修行になると張り切っていた。――既に目的とか覚えていないのだろうな。この鳥頭娘は。
キョウカは私様が世界そんな世界ぶっ壊すと息巻いていた。――いや、別に侵略しに行くわけじゃ無いんだぞ?
俺は、そうだな。
――異世界料理のフルコースでもご馳走してやろう。
ではひとまず皆とは去らばだな。